「2025年の市場カタリスト」引き続いてのAIテーマ。数十年規模の電力需要トレンド。関税は為替とともに評価
2024年12月11日、2025年の投資テーマと注目企業について、Alliance Bernsteinのチーフインベストメントオフィサーであるジム・トニー氏を迎えて行われたYahoo Financeのインタビュー・プログラムを紹介します。
AI関連市場については、2025年には半導体からソフトウェア企業へとトレンドの中心が移行するとの見方が示され、マグニフィセント・セブンの中で理想的なポジションにいる数社の投資成果がより具体的に現れてくることで、投資家の評価は一段と高まるだろうとしています。
さらに、電力需要の増加は、国内生産回帰やデータセンター需要拡大によって、今後数十年にわたる大きなトレンドになるとし、電力関連市場に注目すべしとの考え。
そして次期政権が掲げる関税については、ペソ安の進行が関税リスクを相殺し、一部のメキシコ関連企業にとっては評価向上の材料になるケースもみられるとし、その上で、関税が単なる脅しなのか、それとも実行に移されるのかを見極めることの重要性を強調しています。なお、これらの見通しにおいて特に注目すべき銘柄として、MSFT、ETN、STZが挙げられています。ご参考下さい。
1. インタビュー
[シーナ・スミス](Yahoo finance)
Alliance Bernsteinの集中型米国グロース投資部門の最高投資責任者であるジム・ティアニー氏をお迎え、2025年に注目すべき3つの市場テーマについてお話しいただきます。
ジムさん、お越しいただきありがとうございます。最初のテーマとして取り上げたいのは、注目を集めている「AI」についてです。このテーマが来年の市場でどれほど重要で、大きな影響を持つのかについてお伺いしたいと思います。
[ジム・ティアニー](Alliance Bernstein)
AIは今年の市場を大いに席巻しましたが、来年も引き続き市場を支配するテーマになると考えています。この流れを電車の旅に例えると、最初の停車駅は半導体企業でした。彼らは2024年に大きな恩恵を受けました。そして次の停車駅は実装を行う企業、いわゆるハイパースケーラーやソフトウェア企業で、これらの企業が恩恵を受ける番です。最終的な停車駅は一般の企業ですが、そこに至るにはまだ時間がかかるでしょう。ですから、2025年はソフトウェア企業がAIをどのように実装し、それをどのように販売するかに焦点が当たる年になると見ています。
[マディソン・ミルズ](Yahoo finance)
そのことは、マグニフィセント・セブンにとって、どのような意味を持つのでしょうか。現在、これらの企業の利益成長予測が鈍化しているのが見られます。依然として大きな成長率ではあるものの、減速していることは確かです。ということは、2025年においてAIに投資する際、これらトップ7企業以外の選択肢を検討するべきだという意味になるのでしょうか。
[ジム・ティアニー](Alliance Bernstein)
マグニフィセント・セブンと呼ばれる企業の中には、まさに理想的なポジションにいる企業があると考えています。これらの企業は今年だけでも2,000億ドル以上の設備投資を行っており、来年はさらに増えるかもしれません。但し、現時点ではまだ、目に見えるリターンがほとんどありません。しかし、重要なポイントは「まだ」だということです。2025年には、その成果が本格的に見え始めると考えています。
例えば、マイクロソフトが良い例です。同社は「Co-Pilot」という製品をリリースしていますが、これまでのところ投資家にとっては少し期待外れな結果になっています。それが理由で、マイクロソフトの株価は他のマグニフィセント・セブンの株価ほど伸びていないのでしょう。しかし、企業がこれを受け入れてより多く販売されるようになると、マイクロソフトへの注目が再び高まり、投資家たちに興奮がおとずれることになると思います。
[シーナ・スミス](Yahoo finance)
次に注目したいテーマとして挙げられたのが電力消費ですが、一見すると視聴者の皆さんにとってそれほど興味深い話題には思えないかもしれません。この分野には非常に大きな投資機会が潜んでいると考えていますが、投資家が注目すべき点とその重要性について教えてください。新年に向けてなぜこれが鍵となるのでしょうか。
[ジム・ティアニー](Alliance Bernstein)
