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強靭な経済とテクノロジーが株価マルチプルを正当化する


 2月18日、ヤルデニ・リサーチのエド・ヤルデニ氏を迎えてのCNBCのインタビュー・コンテンツを紹介します。
 少なくないストラテジストが市場の混乱を強調し、警戒を促す中で、ヤルデニ氏が一貫して楽観的な見解を示している点に注目。
 ヤルデニ氏は、過去3年間に渡って金融引き締めをうけても耐え抜いた強靭な経済は、景気後退の明確な兆候が見られない中で、これからも株価の高いバリュエーションを正当化しながら市場の上昇を支えていくとしています。また、新たな政権から、金融政策に対してFRB一辺倒ではない、新たな財政規律の生まれる可能性についても言及しています。ご参考下さい。

 




1.インタビュー


[ジョー・カーネン](CNBC)
 ヤルデニ・リサーチの社長、エド・ヤルデニさんにお越しいただきました。おはようございます。お会いできてうれしいです。
 エドさんは一貫して市場を楽観視されています。多少の変動があることは認めつつも、迷いはあまり見られません。一方で、最近番組に出演されたストラテジストの中には、「混乱だ、混乱だ」と強調する方もいました。例えば、ある方は、関税の問題やトランプ大統領が引き継いだ好景気について触れつつ、現在は混乱状態だと指摘していました。でも、主要指数は過去最高値まであとわずか1ポイント足らずの水準です。
 市場はどのタイミングでも最高値を更新できる状況にあるとも言えます。ただ、バリュエーションは高水準で、インフレの問題も完全には解決していません。それでも、なぜ今年さらに市場が上昇し、7,000ポイントに到達する可能性があると前向きに考えていらっしゃるのでしょうか?仮に7,000ポイントまで上がるとすると、15~20%ほどの上昇になりますね。


[エド・ヤルデニ](Yardeni Research)
 結局のところ、経済の強さがすべてだと思います。この3年間で、経済は金融政策の大幅な引き締めにも耐え抜けることを証明しました。フェデラル・ファンド・レートはゼロから5.25~5.5%まで引き上げられ、多くの人が景気後退を予想しましたが、私はそうは思ってはいませんでした。そして興味深いのは、この3年間の経験から誰も学んでいないように見えることです。つまり、この経済は本当に強いのです。
 政策や関税をめぐる混乱があっても、経済は耐えられると考えています。結局のところ、現在の政権が目指しているのは、報復関税ではなく、対等な関税です。他国の関税に合わせる形で関税を設定し、30日間の猶予を設けたうえで交渉し、関税引き下げを模索するというものです。これは重要なポイントだと思います。
 また、規制緩和も引き続き進んでいます。最終的には、経済の強さこそが決算の堅調さにつながり、それが市場を支える要因になります。今の市場が底堅く推移しているのも、その力強い経済が支えているからだと考えています。


[ジョー・カーネン](CNBC)
 重要なことですね。過去を振り返っても、バリュエーションが高水準だからといって、それ自体が市場の下落を引き起こすわけではありません。おっしゃる通りだと思います。
 金利の引き下げがあれば、バリュエーションの拡大につながるかもしれませんが、引き下げがあるかどうかは分かりません。ただ、仮に今年FRBが何もしなかったとしても、それが直ちにバリュエーションの急落につながるとは限りません。つまり、もし経済環境と企業の決算が堅調であるというエドさんの見方が正しければ、S&Pは企業業績の好調さだけで15%の上昇も十分に可能だということになりますね。


[エド・ヤルデニ](Yardeni Research)
 その通りです。そして、生産性が再び向上していると思いますし、今後もその傾向は続くでしょう。
 テクノロジーの進化、デジタル革命は、1950年代のIBMのメインフレームから始まり、今やAI技術へと発展しました。もちろん、中には実用性に欠けるものや、ハルシネーションを起こすような問題もありますが、今見えてきているのは、AIやデジタル技術が飛躍的に進化し、ヒューマノイドロボットや自動運転車が数年後ではなく、今年や来年に実用化されるレベルに達しているということです。これらを総合的に考えると、市場はしっかりと先を見据えた動きをしていると考えられますね。


[ジョー・カーネン](CNBC)
 ウォール・ストリート・ジャーナルの記事で、市場に過熱感がある兆候について触れていましたが、その一部は個人投資家によるものかもしれませんね。
 ただ、誰を基準に判断すべきなのか、正直分からないところもあります。時にはプロの投資家がまったく見当違いの判断をしているように思えることもありますし、逆に彼らに逆張りするべきなのかと考えることもあります。一方で、個人投資家は往々にして下落局面で売り、上昇のピークで買ってしまう傾向がありますよね。
 この状況を逆張りのシグナルと見るべきなのか、それとも市場が本来のファンダメンタルズに見合わない水準にあると考えるべきなのか、エドさんはどう見ていますか?


[エド・ヤルデニ](Yardeni Research)
 おっしゃる通りで、結局のところバリュエーションの話に戻りますね。よく言われる平均回帰の考え方では、多くの人が過去の平均を基準にし、将来の予想PERは15倍程度が適正だと考えています。しかし、マグニフィセント・セブンのPERは現在30倍程度で、少し下がって28倍くらいかもしれません。一方、それ以外のS&P493銘柄では19倍程度です。確かに、これらは15倍と比べると割高に見えますが、バリュエーションを考える上で重要なのは、この景気拡大がどれだけ続くかという点です。
 この3年間で、経済が非常に強靭であることが証明されました。そのため、今後10年のうちに景気後退が起こらない可能性も十分にあります。もしかすると、狂騒の2020年代になるかもしれません。実際、今のところそのような状況が続いていますし、景気後退が近いと示す明確な理由も見当たりません。
 もしこのまま景気が堅調に推移すれば、企業の決算が伸びることで、バリュエーションは自然と調整されるでしょう。それは景気後退によって急落するのではなく、むしろ企業の業績がしっかりと成長することで、割高感が解消されていくという形になると思います。


[ジョー・カーネン](CNBC)
 もし今後6年、7年、8年と景気後退がない状況が続けば、それは前例のないことになりますね。最後にそんな長期間の景気拡大があったのはいつでしょうか?
 すぐに思い浮かぶのは1990年代ですね。あの時期は非常に長い景気拡大が続きましたし、今の状況と似ている点も多いと思います。私は現在の状況と当時を比較することがよくあります。


[エド・ヤルデニ](Yardeni Research)
 それに加えて1920年代もありますね。私は、狂騒の2020年代と呼んでいますが、1990年代との共通点も多いと感じています。特に、テクノロジー革命の進展が似ています。
 そして意外かもしれませんが、この混乱の中から財政規律が生まれる可能性もあると思います。これは、かつてのクリントン政権時代とよく似ています。当時、クリントン氏は、債券市場の監視者たち(ボンド・ビジランテ)の存在によって、自分の政策に制約があることを理解しました。同じように、スコット・ベッセント氏がトランプ大統領に対して、FRBではなく債券市場を見ろ。我々の政策が機能することを債券市場に納得させる必要がある、と助言しているようです。




2. オリジナル・コンテンツ

 オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご視聴になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。

CNBCより
(Original Published date : 2025/02/18 EST)

[出演]
  Yardeni Research 
    エド・ヤルデニ(Ed Yardeni)
    President

  CNBC
    ジョー・カーネン(Joe Kernen)


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だうじょん


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