『劇場版 からかい上手の高田さん』西片の真剣な眼差しと、真っ直ぐな言葉
【Amazon Prime Videoでまもなく配信開始のアニメ作品をレビューするシリーズ 2023年1月編 その3】
冒頭3:40秒、最高のツカミでスタートする。「相合い傘」をキーにしたこの短いシーンで、当初、男子中学生・西片がいかに劣勢だったのか観客の脳裏に焼き付けられる。
小学館「ゲッサン」で連載中のラブコメ『からかい上手の高木さん』(作:山本崇一朗)。同名劇場版アニメが1/10に見放題配信開始となる。主人公の西片(CV:梶裕貴)は、となりの席に座る女子・高木さん(CV:高橋李依)にからかわれてばかり。いつも悔しい思いをしている。
映画のはじまりは、夏休み目前のある日の授業中。窓の外を見ていた西片に、高木さんが話しかける。
「雨、降ってきちゃったね。良かったー、念のため折りたたみ傘持ってきて。西片は? 傘持ってきた? ふーん、持ってきてないんだ……」
高木さんは自分の席から身を乗り出して、西片のノートに落書きをする。
「これなーんだ?」上目遣いで聞いてくる。
書かれているのは、三角形とそれをつらぬく縦線。状況からして相合い傘のマークにしか見えない。
(……も、もしや高木さん。相合い傘しようって誘っているのかぁー?!)
動揺する西方は真っ赤になって、汗ダラダラ。
しかし、高木さんは西片のノートに何やら書き足しはじめ、相合い傘は全く別のものに……。
劇場版はテレビアニメ第3期の続きで、3年生にあがったふたりが描かれる。高木さんは相変わらず西片の羞恥心のポイントを的確に抑えている。何とか西片は仕返しをしようと目論むが、高木さんは全てお見通し。全く敵わない。
そんな楽しい毎日はずっと続くわけではない。中学時代は残りわずか。これまで友達以上・恋人未満だったふたりの関係が何とも心配だが……?
しかし安心してほしい! 映画のクライマックスで西片が大いにイケメンぶりを発揮し、ふたりの関係は進展する。心に傷を負ってボロボロ泣く高田さんに対し、彼は真剣な眼差しと、真っ直ぐな言葉を向ける(中3にしてこれができるなんてすごい)。
映画の冒頭部分と比べると、西片はちゃんと成長していた。きっと彼は「からかい返す」という目標を一生達成できない。しかし、大切な人を幸せにする力を既に手にしていたのだ。
しかも西片は抜群のロケーション(夕暮れの瀬戸内海)で勝負をキメている。作品の舞台は原作者の出身地・香川県小豆島で、キラキラ光る入り江が本当に美しい。テレビアニメ版からさらにパワーアップした作画は劇場版ならではだ。
なお、エンドロールの後にも短いドラマが続いている。ニヤリとさせられる内容なので必ずチェックしよう!
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