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KISSACOのはじまり


KISSACOをスタートして、2020年7月で11年目を迎えました。

それぞれの国や農園によって、絵柄も麻の色味やテクスチャーもすべて異なるユニークで個性豊かなコーヒー豆の麻袋に私は惹かれ、2009年の7月からKISSACOのバッグを作り始めました。

そもそもKISSACOをはじめるきっかけとなったのは、ひょんなことから父がコーヒーの麻袋を自宅に持って帰ってきたことから。

当時の父は、ちょうどコーヒーの会社の社長をしており、たまたま焙煎工場に視察に行った際に麻袋がふと目に止まったそうで、思わず持ち帰ってきてしまったというのです。

一方、その頃の私と言えば、長男を出産したばかりでまさに子育てに大奮闘中!!

出産する前に勤めていたバッグメーカーは退職していましたし、バッグや仕事のことなどは考える暇などあるわけもなく、右も左もわからないはじめての育児にてんやわんやの毎日でした。

そんな中、長男が生後半年ほどになる頃だったでしょうか。

たまたま実家に帰省した際に、父の持って帰ってきた麻袋を見つけて、完全に"びびび"と来てしまったわけです。

まさに恋に落ちる感覚ですよね。

この麻袋で絶対にバッグを作りたい!!

と電流のようなものが身体中に走り、猪突猛進型の私はすぐにアクションを起こしました。

これもたまたま偶然なのですが、出産前にまだメーカーにいる際に、私が最後に担当したお仕事がイギリスのリバティプリントにビニルコーティングをかけた生地の企画だったのです。


麻袋は触るとゴワゴワしているし、お洋服に擦らせてみたら麻の粉塵がたくさん纏わりつき、匂いも独特だったので、この素材そのままをバッグにすることに躊躇いました。


前職ではお客様から届く修理などもよく見ていたので、壊れやすいものを作ってしまうと後々クレームやメンテナンスの対応が大変になることをよく知っていたのです。

ごわついた麻袋をはじめて手にした瞬間、

そうだ、あのコーティングをかければいいんだ!

とすぐにリンクしました。


麻袋とコーティングのイメージが結びついたあの瞬間の興奮は、今でも鮮明に覚えています。

また、リサイクルするからには長く使えるものに生き返らせないと意味がない、と考えました。


廃材に一手間を加えて、より良質で丈夫なものへと再生させるアップサイクルですね。



*画像はKISSACOの素材を製作している下町工場


そして、忘れもしない2009年のむしむしとした6月の曇りの日、私は生後半年の長男を抱っこ紐であやしながら、麻袋何枚かを大きな袋に詰め込み、下町にある生地加工の工場の職人さんに会うため、勇足で向かったのです。

つづく。


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