美しく狂っていける|詩
笑い声と、美しい伴奏が
どこまでも地獄につきおとす。
むごい嘘でかためられて
身動きがとれない私を文字で刺す
文字から血をしたたらせて
きょうも美しい言葉を吐いて
書いて欠いて掻いて
傷口をねぶるの
2
愛を信じて疑わないあなたに
はずれたネジをプレゼント
ありえないはずのそのネジを
私の体と心にむりやり突っ込む
でもあなたのそれが愛だというなら
痛くても 痛くても
ただただ耐えるの
「これで君はなおるよ」
うすら寒い言葉を吐きながら
美しく狂わせるの
したたる血の温かさだけ
私を私のまま受け入れてくれる
3
「いいお薬はないだろうか」
「この子に効く、いいお薬はないだろうか」
狂ってなんかいないから
欠けてなんてないから
そんなお薬はどこにもないのに
ほっぺをつかんでこじ開ける
私の内側にも穴はあるの
ドーナツの穴の内側みたいに
私の内臓に穴が開いていると
本気で信じるあなたに愛を
太陽にも嫌われちゃった
月にも嫌われちゃった
朝にも夜にも嫌われちゃった
だから朝焼けで踊るの
夕焼けで踊るの
存分にみてってよ
悲しそうな顔はしないでね
でも、楽しそうな顔もしないでね
どんな顔だってわたしは嫌いだから
笑えてきちゃう
私をバカにするみたいに空がきれいで
このまま、どこまでも狂っていけそう
久しぶりの詩。
今日の気分は、ヨエコさん。
存分に踊りあかしましょ。
あしたなんて忘れて。
みらいなんて忘れて。
そういう気分。
合わせて、こちらヨエコさんのインタビュー記事も。
ひどい世界で懸命に生きたヨエコさんの姿に、ただ涙と愛があふれてとまらないのです。