2025年は、FRBに複雑な舵取りが求められる年になる
この投稿は、11月22日に公開された「Bloomberg Real Yield」のコンテンツを参考にした訳で、専門家の市場認識や見解を紹介するものです。以下、主な概要となります。
金融政策と財政政策をめぐる不透明感
FRBが慎重な政策運営を求められる状況において、インフレ率や利回りの動向を踏まえて12月のFRBの利下げについての業界各位のコメント等が紹介されています。国債利回りとドルの長期見通し
米国債市場、FRBの金融政策、選挙後の財政政策、ドルの動向に関する議論の内容が紹介されています。選挙後の市場の変化やFRBの利下げの可能性についての見解が交わされる中で、選挙結果が財政政策に与える影響や、ドルの短期的および長期的な見通しについても触れられています。クレジット市場:利回り追求とリスク管理
2025年を見据えたクレジット市場の投資環境についての議論内容が紹介されています。クレジット市場の現状や将来予測、利回り重視の投資機会と防御的なポートフォリオ戦略の重要性、そして高リスク分野への慎重なアプローチなどが紹介されています。
1. 金融政策と財政政策をめぐる不透明感
[ボニー・クイン](Bloomberg)
まずは今日の注目ポイントです。米国の強い経済指標を受けて、国債利回りが下げ幅を縮小しましたが利回りは引き続き高い水準にとどまっています。一方、トレーダーたちは12月の利下げに対する自信をやや失いつつあるようです。また、クレジットスプレッドは歴史的な低水準に近い状態が続いています。
最初のテーマは、金融政策と財政政策をめぐる不透明感です。
2. 国債利回りとドルの長期見通し
[ボニー・クイン](Bloomberg)
このチャートをご覧ください。10年物の国債利回りが過去1か月間で安定的に上昇している様子がわかります。そしてご覧の通り、選挙後にはさらにもう一段の上昇が見られました。この動きは特に2年物や5年物の部分で顕著ですが、それについてはこの後に詳しく見ていきます。
次に、画面を切り替えて、FRBの利下げに対する市場見通しを見てみましょう。現在、12月には13ベーシスポイント程度が織り込まれていますが、1月になるとその数字は6ベーシスポイント未満とさらに減少しています。次の2回にわたるFOMCは非常に注目される展開となりそうです。
そして、1月の大統領の就任式ではどうなるのでしょうか。その頃までには財務長官が決まっている可能性があります。もしかすると今日中に財務長官が発表されるかもしれません(※)。市場にとっては消化すべき情報が多く、今後の展開も目が離せません。
さて、FRBに関連して、9月の50ベーシスポイントの利下げに関して反対意見を述べたミッキー・ボウマン理事の発言をお聞きください。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
ここで、UBSのカート・ライマン氏とニュービーン・アセットマネジメントのトニー・ロドリゲス氏をお招きしています。
まず、カートさんに伺いたいのですが、当時のミッキー・ボウマン理事の反対意見は少し珍しいものでしたが、今では違った見方もできるようです。12月に利下げが実施されない可能性はあるのでしょうか?
[カート・ライマン](UBSグローバル・ウェルス・マネジメント)
我々のFRBに対する見解は、一般的なコンセンサスとは少し異なっています。これまでの利下げを踏まえても、FRBの政策はまだ抑制的な領域にあると考えています。経済は比較的堅調ですが、来年を通じて住宅費がインフレに与える遅行的な影響が解消され、インフレ率が目標に向かって戻っていくと予想しています。そのため、FRBには今年もう一度利下げを行い、さらに2025年には4回の利下げ、つまり来年を通じて合計125ベーシスポイントの利下げを実施する余地があると見ています。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
面白いことに今ではむしろ、そのシナリオがコンセンサスに反する見方になっていますね。トニーさん、ここでお伺いしますが、この数週間で何か考えが変わりましたか?特にカートさんが先ほどおっしゃった、来年末までに依然として多くの利下げがあるシナリオを踏まえていかがでしょうか?
