12.Nov / ジャムとコンポートの話

 コレクション癖は少ない方だ。いや、どうだろう。書き始めてわからなくなってきた、が、少なくともお金のかかるものをコレクションする癖はない。石とか、カードとか、まぁ少々付け加えるとするならば本だろうか。然しながら、そうは言いつつもついつい買い溜めてしまうものがある。そう、スパイスとジャム、ソースの類である。割とお手頃値段なのと、ちょっと食べてみたい欲が相まって、つい溜まりがちなのが特にジャムである。引っ越しに荷物をまとめてみると、1/3が本、1/3が雑多(服も含む)、そして残りが台所周りだった。これには自分でも絶句、まさかこんなにあるとは。そしてまさにその理由の一つが、夏の間ウロウロしている間に買い溜めた調味料の類なのである。手つかずのジャムが6、7瓶。それから大量の調味料。イギリスで買ったミントソース?玉ねぎのスパイシージャム、地元茨城のさつまいもジャム、貰い物のラズベリージャム、ただで配られていたのを貰ってきた苺ジャム、スウェーデンで買ったスグリジャム。アイスランドの鹿の出汁、白身魚の味付けスパイス、マンゴー風味のカレーパウダー、レモン風味のハーブ塩。去年のコロックには死ぬほど不評だったスウェーデンのザリガニチーズソース、パンに塗って食べると美味しい。それからわかめごま鰹節麹の類。これまた頂き物のの玉麩。蜂蜜と豆板醤と中華の素と羊のコンソメと林檎ビネガーと…。この手のものは手放すのが相場なのだろうが、毎年毎年それで引っ越しのたびに最初の月に敷金も相まって出費がかさむのに嫌気が差して、結局すぐに新しい生活がスタートできるように持ち歩いている。何より、旅行の楽しみの幾分かは、この帰ってから開ける食べ物にあると言ってもいい。食べたことない目新しいもの。出先で食べて美味しかったもの。よくわからないけど名物なもの。英語ならまだしも必ずしも中身がわかるとも限らないので、瓶の形状や絵からの推測も求められる。一種の賭けでもある。スーパーを端から端まで眺めるのが旅行の醍醐味の一つでもあるのだ。

 そんなわけで、本日出番が回ってきて新しく開けたのが、茨城県産さつまいもジャム。飽きっぽい正確なので、ジャムは冷蔵庫に2つまで開けていいことにしている。紫のジャム、というのも珍しい。あんまり強い甘みではなく、気持ち多めに入れてちょうどいい、
居合わせた友人に味見してもらったら「んーはちみつっぽい?」っという答えが帰ってきた。 少なめに入れて甘みをたすというより、スプーンにたっぷり持って食べるという感じ。美味しい。また芋畑育ちの私には懐かしくもある。いつか冬に帰国して芋だの正月料理なんかをたっぷり食べたいものだ。

そして今週の目玉の甘い物第二弾、コンポート。しょっぱいものは麹だのピーナッツバターだのフムスだの結構作ったが、甘いものはストックがない。というわけで、マルシェの農家さんにコンポートおすすめの林檎を教えてもらって早速煮詰める。去年のコロックに教えてもらったやり方でとりあえず林檎6つ、小さめに切って煮崩れさせる。水は浸かるくらい、バニラ砂糖を入れるものだったらしい技すっかり忘れて、でも十分すぎるくらいに甘いので大満足。火にかけて他の雑事をしながらウロウロしてたまにキッチンに様子を見に来ると部屋中が甘いりんごの匂いに満たされている。途中からなんだかすべて飛んでいってる気がしてもったいなくなり蓋をする。パカッと開けた瞬間に一瞬で広がる甘い匂いがまた至福。林檎の香りは暫く部屋にとどまってくれた。いい休日だった。

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