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ザ・ゴール コミック版
概要
本書は生産性や業務効率を向上させるための考え方を、工場運営を例にして説明しています。企業の目標は利益を上げることにあり、そのためには 純利益、投資収益率、キャッシュフロー という指標を改善する必要があります。これらを現場レベルに落とし込むと、 スループット(販売を通じて生み出すお金)、在庫(投資されたお金)、業務費用(運営コスト) という概念になります。
また、工場や生産現場の効率化には ボトルネック(処理能力が低く生産全体を遅らせる工程) の管理が不可欠であり、ボトルネックの処理能力を向上させることで全体の生産性が向上するという考えが示されています。バッチサイズの縮小やプロセスの最適化によってリードタイムを短縮し、スループットを向上させる方法も提案されています。
おすすめな人
生産性を高めるための具体的な考え方や改善手法を学びたい人
製造業に限らず、組織全体の生産性を高めるためのフレームワークを活用したい人
企業の収益性を向上させるための基本的な考え方を学びたい人
読書感想文
「生産性とは何か?」本書を読みながら、改めてこの問いについて考えさせられた。私はこれまで「生産性」という言葉を、単純に 「効率よく働くこと」 だと捉えていた。しかし、本書では 「目標に対してどれだけ成果を上げたか」 が生産性の本質であると説明されていた。この視点の違いに驚かされた。
例えば、第1章では売上に直結しない業務でも、生産性の向上が評価されるべきだと感じた。売上が発生しない業務でも、それが会社の目標達成に貢献しているのであれば、「生産性が高い」と言えるのだ。この考え方は、私自身の仕事にも応用できると思った。
また、第3章では「従業員が常に手を動かしている状態が必ずしも効率的ではない」という点が印象に残った。常にフル稼働している工場は一見すると理想的だが、実際には在庫が増えすぎたり、生産能力が市場の需要に合わなくなったりすることで、かえって非効率になってしまうのだ。私はこれまで「忙しく働いていること=生産性が高い」と思い込んでいたが、そうではないことを痛感した。
本書を読んで特に興味深かったのは「ボトルネック理論」だ。工場では、生産全体の能力は最も処理能力が低い工程(ボトルネック)に依存する。つまり、ボトルネックの処理能力を改善しない限り、他の工程をどれだけ高速化しても意味がないのだ。この考え方を、自分の仕事にも応用できるのではないかと感じた。例えば、チームの生産性を向上させたい場合、メンバー全員の業務効率を一律に向上させるのではなく、最も作業が滞っている部分(ボトルネック)を特定し、そこにリソースを集中させるべきなのだ。
また、「バッチサイズを小さくすると、リードタイムが短縮される」という考え方も新鮮だった。これは、仕事をまとめて処理するのではなく、小分けにして進めることで、よりスムーズなフローを作れるということだ。私はよく「後でまとめてやろう」と考えてしまうことがあるが、この考え方を改め、小さなタスクを素早く処理する習慣をつけようと思った。
本書は、工場運営を例にした内容ではあるが、ビジネス全般に応用できる考え方が多く含まれていた。特に、「ボトルネックを特定し改善することが生産性向上のカギ」という教訓は、どんな仕事にも当てはまる。本を読み終えた今、私は改めて自分の仕事の中のボトルネックを探し、それを改善することでより効率的に成果を出せるようになりたいと強く思った。