[トニー・ロドリゲス](ニュービーン・アセットマネジメント)
そうですね、我々の見解はカートさんの意見に少し似ていますが、利下げに関してはそこまで積極的ではありません。12月には25ベーシスポイントの利下げが行われる可能性が高いと考えています。また、成長は鈍化する見込みですが、選挙前に予想していたほどの鈍化にはならないと思っています。
今回の共和党の勝利によって、非常に積極的な財政政策が取られる可能性が高まったと見ています。税法が延長されることで、市場が予想していたよりも大きな財政赤字が拡大する可能性が高まり、これが成長をある程度下支えすることになると考えています。
結果、我々は2025年の見通しから50ベーシスポイントの引き下げを減らしました。したがって、12月に25ベーシスポイントの利下げを予想し、2025年には6月から9月の間のどこかで50ベーシスポイントの利下げが行われると見ています。そしてこれはデータや政策次第となると考えており、貿易や移民政策の影響などで相殺されるリスクもあります。但し総合的には、12月に25ベーシスポイント、2025年にさらに50ベーシスポイントの利下げを予想しています。また成長は引き続き堅調で、インフレは緩やかに下がるものの現在の水準から大きく下がることはないと見ています。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
大きな違いがありますね。来年末までに75ベーシスポイントの利下げと125ベーシスポイント。その差は、50ベーシスポイントもあり、この経済状況では非常に大きな違いです。どちらの見方にしても、その確信の理由は何でしょうか?次期財務長官が誰になるかも分からず、議会で何が起こるかも不透明で、次期大統領の就任式すらまだ迎えていない状況です。それに加えて、経済自体がすでに少し不安定な道筋にある中でのことです。
[カート・ライマン](UBSグローバル・ウェルス・マネジメント)
その通りですね。減税が延長された場合、重要なポイントとして、それが財政赤字を増やす可能性はありますが、成長を促進するわけではないという点があります。減税を維持するだけでは、新たな刺激策にはなりません。同じ効果が続くだけです。経済に実際のブーストを与えるためには、さらに追加的な政策が必要です。例えば、法人税の減税、TIPSや社会保障所得の控除、そして残業代に関する新たな取り決めが実現されることが必要でしょう。
我々は債券市場で目立とうとしているわけではありません。我々は現在の価値を高く評価しています。現金からポジションを移してイールドカーブの中央部、特に5年物に注目しています。ただし、より長期の債券、例えば10年物や30年物にまで延ばしても、それに見合う十分な追加利回りが得られません。また、ご指摘の通り、政策の実施や人事の任命、そして議会が政権の提案にどこまで歩み寄るかどうかという点で、引き続いてのボラティリティも予想されます。これらを考慮すると、現状では長期債券に手を出す理由が乏しいと考えています。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
税制優遇措置の延長についても、来年末の時点で経済政策の全体像が大きく変わっている可能性があります。カートさん、2026年と新たなFRB議長が就任する可能性について、どれくらい考慮すべきだと思いますか?
[カート・ライマン](UBSグローバル・ウェルス・マネジメント)
今の債券市場については、必ずしもそのようなことは考えていないと思います。FRB議長は引き続き抑制的な政策を維持する可能性が高いですが、その頃には政策金利が中立水準にかなり近づいていると予想しています。これから注目すべきは、経済の動向、特にインフレがどのように推移していくかという点だと思います。トニーさんや先ほどのご指摘にもあった通り、貿易や財政赤字の拡大の可能性を踏まえると、より高いインフレ率が懸念されます。
我々がイールドカーブをさらに広げて金利リスクを取らない理由の一つは、10年物の国債利回りが4.75%やさらには5%に達する可能性を排除できないからです。これは、FRB議長がインフレ率を目標に戻すための政策をどこまで継続するかにかかっていると言えるでしょう。現状では、こうしたリスクを踏まえた慎重な姿勢を維持しています。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
そうですね。ではトニーさんにお伺いしますが、現在の利回りは4.4で、少し上昇した状況にあります。このレベルで小さなレンジ内にとどまっているように見えますが、この動きのどの程度が関税の影響を織り込み始めた結果だとお考えですか?まだ具体的な関税内容すら分かっていない状況ですが。
[トニー・ロドリゲス](ニュービーン・アセットマネジメント)
ご指摘の通り、政策に関する不確実性の多い中で、誰もが自分の見解に対して強い自信を持てない状況にあります。加えて、データや地政学リスクに関する不確実性も常に存在しています。
我々の見解では、従来よりも財政刺激が増える可能性があり、これは成長にとってプラスです。一方で、移民や貿易に関する政策は中期的には成長を抑制する影響を持つ可能性があります。
来年後半にパウエル議長と現在のFRBが対応する場合であっても、2026年に新しい議長がFRBを率いる場合であっても、政策実施の実際の影響を慎重に見極める必要があると考えています。たとえば、広範な関税の引き上げが短期的にインフレを押し上げる可能性がある一方で、貿易縮小や移民政策の影響で労働供給が減少することで中期的には成長を抑える可能性があります。
次期FRB議長や現在のFRBにとって、来年後半は非常に複雑な状況に直面することになり、その複雑な要因をどのように舵取りするかが鍵となると思います。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
お二人にお伺いしたいのですが、現在のFRB議長が突発的に、あるいは計画的に解任される可能性についてはどの程度考慮されていますか?それはリスクの一つとして織り込んでいますか?もし現時点で織り込んでいないとしたら、実際にそうなった場合、どのように対応するお考えでしょうか、トニーさん?
