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社会人になって螺旋の力を知った:“Libera me” from hell×岩崎琢

らむです。今日はお昼にランに出ました。曇り気味の日で、いつもよりちょっと、ひんやりする気がしました。そんな天候もあってか、折り返しあたりで少しお腹が痛くなってしまったので、小休憩を挟みました。無理は禁物。後半は立て直し、終わった頃には爽快な気分になれました。

曇り気味だったのですが、
海の奥側の一部だけ、日の光が垣間見える、
稀な景色を見れた気がしました。

昨日に引き続き、今日も好きな音楽の紹介へ。岩崎琢さんが作曲を手がける「“Libera me” from hell」について、自分の過去の経験談なども織り交ぜ、綴っていきます。

アニメ天元突破グレンラガンのBGMで流れていた曲です。グレン団の仲間である、キタンの名シーンとクライマックス近くでこの曲が流れるのですが、ストーリーの中身と相まって、ものすごく、ただただ、かっこいいんです。天元突破グレンラガンは、私の中では、好きなアニメトップ5に入るくらい、大好きな作品です。気合い、根性、勢いなどのイメージが強すぎるアニメなのですが、そういったイメージが、はちゃめちゃにも思えるエネルギーとなって物凄く元気を与えてくれる。そんなアニメと感じています。

1年半前くらいに、
映画版もやっていたので、
見に行きました。

“Libera me” from hellは、序盤オペラ歌手のような女性の歌声が、神聖で壮大な雰囲気を作り出しているのですが、一転してラップ調に変わります。後半にはオペラとラップがミックスされた感じになって、最高にかっこよく仕上がっています。聴いているとセンチメンタルな気持ちになるパートもあれば、一緒に「ロー!ロー!ファイトパワー!」って腕をあげて声に出したくなる気持ちになったりします。

ボクシングの試合では選手が入場する時に、それぞれがテーマ曲のようなものを流しながら、入場してくるかと思います。もし、私がボクシングをやる道を歩んでいたら、間違いなく私のパワーソングとして、入場曲に取り入れていたと思います。合わせて、タイムマシンがあったら、天元突破グレンラガンのBlu-ray Discとこの曲を元気のないタイミングにいた昔の私自身に送ってあげたい。「お前には強い螺旋の力(※)が宿っている、だから安心して良いぞ」ってメッセージも添えて。そのくらい元気をもらえたお気に入りのアニメと曲なのです。
※螺旋の力とはアニメ内で出てくる概念で、人類が前に進み続ける力のようなもの、と私は捉えています。

今日もランニング中にお腹が痛くなってしまったのですが、立て直す際に聴いて、無事に後半で走りきる力をいただきました。

そんな天元突破グレンラガンなのですが、この作品に出会ったのは、社会人になってからで、アニメが放送されてから大分経ってからでした。


天元突破グレンラガンを教えてくれたのは、医療系メーカーの営業職として勤めていた時の同期である「H」だった。同期Hは、関西出身で、気さくで、誰とも上手くやって、仕事も器用にこなす営業の同期だった。

入社して最初の研修期間、私たちは東京の寮に入っていた。その寮で隣同士の部屋だったのだが、最初はそこまで関係が深かったわけではない。ある飲み会か何かでアニメが好きなことを話したら、「オレもめっちゃ好きやで!」って向こうから返事があり、意気投合した。魔法少女まどかマギかのDVDを私が持っていたので、寮で一緒に見たりもした。大人になってから、リアルでアニメや好きなことの話ができることは少なくなっていたから、私にとって同期Hと色々な作品を語らったり、見たりするのはとても楽しく、何か新鮮な気持ちを得られていた。

研修が終わって、それぞれの異動先が発表された。まさかの同じ東海エリアへの配属だった。寮で隣室の、アニメで意気投合した人間が、見知らぬ土地でも近くにいるのは、心強かった。

