1服目 茶箱 和敬点前
週に1度の茶道のお稽古。
日々の喧騒から離れ、この時間はただそこにあるものに集中する。
湯の沸く音、お茶の香り・・・徐々に五感が研ぎ澄まされていくことを感じる。
8月和敬点前を習った。
和敬とは、「和」お互いに心を開いて仲良くすること。
「敬」お互いに敬い合うこと。
このお点前は、別名「陣中点前」という。
十四代淡々斎が考案したお点前で、長男である十五代鵬雲斎が海軍軍人であった縁で、茶箱を海軍に送った際、考案されたお点前だそうだ。
十五代鵬雲斎は特攻隊として入隊し、これから出陣する戦友のために特攻基地にてこの点前を行った。
私が移り住んだこの地から、多くの若き命が天国へ飛び立った。どんな思いで爆弾を積んだ飛行機の操縦桿を握ったのだろうか。
秋空を見上げながら、自分に出来ることは何があるだろうか考えた。
まずは戦争を知ること、子達とともに学ぶこと。
相手の背景を知ろうとすること。
子供達のこの笑顔がいつまでも続きますように。
お小遣いで家族分のシューアイスを買ってきてくれた次男の笑顔を横にして、そう願った。