ひとくち批評:よしながふみ『環と周』――いま刃を置いて輪廻を断つ
(この記事には一部ネタバレが含まれます)
出先で読み始めたらそのまま泣いてしまった漫画は、人生で初めてだった。
よしながふみの新作連作短編集『環と周』である。
娘の成長に戸惑う両親、
女学生たちがほんの刹那の間に育んだ友情、
余命わずかな女性が出会った幼い少年、
復員後再会したふたりの兵士、
そして男を討つ女。
それぞれの「環」と「周」には、子の成長と老い、婚姻と出産、病、戦争、嫉妬と殺人という「ままならない」因縁が二人を結びつけるようにまとわりついて、生に暗い影を落と