[トニー・ロドリゲス](ニュービーン・アセットマネジメント)
そのことは非常に可能性が低いと考えています。もしFRB議長を解任しようとすれば、FRBと政権の間で法的争いに発展し、長引く可能性が高いからです。議長の任期は2026年までですので、政権側はおそらく忍耐強く待つ姿勢を取るだろうと見ています。
現在、FRBは利下げに向けた路線を進んでおり、これは今のところ政権が望む方向性と一致していると思われます。そのため、議長が解任されることは想定しておらず、市場にとっても問題にはならないと考えています。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
カートさん、いかがですか?
[カート・ライマン](UBSグローバル・ウェルス・マネジメント)
その質問は今年を通じて多くのクライアントから寄せられてきた質問ですが、結論から言うと、今からパウエル議長の任期が終わる2026年までの間の新政権の下でFRBの独立性が揺らぐような事態は起きるとは考えていません。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
簡単にお伺いしますが、トランプ氏が勝利した場合、短期のあいだ、ドルが強含むというお話がありましたよね。ただ、その影響は市場からすぐに解消される可能性はありますか?この8週間、ドルへの資金流入が続いていますが、この傾向はあとどれくらい続くとお考えですか?
[カート・ライマン](UBSグローバル・ウェルス・マネジメント)
長期的な視点で見れば、ドルが弱含む方向に向かうと考えています。しかし、現在ドルを押し上げている要因は何でしょうか。それは、貿易に関する懸念、米国経済がより大きく成長する可能性、そしてFRBが他国の中央銀行よりも利下げに慎重であることです。これらが現時点でドルの強さに影響を与えています。ただし、視点を来年半ばから2025年末に延ばすと、ドルはその頃には今よりも弱くなると予想しています。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
皆さん、まだまだ話したいところですが、残念ながらここまでとさせていただきます。UBSのカート・ライマンさん、そしてニュービーンのトニー・ロドリゲスさんに感謝申し上げます。
3. クレジット市場:利回り追求とリスク管理
[ボニー・クイン](Bloomberg)
次はThe Auction Blockの時間です。今年のクレジット発行が強い勢いで締めくくられようとしています。
今週の高格付け債のマーケットは活況を呈し、発行額は360億ドルを超え、予想を大きく上回りました。アリババ、モルガン・スタンレー、JPモルガンといった大手企業が牽引しました。
これにより、11月の発行総額は850億ドル弱となり、年間では史上2番目の高水準に達しています。
そして、今週行われなかったものを一つ挙げたいと思います。
アダニ・グループは、創業者が米国の検察から贈賄疑惑で起訴されたことを受け、6億ドルの発行を取りやめました。 これにより、同社の債券は全体的に下落しました。
米国国内のクレジット市場に話を戻すと、ブラックロックのアマンダ・リアム氏は、経済成長の堅調さがこれらのタイトなスプレッドを支える可能性があると指摘しています。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
ここで、ゴールドマン・サックスのロトフィ・カルウイさんとパインブリッジのスティーブン・オーさんにお越しいただきました。お二人ともありがとうございます。
ロトフィさん、まずお伺いしたいのですが、現在は評価が難しい環境と言われていますが、その中で良い点はどこにあるとお考えですか?
