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Lifestyle|Trend Diary Helsinki 〈01.サマーコテージブームは続く〉

フィンランドの中心地・ヘルシンキでは今、どんなことが注目されているのでしょう。これからはじまる不定期連載『Trend Diary Helsinki』では、現地在住のライターがそれぞれの目線でヘルシンキの今をレポートします。初回は、在住歴10年のテキスタイルデザイナー・吉澤 葵さんが登場。昨今の夏休みの過ごし方、そのトレンドを教えてくれました。

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夏休みになると海外旅行へ出向くことが多いフィンランド人ですが、コロナ以降は旅行に行く機会がなくなったため、田舎のサマーコテージ(mökki「モッキ」と呼ばれる、主に夏に利用するセカンドハウス)で夏休みを過ごす人がとても増えました。

夏休みだけではなく、新型ウイルスのパンデミックが深刻化し始めた2020年の春ごろからサマーコテージに移って、リモートワークをする人も数多く。特にヘルシンキに住んでいる人は外出規制が厳しい都会から離れ、田舎で暮らそうというアイデアを持つ人がとても多かったようです。

サマーコテージを新しく建てた、購入したという人々が増えたという話もよく聞くし、レンタルコテージも大人気。毎年夏は海外旅行に行っていた私の友人も、昨夏からは数週間別荘を借りて夏休みを過ごしています。 



フィンランドのサマーコテージと別荘の違い

夏を過ごすためのセカンドハウスと聞くと、日本の避暑地にあるリッチな別荘を思い浮かべるかもしれませんが、フィンランドのサマーコテージは、自然を感じながらシンプルに暮らすための場所。モダンなものもあれば、中にはシャワーを湖やサウナで済ませ、トイレは水を流さないビオトイレという簡素なものまでスタイルも様々です。暖炉だけで電気暖房がないものも多く、寝る場所、サウナ(別棟の場合も多い)、リビングルーム、キッチンという間取りがスタンダードで、いずれも湖または海に面した自然豊かな場所に建てられています。

エリアとして人気なのは、車で1~2時間で行けるフィンランド南部で、例えばLohja(ロヒヤ)エリアなど、やはりヘルシンキからあまり遠くない場所でしょうか。利用する期間は雪解けが終わる5月頃から雪の降り始める10月頃までで、冬の間は完全に閉めてしまうのが通例です。

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サマーコテージでの過ごし方

一般的なサマーコテージでの過ごし方は、美味しいご飯をみんなで作り、森を散歩し、湖や海で泳ぎ、サウナに入る、というシンプルリビングを繰り返すというものです。森でベリーを摘んだり、魚釣りをしたり、自然を満喫することがアクティビティ。テレビや電子レンジをわざと置かないオーナーもいます。

私のお気に入りの過ごし方は、森を散策してベリーやきのこを摘むことです。きのこは夏だけではなく11月まで採れる物もあるので、秋にコテージで過した時には、必ずきのこを摘みに行きますね。もう一つは、Katiska(カティスカ)という魚釣り用ネットを湖に一晩置いて引き上げる釣り。釣れた魚はすぐに捌いて、新鮮なうちにみんなでいただく。シンプルですが、とても贅沢な過ごし方です。

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(リンゴを拾ってかごに入れる友人の子ども。カワイイ!)



大人数で過ごしたサマーコテージの想い出

今週末、スタジオのお友達でアーティストのKastehelmi(カステヘルミ)のサマーコテージにお呼ばれしました。ヘルシンキから車で1時間半。Lohjan Saari (ロヒヤンサーリ)という島にあるこのコテージはエリアの中でもとても大きく、サウナ、トイレ、小さなログハウスなど別棟の小さめの建物と、大きなメインハウスから成るファミリータイプ。今回は大人と子ども計11人での滞在となりました。

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(メインハウスのエントランス。クラシックスタイルの木造建築です)

メインハウスは100年以上前からある建物で、おばあちゃんの親の世代からサマーコテージとして使っていると聞きました。離れにあるサウナは、隣の部屋でも寝ることができます。私が今回使わせていただいたのは、小さめのログハウスです。

ご飯時にはメインハウスに集まって料理をして、みんなでいただき、気ままに湖で泳いだり、サウナに入ったりというゆっくりとした時間を過ごしました。 

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(友人のおばあちゃんのデコレーションも昔のまま。ダイニングルームには家族写真もありました)

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(窓からの光景。友人が本を読んで寛いでいるのが見えますね)

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(写真上:友人がサウナを温めている様子。サウナは入る数時間前から薪を焚いて温めます。 中:友人がみんなのために置いてくれた石鹸。下:サウナの更衣室的なスペースはリノベーションされていてとても清潔でした) 

たくさんラズベリーがなっていたので、虫に刺されないよう気をつけながらたくさん摘みました。みんなでスナックとして食べて夏の味を満喫です。

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キッズのためのプレイコテージでは友人の子どもと一緒におままごとをしたり、小さなりんごを拾ったりと楽しいことがたくさん!子どもにとっても自然の中で過ごすのはパラダイスですね。

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大人たちは、水際でワインを飲みながら本を読んで寛いだり。今回はたくさんのマニキュアを持っていったので、女の子たちは自然の中にあるネイルサロン的な雰囲気で楽しみました!

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サマーコテージは、新しい生き方の選択

サマーコテージはフィンランドでは以前から一般的でしたが、パンデミック以降その過ごし方や豊かな時間を見直し、身近にあるものをもっと楽しもうという志向がとても強くなってきていると感じます。毎年海外旅行に行っていたフィンランド人の友人(都会っ子)も、田舎暮らしにはまっていて、これからは海外に行かなくてもいい!と言っているくらい。

日本からフィンランドへ訪れた時は、ぜひサマーコテージをレンタルして、自然と一体となるフィンランドのシンプルライフスタイルを体験して欲しいです。

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www.aoiyoshizawa.com

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