これまでの数十年、効率化のおかげで電力消費はほとんど増加していませんでした。しかし、今、状況が変わりつつあり、成長が見られるようになってきています。リショアリング(生産拠点の国内回帰)は大きなチャンスであり、データセンターは非常に多くの電力を消費します。そのため、より多くの発電だけでなく、送電や蓄電のインフラも必要になっています。仮に消費が年に2~3%しか増えないとしても、現在の価格水準で必要となる投資額は非常に大きいものです。こうした電力インフラ関連の需要は、アメリカ経済の長期的な成長を支える過小評価された要因になると考えています。
[マディソン・ミルズ](Yahoo finance)
この分野で注目している企業があれば教えてください。
[ジム・ティアニー](Alliance Bernstein)
Eaton(ETN)は、このトレンドに乗る絶好の選択肢だと考えています。同社は、発電、送電、蓄電、さらにはデータセンターといったあらゆる分野で事業を展開しています。また、アメリカを拠点とする国内企業であり、アメリカでの売上の大部分は国内で製造されています。そのため、仮に関税が導入されたとしても、Eatonにとっては大きな懸念にはならないと思います。
[シーナ・スミス](Yahoo finance)
先週、ゴールドマンのカンファレンス(Industrials and Materials Conference)に参加してきたのですが、Eatonはその分野で間違いなく優れた成果を上げている企業であることを確認しました。ジムさんのお話を伺うと、その成長にはまだまだ余地があるとお考えのようですね。その成長がどのようなものになるのか、詳しく教えていただけますか。
[ジム・ティアニー](Alliance Bernstein)
確かにその通りです。多くの人はこれを1~2年のトレンドだと考えていますが、実際にはリショアリングやデータセンター利用の増加は、5年、10年、さらには15年にわたる長期的なトレンドになると考えています。
[マディソン・ミルズ](Yahoo finance)
最後に、関税の影響についてのご意見をお伺いしたいです。これまで多くのゲストから、関税がマクロ経済にとって大きな逆風になる可能性があるという指摘を聞いてきました。インフレ圧力を引き起こす可能性があるというのがその理由です。しかし、ペソの為替変動によって関税の影響をプラスに受ける企業があるとお考えだとも伺いました。その具体例についてお聞かせください。
[ジム・ティアニー](Alliance Bernstein)
関税に関しては、どのような状況になるかを慎重に見極める必要があります。それが単なる脅しで終わるのか、実際に実行されるのかが重要です。例えば、メキシコに対する関税の話とConstellation Brands(STZ)を例に挙げてみましょう。Constellation Brandsは、メキシコ産ビールをアメリカへ輸出している醸造会社です。メキシコに関税が課されるのかどうかは誰にも分かりません。しかし、ここ数カ月のペソの下落により、その影響の多くはすでに相殺されていると言えます。
それどころか、この会社は現在、利益の16倍という評価で取引されており、これはここ数年で最も割安な水準です。そして、生活必需品セクターでの成長を遂げている企業でもあります。関税の有無にかかわらず、真の成長性を持つ生活必需品企業だと考えています。
[シーナ・スミス](Yahoo finance)
関税はどの程度のリスクになると考えるべきでしょうか。
[ジム・ティアニー](Alliance Bernstein)
そうですね、それは確かに消費者にとって重要な問題です。例えば、ビールなどの商品に20%も上乗せして支払いたいかと言われれば、もちろん嫌ですよね。そのため、関税がどのように実施されるのか注意深く見守る必要があります。ただし、現時点では関税は実現というよりも、脅威として捉えられる部分が大きいと思います。
[マディソン・ミルズ](Yahoo finance)
本日は朝早くからお時間をいただき、ありがとうございました。
[ジム・ティアニー](Alliance Bernstein)
ありがとうございます。
2. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
Yahoo! financeより
(Original Published date : 2024/12/11 EST)
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だうじょん
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