[ロトフィ・カルウイ](ゴールドマン・サックス)
2025年に向けて、過去40年間で最も厳しいスプレッドのバリュエーション制約の中に入っていると言えます。それでもクレジットを購入する理由は何でしょうか。それは利回りにあります。確かにスプレッドは非常に狭いのですが、国債のイールドカーブに支えられたベース金利は非常に魅力的です。
例えば、投資適格債(IG)を例にとると、慎重にみても2025年のトータルリターンは約5%から5.5%になる可能性が高く、これは十分に魅力的な投資対象と言えます。さらに付け加えると、デュレーション・コンポーネントからの良好なヘッジが得られる点も見逃せません。仮に明日、景気サイクルで突発的な事故が発生したり、本格的なリセッションに陥った場合でも、このデュレーション・コンポーネントは非常に優れたヘッジとして機能します。
ですから、現在の議論の中心はスプレッドではなく、利回りに焦点を当てたものと言えます。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
ではスティーブンさん、ロトフィさんのお話を踏まえて、この状況でどのように意思決定をされますか?2025年には実際に起こり得る可能性の幅が広がっているように見えますが。
[スティーブン・オー](パインブリッジ・グローバル)
クレジット市場の見通しが非常に良好で、現在の極めてタイトなスプレッドが継続していることには異論はありません。ただし、ポートフォリオのポジショニングやそのような環境下での戦略を考えると、信用スプレッドが強い状況でも、市場が過度に強気である時には、基本的にはより防御的な姿勢を取るべきだと考えています。
歴史的には、防御的なポジショニングとは、特に利下げサイクルに向かう際、高品質な資産への移行を意味します。しかし、現在の環境では、我々にとって防御的とは、ベータに近づきつつ、より分散化を図ることを指します。もう一つ注目すべきは、利回りを犠牲にせずにドライパウダーを構成する資産を追加する機会を探すことです。
具体的な例として、現在、AA格のCLO(担保付ローン債務:Collateralized Loan Obligation)はBB格のハイイールド債よりも高い利回りを提供しています。このように、一部のエクスポージャーをドライパウダーに移行しながらも利回りを犠牲にしない形で、相対的価値のある機会を活用することが重要です。これにより、エクスポージャーを分散させると同時に、より大きな保護を提供できる分野に移行することができます。一方で、こうした環境下では、利回りを損なわないようにすることも忘れてはなりません。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
お二人はどの程度までリスク・スペクトラムを下げていくべきだとお考えですか? マーティン・フリッドソン氏(Martin Fridson)は、プライベートデットの急増や中央銀行の支援、投資家層の変化などが要因となり、クレジットスプレッドが人為的に狭まっていると指摘していました。しかし一方で、ジャンク債は上昇を続けており、今週は特に好調です。トリプルC格の債券が今週最も好調な資産クラスになりそうです。ロトフィさん、お伺いできますか?
[ロトフィ・カルウイ](ゴールドマン・サックス)
約2か月前、トリプルC格付けの債券が歴史的な中央値を大幅に上回って取引されていた頃は魅力的だと感じていましたが、ここ数か月のラリーは非常に印象的です。現在では、トリプルC格付け債券も他のクレジット市場と同様にバリュエーションの難題に直面しています。
指数全体として見ると、現水準のトリプルC債券にはあまり価値を感じません。多くの投資機会は、個別銘柄のレベルに移行していると考えています。ただし、ハイイールド市場における現状の重要なポイントは、指数としてはスプレッドがタイトであるということです。しかし、少し深掘りすると、分散が依然として高水準であることが分かります。このため、現在はトリプルCのアルファ戦略のようなものよりも、個別銘柄を慎重に選ぶことが重要な段階だと言えます。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
完全に手を引いている分野はありますか?時折警告を耳にしますが、不動産業界が他の業界に比べて頻繁に警告対象となっているようです。ただ、それ以外にも懸念される分野があるかもしれません。
[ロトフィ・カルウイ](ゴールドマン・サックス)
我々は不動産セクターに注目しています。少なくとも債務サイドでは、金融政策が緩和されることで恩恵を受けると考えられる数少ないセクターの一つです。不動産関連の債務の多くは変動金利であるため、政策金利が下がることでその影響が機械的に反映される仕組みがあります。また、トリプルC格付けの債券とは異なり、このセクターにはコンベクシティ(価格変動に対する感応度)があるように思われます。
具体例としては、CLOやシングルアセット・シングルボロワー型のCMBS(単一資産・単一借り手の商業用不動産担保証券)が挙げられます。これらは市場の中でもニッチな領域ではありますが、社債に比べてより高いコンベクシティを提供していると考えています。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
スティーブンさん、リスク・スペクトラムの質問とこの市場で最もリスクが高い部分について、お考えをお聞かせいただけますか?
