ジョブ型移行はむしろ寛容な時代の始まり

中小上場企業の人事担当者が思う、働き方のコラムです。

前回のコラムで、終身雇用が現代の日本では弊害が大きいので、ジョブ型の雇用形態に移行する。というお話しに触れました。
それに伴い労働者は副業か兼業をすべき!と考えています。

1.ジョブ型(欧米型)とメンバーシップ型(日本型)雇用について

ここで、ジョブ型という言葉を解説しておきます。

▼ジョブ型雇用 職務を明確にした上で最適な人材を配置する、欧米などで一般的な雇用形態。職務に必要な能力を細かに記載した「職務定義書」(ジョブディスクリプション)を示し、社内外から人材を募る。企業が求める能力を明確にして雇用契約を結ぶため、勤務時間ではなく成果で評価するのが一般的だ。(2020/5/27付 日経新聞)

それに対して現在の日本の雇用形態は以下のように説明しています。

一方、日本では多くの企業が職務を限定せず、広く人材を採用するメンバーシップ型を導入する。新卒一括採用、終身雇用を前提に、企業がゼロから人材を育てるという考え方が根付いている。社員の立場は安定的だが、転勤や配置転換などの業務命令に従わざるを得ないケースが多い。(2020/5/27付 日経新聞)

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会社をサッカーチームに例えると、前者は
「FWならFWの道を、MFならMFを…それぞれ極めなさい!」
という感じでしょうか
後者は
「今日から1週間はボランチな、次の週はGKな!場合によっては攻撃陣にも加わる可能性あるからな!色んなポジションを経験してサッカーというものを知るんだ!」
・・・という感じでしょうか(間違ってたらごめんなさい)

ジョブ型(以下J型)サッカーチームの方はスタメン争いが激しくなります。
フォーメーションの割り振りにも寄りますが、サッカーで試合に出られるのは11人。その中のFWの座争いとなれば至極必須です。

一方、メンバーシップ型(以下M型)はFWを希望していてもMFで試合に出られる可能性があります。みんなが活躍できるチーム、素晴らしいですね。

しかしながら、このM型にはあるチームルールが設けられていました。
そう、先輩を優先してスタメンに入れるというものです。

そうなるとどうでしょう?上手い後輩がいても中々スタメンにはさせてもらえません。
結果、なんとな~くなM型チームは、J型チームに試合に勝てなくなっていく…

これが日本の現状です。

M型と終身雇用・年功序列の弊害のせいか、日本は名目GDPは世界3位でも2018年の一人当たりの名目GDPでは26位。アジアで見てもシンガポール、香港に次ぎ第3位です(ちなみに1位はルクセンブルク)。
めちゃくちゃお金持ちの国ではないことが分かります。国際競争力の低下の観点からも、ジョブ型の導入を経団連は訴えています。

要は、スキルのある人材が今後一層求められる世の中になるのです。

ただ、私はメンバーシップ型のジョブローテーションは非常に勉強になるとは思っています。
一時期、会社の都合で経理を3か月間だけやったのですが、お金の流れの面から見た会社を理解することができました。が、元の総務・人事に戻ってそれがメチャクチャ仕事に活きたかというと、1年間の賞味期限つきだったようにも思います(要は今はあまり覚えていない)。

また、サッカーの例えに戻ります。
J型で試合に出られない選手は、その間筋トレに励み肉体改造をしていました
youtubeでフォームの勉強もしました。(スキルを身に着ける)

また、違うサッカーチームにも顔を出しました。こうして試合の場数を踏む努力もしました。

これが、副業か兼業です。

2.副業・兼業でスキルアップと収入源を増やす

コロナでも露呈したと思いますが、稼ぎ口が一か所しかないことは大きなリスクになります。
イートインしかしていなかった飲食店は急ピッチでテイクアウトに切り替えました。テレビの仕事がなくなった芸能人も急ピッチでyoutube進出をしました。

都合の良いことに、働き方改革で会社にいる時間は短くなってきています。
残業代が得られなくなるから、副業で新たな収入源を確保するのは悪くないかと思います。一つの会社にいると見えない事も多いですから。
「残念ながら、うちの会社は副業禁止なんだよ」という会社さんは多いかと思います(正直私の会社もそうです)。
バレないで副業する方法はこちらの動画が大変参考になるかと思います。

