日本語でも効果あり!?音読は老化を防ぐ筋トレです。[連載 vol.3]
こんにちは、語学の裏設定のゆうです。連載vol.3の今日は、音読で老化を防げる、というテーマのお話をしていきます。
人はだれでも老け込みたくないと思うものです。そのため、健康グッズ、健康食品にお金を払ったり、はたまたちょっと怪しげなセミナーなんかにも手を出す人もいます。
事実、お金持ちの人が健康に使う金額は半端ないはずですので、読者の皆さまも、お金が有り余るほどあればそれを健康に使いたいことでしょう。そのくらい、老化は人類にとっての敵なのです。
今日の記事は、薬に頼ることなく、お金を使うことなく、老化に対抗する手段とメカニズムについて惜しみなく公開していく記事です。
もちろん手段はタイトルから分かるように「音読」なのですが、音読にはお金はかかりません。
メカニズムについてざっくり説明をすれば、音読は脳と喉の両方に作用するので、2方向から老化を防いでくれると言えるでしょう。
また、脳と喉の両方を「鍛える」ことで、老化を防ぐので、音読は恩恵しかない筋トレであることが読了することには納得して頂けると思います。
1.音読で脳が活性化する
5才児の子供に音読のメカニズムを説明するように言われたら、きっと私はこう答えるでしょう。
もし、黙って本を読んだら、目しか使わないです。でも、目で見て、声に出して、その声を耳で聞いたら、頭をいっぱい使います。だから、ボケにくくなります。
これだけでも直感的に、音読は黙読の3倍効果があると直感できるはずですが、もう少し掘り下げていきたいと思います。
音読は脳の広域を活性化する効果があると言われていますが、主に前頭前野、大脳辺縁系、側頭頭頂接合部の3つに話を絞って進めていきます。
・前頭前野が活性化する
前頭前野とは、「考える」「記憶する」「アイデアを出す」「感情をコントロールする」「判断する」「応用する」など、日常生活で欠かせない多くの部分を司っており、知的活動の中枢とも呼べる場所でしょう。
物忘れがよく老化のサインだと言われていますが、短期記憶 (ワーキングメモリ)を司っている部分もまさに前頭前野です。
このような、重要な脳領域が音読によって活性化されるとされており、たとえば東北大学の川島隆太教授の研究によると、2分間の音読をした後では、そうでないときと比べると記憶力と空間認知能力が20~30%向上していることが分かっています。
前頭前野は、人間の大脳皮質の約30%を占める巨大な領域です。毎日音読をすることで、この部分を若々しく保つことの重要さは、以上のことからきっと納得できると思います。
また、初見の文章や、難易度が高めの文章など、やや負荷がかかる音読をしているときにもっともこの部分が活性化すると言われています。
・大脳辺縁系が活性化する
大脳辺縁系とは、好きか嫌いかを過去の記憶から判断し、好きと判断した場合は意欲を起こし、嫌いと判断した場合は、それを避けるための信号を発する場所です。
つまり、意欲の泉であると言えます。
歳を取ると気力が衰えたり、それが進むと無気力になってしまいます。老化とは体だけではなく、精神的な衰えも含んでいるということをついつい忘れがちですが、意欲の老化もやはり音読で食い止めることができできるのです。
ちなみに、大脳辺縁系は読み慣れた文章を音読している時にもっとも活性化されるようです。
・側頭頭頂接合部が活性化する
側頭頭頂接合部とは、想像力に関する部分で、他の人の意図や考えを察する時に必要な部分と言われています。つまり、ここが弱いとKYになってしまうことになります。
この部分は、音読の時に、読んでいる文章の裏にある情景を頭に浮かべている時にもっとも活性化されるとされています。
ここまでをまとめると、
・前頭前野は、負荷の高い文章で鍛えられ、知的活動能力が上がる
・大脳辺縁系は、読み慣れた文章で鍛えられ、意欲が上がる
・側頭頭頂接合部は、奥行きの深い文章で鍛えられ、想像力が上がる
となります。脳の機能を総合的に押し上げてくれるので、音読はやらねば損です。
2.音読で喉が強くなる
老化と言えば、外見や脳の老化ばかりに気を取られてしまいますが、喉の老化も見過ごせません。というのも、老化は喉からも始まると言われているからです。
まずが喉が老化することによる害悪をまとめると、
・ガラガラ声になり、第一印象が悪くなる
・嚥下障害 (食べ物が飲み込みにくくなる)に苦しむ
・食事が苦痛になる
・栄養不足や誤嚥性肺炎
