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モノ書く人々への「文字起こし」のススメ
はじめに
まず最初に、ベッタリと言い訳させていただきます。
こちらを読んでいる人は、人の会話などを耳で聞いて認識しているであろうことを前提に書いています。
したがいまして、読む方によっては配慮が足りないと感じる可能性もあります。
その点は申し訳ございません。
また、「私がこうだから、このようにせえ」とか、「私はそれができてんだよ!」とマウントを取るような意思は一切ございません。
(某テニス漫画のA部様ではないので、「素でできんだよ!」までは言いません。せいぜい「習い性」です)
たとえるなら、何十年も前に子育てをリタイヤしたジジババが、自分の育てた子ら(多分いい大人)の出来不出来は一切考えず、「俺らが子育てしてた頃はこうだったのに、若い連中ときたら…」と昔の苦労話を語り、一大事業を成し遂げたかのように言う老害の愚痴みたいなものです。
ただ、そんな中にも、何かしらの気付きや学びもあるのではないかと思います。「他山の石」ってやつです。
要するに、全体的に参考程度に読んでいただければと思います。
なお、「文字起こしってAIの自動生成で十分でしょ」という方には、多分、一から十まで何の役にも立たない話だと思われます。
仕事としての文字起こし
私はあくまで仕事として音声の書き起こしというものをし、お金をいただいておりますが、そもそも文字起こしというのは、割と誰でもできる作業ではあります。
何しろ基本は「聞いて、そのとおり入力する」だけですから。
ただ、報酬が発生する作業となると、時間はあまりかけられない割に、精度の高さや不審点の検索などなど、いろいろと要求されますし、場合によっては要約したり、そのまま記事として使えるレベルのものも要求されます。
しかし、例えばラジオやテレビのトーク番組を5分とか10分程度、逐語的に書き起こしてみるという作業ならばどうでしょうか?
作業慣れしていない方でも、多分1時間~1.5時間程度かければできますし(1分音声を10分かけて書き起こすイメージ)、タイピングが速い方なら、もっと速く入力することも可能でしょう。
まず、お気に入りのタレントや、好きな声の声優さんあたりから始めるのがお勧めです。
あまりにも早口の場合、文字起こし用の再生ソフト(無料のもので十分です)で0.5倍、0.7倍程度に速度を落として聞いたりできます。最近のこの手のソフトは、声音の高さ、ピッチなどを変えずに速度だけ上げたり下げたりできますので、結構聞きやすくと思います。
慣れてきたら、国会中継や地方議会で配信している議会動画などもいいでしょう。
実際、こちらの方が、ある程度文章の整った原稿を読んでいる場合も多いので、早口だったり話題が難しかったりしても、フリートークよりも楽だと感じる方もいるかもしせません)
人間というのは「どう話す」か
さてさて、一連の作業から分かることは何か?
「人はこういう状態のとき、こういうタメで話す」
「こういう言い間違い、読み間違いをする人は意外と多い」
(なぜそう間違えるか、理由を考えることで、パターンが見えてくる)
「書き起こしたとき、どこに句読点を入れたり、三点リーダ(×2)のような“間”を入れるべきか?」
これらは小説やエッセーを書く時も、結構使えると思いませんか?
人と人の対話の構成はもちろんのこと、地の文のリズム作りにも割と生かせる部分が多いものです。
慣れてくると、「この言い方は不自然だなあ。自分なら…」みたいな構えで聞く自分、に気付いたりするかもしれません。
言い間違い、読み間違えに関しては、自分は気を付けようという戒めの意味もありますが、ちょっとした小ネタとして使うこともできます。
何か書きたいけれど、アイデアが浮かばないときの小手先の作業でもいいし、逆にアイデア収集を目的としたり、とっちらかった情報や考えをまとめたり。とっかかりは人それぞれ、何でもいいと思います。とりあえず「お試しあれ!」です。