副業は突き詰めていくとスキルアップにもつながります。
本業を疎かにせず、副業の時間を確保する必要がありますので、本業を効率よく時間内に終わらせるスキル=生産性の向上が求められます。
Aさんはレジ打ち1時間で20人さばけるけど、Bさんは同じ1時間で15人だったら、Aさんの方が生産性が高いわけです。これがスキルです。
逆説的に言えば、副業ができる人=仕事ができる人になるわけです。

副業とは別に兼業も上げている理由は
兼業は極端な話、個人事業主になった方がいい場合があるからです。

会社員+副業でいるより、スキルがずば抜けて身についているのであれば
個人事業主または法人を立ち上げた方が収入増になる可能性があります。また会社に時間で拘束もされなくなるので、スケジューリングも自由になってきます。
雇用されないことにはリスク(安定収入が途絶える可能性、雇用保険に加入できない)もありますので、副業か兼業かを選ぶのはその人次第です。

そして「雇用しない」ことは会社側には人件費削減という大きなメリットがあります。

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JOB型は専門スキルが要求されるので、スキルを持たない労働者をどんどん解雇される事が予想されます。
また、雇用ではなく業務委託の形態でこれまでの雇用と同じ成果物が得られるのなら、企業は人件費(給与の他に福利厚生費や社会保険・雇用保険、交通費など)を削減することができるので、会社員はごく一部だけという可能性もあるわけです。

3.ピンチはチャンスです

ここで、昨今色んな人が
・スキルを身に付けないと
・リストラが当たり前になる
・できるやつとできないやつの格差が広がる

と警鐘しています。

私も勿論その通りだと考えています。

しかしながら私は、会社を辞めやすい=リスタートが切りやすいとも言えると考えています。

個人的にハワイが大好きで、ハワイに行けない今動画で現地の様子を見たり、SNSで現地在住の方の様子を見ています。

観光業で成り立っているハワイにおいて、コロナショックは甚大なはずです。
彼らは「仕事がないぜ!困ったな!ハハッ」という感じで、本当に困ってるの?と突っ込みたくなるくらいののんびりした暮らしを満喫しています(※全員がそういう訳ではないと思いますが)。

これは、ジョブ型を採用するアメリカが失敗に寛容で、リスタートをしやすい環境にあるからではないかと。

日本はこれまで終身雇用が大前提だったので、「離職するなんてヤバくない?」と、離職=汚点と捉え履歴書の真っ白さを求めます。
(何もできないのに新卒という真っ白な子のニーズと言ったら…。話それますが、新卒なんて会社色に染めて洗脳する為にあるものだと思っています。実際に新卒で入社した会社にはかなり洗脳された)

ジョブ型移行へ危機感を警鐘するのは勿論必要なことですが、必要以上に煽る・煽られるのは如何なものかと思っています。

また危機感を煽ったり、ネガティブな記事の方が目を引きやすいので
TVニュースもオリンピックでもない限り冒頭は暗いニュースから入りがちなのです。

じゃあ、どういうスキルを身に付けたらいいの?と聞かれたら
私は好きなことを伸ばせばいいんじゃない?
と答えます。

いくら運動神経のない人が「100mをスキルを身に付けて9秒台で走ります!」と言っても不可能に近いので
好きなこと・得意なことを伸ばした方が早道です。

私は文章を書くのが割と好きなのでnoteを始めてみたり(お金にはなりませんが訓練にはなる)
絵が得意な人はフリー画像を提供していったら仕事に繋がるかもしれない
バスケが得意な人は教えればいい
(スポーツのプロは逆にできる人なので、そこそこの人の気持ちが分からない可能性が高い)

やりたくないことやっても、突き詰められないですしストレスになるだけです。

またAIに取って代わられる仕事も多いので、やれる仕事も少なくなる。
なら極端な話、1億総クリエイターになってしまえば良いのではないか。

できる人は、できない人に無料で教えてあげればいい。そうやって富を再分配していく。

新しい時代を、もっとキラキラした気持ちで迎えたいと思うのでした。

次回は企業側から見た働き方について書きたいと思います。

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