[スティーブン・オー](パインブリッジ・グローバル)
今年初めからのスタンスとして、ポートフォリオはバーベル型を意識すべきだと考えていました。つまり、投資適格債よりも、ハイイールド債と国債を組み合わせるべきということです。ハイイールド債やリスクの高い要素がアウトパフォームするという基本的な見立てがありながらも、年内にわたるリスクの幅広さを考えると、防御的な要素も必要でした。
現在も同様の状況にあると考えています。ただし、投資適格以下のエクスポージャーをどのように取るかがポイントです。例えば、変動金利のシンジケートローンとハイイールド債を比較すると、ハイイールドは品質が高い一方で、同じシングルB格付けを比較すれば、約200ベーシスポイントの利回り差があります。来年のように利回りが重視される年では、価格上昇だけでは補えない利回りの優位性があるところに投資すべきです。
トリプルCの分野に関しては、市場が非常に慎重な姿勢を取り、新規発行があまり行われていません。また、現在のトリプルCのボリュームは非常に分散しており、このカテゴリー全体に投資するというよりは、銘柄を選んで投資する必要があります。
資産クラスについて見ると、アジアのハイイールドは今年大きく上昇したにもかかわらず、先進国市場と比較して依然として高い投資価値を提供しています。たとえば、中国に対する関税リスクを背景にセンチメントがネガティブである場合でも、中国はアジアハイイールド全体の中で占める割合が非常に小さいです。
また、不動産市場の一部のように、まだ不安が残る領域では投資機会が多い可能性があります。たとえ小規模な機会でも、たとえばMBS(住宅ローン担保証券)を投資適格債と比較すれば、現在はより良い価値を提供しています。このように、相対的なポジショニングを意識することが重要です。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
現在考慮すべき要素や不確定要素が非常に多い状況です。例えば、ロシアとウクライナの敵対激化がありますし、次期財務長官が誰になるのかもまだ分かりません。候補として挙がっている方か、あるいは全く新しい人物になる可能性もあります。それに加えて、FRBの利下げが進んだ場合、インフレが再び問題になるのか、あるいは労働市場に悪影響が出るのかといった懸念もあります。これら懸念の中で、現時点で最も懸念されるものはどれでしょうか?
[ロトフィ・カルウイ](ゴールドマン・サックス)
政策課題が中心になると思います。2025年に向けて貿易リスクがエスカレートする場合、それは第一に成長へのネガティブなショックと見なされるでしょう。その場合、FRBは非常に難しい立場に追い込まれると思います。このシナリオは、2022年から2023年にかけての状況に戻る可能性があり、当時は金利の上昇とスプレッドの拡大という二重の打撃を投資家が受けていました。
したがって、貿易戦争のエスカレーションやそのリスクが、2025年における最も大きなテールリスクであると考えます。また、米国の債務持続性に関する議論は、投資家との会話で常に話題に上がるテーマです。過去3週間を振り返ると、市場はこれまでのところ、選挙後の結果を財政的なショックではなく、むしろ成長へのポジティブなショックとして捉えているようです。これは非常に安心感のある反応ですが、2025年1月以降、政策課題がより明確になれば、この見方も変わる可能性があります。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
簡単にお伺いしますが、市場の方向性を導くという観点から、財務長官の人選について何か期待されていることはありますか?
[ロトフィ・カルウイ](ゴールドマン・サックス)
我々は、最近のFRB利下げの再評価に関して、むしろその逆の立場を取ります。それは少し強気すぎると考えているということです。2025年には利下げが4回行われるというのが基本的な見通しです。ただ、市場の予測は明らかにそれよりも低いようです。
[ボニー・クイン](Bloomberg)
では、このあたりで終了とさせていただきます。お二人とも、本日はお時間をいただきありがとうございました。ゴールドマン・サックスのL.カルイさん、そしてパインブリッジのスティーブン・オーさんでした。
4. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
Bloomberg Televisionより
(Original Published date : 2024/11/22 EST)
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