私は、東海エリア内でも遠方のエリアを担当していた。月〜金曜日は遠方エリアのホテルを転々と宿泊して、金曜日の夜遅くにオフィスへ帰ってくる、そんな営業スタイルを取っていた。売上数字はなぜだか上がっているが、会社では姿をほとんど見せない、幽霊社員やレアキャラ扱いを受けていた。

ただ、同期Hとだけは、ほぼ毎週金曜日に出くわしていた。私が金曜日の夜遅くにオフィスへ帰ってくると、結構な頻度で同期Hはまだ1人で仕事をしていたのだ。遠方ではないが、かなり攻略が困難なエリアを任されていたり、普通の営業メンバーよりも顧客数を多く持たされたりしていたので、業務量も逼迫し、残業をしていたようだった。

私が帰ってくると、
「今日トリ残ちゃう?」と言って、私も「トリ残だね」と反応して、2人でオフィスを出る。向かう先は居酒屋チェーン店の焼き鳥屋さん。焼き鳥屋さんで残業するから「トリ残」。もはやそれがルーティンになっていた。来週に必要な説明会やプレゼン資料の作成、溜まっている週報や経費精算などを、それぞれ処理していく。業務で使う社内システムの使い方をその場で同期Hに教えてもらったり、効率的に業務を進める上で、彼が得たノウハウなどを共有してもらい、私は非常に助けてもらっていた。また何よりも、ずっと遠方にいて、独りでいることが多かったため、社内の関わりから断絶されていた私にとっては、どこか会社との繋がりを感じられる、ほっとする時間でもあった。

そんな金曜日の夜をよく過ごしていて、焼き鳥屋さんでの残業が、ある程度区切りがつき、そのまま飲み食べしていたある日のこと。

私:「Hってすごいよね」
H:「何が?」
私:「活動的というか、ガッツがあるというか」
H:「らむも一緒やろ」
私:「じゃあオレもすごいってことか」
H:「せやで。これ、螺旋の力や」
私:「螺旋の、、、力?」
H:「せや。って、えっ、ちょっ、知らんの!?」
私:「うん」
H:「天元突破できる力やで」
私:「いやっ、ちょっとわからない」
H:「、、、」

そんなやりとりをして、絶対に天元突破グレンラガンは今すぐにでも見るべきだと同期Hから言われ、焼き鳥屋さんを出た。その後、同期Hの家に行き、サブスクで見た。最初は二次会がてら、1話だけ、どんなものか見る予定だったのだか、笑いあり、涙あり、勢いあり。同期Hが爆睡している傍ら、私は人の家で朝まで、一気に見きって、物凄く感動したのを覚えている。

主人公シモンの、大切な出会いと別れを通して、成長し強くなる姿。キタンの見せる生き様。カミナの意志を継いで、人類の繁栄を取り戻すべく、前進するグレン団。その姿を見て、物語内で登場する概念、「螺旋の力」がバカみたいだけど、自分にも少なからず宿っている気がした。

今の仕事もだが、これまで生きてきた中で、多少なりとも、自身にとって逆境となりうることに出くわしてきた。それらを乗り越えられたのは、めげずに前へ進もうと努めてきたからだ。まさに螺旋の力じゃないかと。焼き鳥屋さんでの残業で螺旋の力を知ったそれ以降、私は同期Hが当たり前のように言い放った螺旋の力という概念を使い始めた。同期Hの前と自分の心の中でだけだが、多用している。自分には螺旋の力があると言い聞かせたり、螺旋の力を使って乗り越えるぞって。

これまで何となく頑張ることができていた原動力のようなものに、名前を与えたことによって、心の中で自分もグレンラガンの世界に入り込んだりして、困難なことや逆境を乗り越えようとしたりしている。バレたらちょっと恥ずかしいやつなのかもしれないが、それで物事がうまく進むのなら、螺旋の力、万々歳だ、といった気の持ちようでいる。


大の大人が螺旋の力を心の中で使ったりする。そんな遊び心やユーモアさを与えてくれて、今なお、私にパワーを与え続けてくれる、大切な一曲です。



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