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[音楽詩] カネコアヤノ


音楽の歌詞を元に詩を書く「音楽詩」

第1回目は カネコアヤノ『燦々』です。




日曜の午後。少し外れにある住宅街。

部屋の窓からは青い空が見え、燦々と日光が降り注いでいた。

私の好きなものは、人は、何処へ行ってしまったのか。

そう思いながら、私は窓のふちに首をもたげた。

楽しかったあの時も、あの海も、あの夜も、あの歌も、知らないうちに消えていってしまう。あのバスケットボールのように、弾んでいってしまう。

でも、また新しい”楽しさ”というボールが弾んでくる。

そのボールもどこかに弾んでいく。

人生は、そんな風に終わっていくのかもしれない。


冷蔵庫からサイダーを取り、またさっきの場所にもどって飲みながら私はぼんやり考える。

おじいちゃんは今も私を空から見ているだろうか。

ちょっと好きだった、あの日焼けした男の子は、今頃どうしているだろうか。

前に飼っていた白い犬は、まだ生きているだろうか。

あらゆるものはなくなっていき、最後に残ったのは、さびしさと、ひとりという自由だった。

そうか、いま、私はひとりなのだ。

どうしようもなくさびしく、ひとりで、自由なのだ。



空は茜色に染まりはじめた。私は残りのサイダーを飲み干し、燦々とした気持ちで、夜ごはんの買い物に出かける準備をはじめた。







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