・また嚥下障害になると口臭がひどくなるとも言われます
このように、身の回りのお年寄りのことを思い出せば、思い当たる事柄が多いことに気づくはずです。
最近脳トレアプリは売れいきが伸びているようですが、そのほとんどは「だまって」取り組むものが多いはずです。そのため、脳から来る老化は防げても、喉から来る老化は防げないので、船に穴が2つあいているのに、その1つだけを塞いで安心しているような状態が、脳トレアプリの実情であると思います。
音読をする時には口や喉周りの筋肉を幅広く使うので、その効果の大きさを容易に想像できますが、中でも注目したいのは声帯です。
声帯は声を出す時に欠かせない器官でありますが、要は筋肉です。つまり、使わなければ衰えてしまうのです。
日本呼吸器学会専門医の大谷義夫先生によると、発声能力の低下イコール嚥下能力(飲み込む力)の低下となり、食べ物を飲み込む力が衰えて、誤嚥性肺炎にかかりやすくなるそうです。
「若い声帯は生肉だが、老化するとビーフジャーキーのようになる」という医師もいるくらいで、声帯のケアは欠かせません。
大谷院長がすすめる音読トレーニングとは朝昼晩に1分ずつ、1日3分文章を読むだけという、いたってハードルの低い方法ですので、ちょっとその気になればラクに継続できます。
スマホのチャットアプリなどの便利な機器が広まったり、引きこもりができてしまう社会構造の出現のせいで、一昔前に比べて人と話す機会が減ってしまっています。個人的な意見を少し言わさせていただきたいのですが、現代人は声を発する時間も減ってしまった気がします。そのため若者の間でも元気のない声で話す人が多いなと感じているのは私だけでしょうか?
若者ですら声の老化が進んでいるかもしれないのに、中年の人・それ以降の人が、一日中何も話さない生活をしていたらあっという間に老化が進むと推論するのが妥当だと思います。
3.おまけ:引きこもりは音読で改善できるか
なぜここで引きこもりの話が出てくるのか...と憤る方もいるかも知れませんが、まず衝撃の事実をお伝えしたいと思います。
引きこもりほど老化の進行が激しいのです。
「ひきこもり 老化」と検索すれば、関連記事が山ほどでてきます。
仕事をやめて家にずっといるようになったら、認知症になり、あっという間に死んでしまった、という話は聞いたことありませんか?
科学的な難しい説明抜きでも分かる理論です。
家の中でじっとしている=脳を使わない
そんなわけで、引きこもりの人は音読をすることで、ひとまず脳機能の現状維持くらいは出来ると思います。
私自身がまさに、長い間引きこもり人生を送っていたので音読の効果とありがたさを実感しています。 例えば、大学生の頃はいじめこそはありませんでしたが、毎日黙って生活をしていました。家に帰ってきてからの、最初の5分くらいの音読は枯れたような声で、つっかえながら音読してきた気がします。
声が全然出ないのです。
しかし10分も音読していれば、だんだん声が出るようになってきます。さらに、夏休み等の長期休暇は、基本的に一緒に遊ぶ人がいないので、毎日を英語の勉強で過ごすという生活をしており、音読が習慣になっていました。長期休暇の時は、学期中よりもわりとスムーズに声が出ていたような気がします。
一人ぼっちの人ほど、音読をしたほうが良いと思います。
それは、単に老化を防ぐということだけではなく、前回の記事[連載vol.2]で書いたように、セロトニンが分泌されて、少なからず幸せな気持ちになれるからです。
そのような意味合いでは音読は人生の救いにすらなるのかもしれないのです。
・音読で幸せホルモン「セロトニン」が出る
・大脳辺縁系が活性化し、現状脱却の意欲が湧く
・側頭頭頂接合部が活性化し、コミュ力の向上に繋がる*
*もちろん、音読だけしていれば人と話せるようになるというわけではありません。やはり会話の中で実践経験値を積むしかないのですが、装備ゼロで会話に挑むよりも、音読である程度コミュ力の種を育てておき、それから実際の会話に挑むというアプローチが良いと思いますし、私の場合はそうしました。
いかがでしたか?
音読は喉と頭に作用することで、若返りを実現してくれます。社会構造の変化で声を出す機会が減ってきました。脳を使う機会が減ってきました。だからこそ、音読という「脳の総合的筋トレ」に取り組んでみる価値があると、私は思うのです。
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