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売り圧力は最悪期を脱したが、市場はFRBのデータ依存という考え方に耐えられない(トム・リー)


2024年8月9日のFundstrat Global Advisors トム・リー氏のCNBCインタビューです。ご参照ください。

[主なトピックス]

  • 地政学リスクや円キャリートレードの懸念があるが売り圧力の最悪期は過ぎた

  • 投資家の懸念は成長不安。来週発表される失業保険申請件数は重要。

  • 円キャリートレードが秩序を持って解消されれば大きな混乱は生じない。

  • データ依存は対応の遅れを招く。市場や学者は、FRBのデータ依存という考え方に耐えられなくなっており、FRBが先見性を持つことを期待している。




(1)インタビュー


[スコット・ワプナー]
 
さて、市場の次の動き、本日のリバウンドが本当に信頼できるものなのかどうか。そこで、トム・リーに聞いてみましょう。
生中継です。ようこそ。

[トム・リー]
 お会いできて嬉しいです。

[スコット・ワプナー]
 今日のメモを拝見しましたが、最悪の状況は過ぎたとお考えのようですね。その理由をお聞かせいただけますか?

[トム・リー]
 そうですね、私たちが注目しているのは、月曜日にVIXが60まで急上昇したことです。これは過去3番目に高い数値で、VIX先物の曲線が逆転し、パンデミック前以来最も急な逆転となりました。ただ、これらは徐々に正常化し始めています。VIXが20を下回って終われば、そしてVIX先物の構造が正常に戻れば、パニックの最悪期は過ぎたと考えられます。ただし、波及効果が残る可能性はあると思います。
 いまだに強気の投資家が一部トラップされていたり、イランに関する不安や、円キャリートレードの解消がどれだけ進むかという懸念が残っていますが、売り圧力のピークは過ぎたと考えています。

[スコット・ワプナー]
 今回の状況が単なる成長の不安で終わったのか、それともさらに深刻な事態が待っているのか、どうやって見極めればいいのでしょうか?キャリートレードの解消も気になるところですが、それが本当に終わったかどうかもまだわかりませんよね。
 この二つの出来事を踏まえて、今後の見通しについてどうお考えですか?

[トム・リー]
 成長不安に関して、投資家の方々には毎週確認できる指標があります。それが週次の失業保険申請件数です。木曜日に発表された数字が予想を上回り、市場が好反応を示しましたが、その多くはテキサス州からのデータが要因です。テキサスでは週ごとの失業保険申請件数が大幅に減少しました。この数字に対する市場の反応が非常に良かったことから、私はこれが大きな要因の一つだと考えています。市場が予想以上の数字を受けて上昇したことがその証拠です。
 投資家は成長不安を強く意識しており、来週木曜日に発表される新たな申請件数も、同様に改善または安定していれば、人々はさらに確信を深めるのではないでしょうか。

・基本的見解:先週の混乱は主に「成長への懸念」
・最悪の事態が過ぎ去ったという証拠が増え続けている
・失業保険申請件数によって労働市場が縮小しているという考えが和らいでいる
・来週のインフレデータが基本的なカタリストになる可能性
・FRBの利下げサイクル開始の根拠を強化
・堅調な労働市場は、景気後退までFRBが利下げを行わないことを意味する

[スコット・ワプナー]
 キャリートレードの解消についてはどうでしょうか?それが終わったかどうかははっきりしていませんし、週の初めにポジションが大きくずれていたのは、その解消が明らかにきっかけだったように思います。調整はもう終わったのでしょうか?

[トム・リー]
 良い質問ですね。正直なところ、そのキャリートレードがどれほど大きな規模になるのかは誰にも分かりません。保険業界が大きく関与していると考えており、実際、先週も何人かの保険会社の幹部と話しをしました。その際、彼らの見解では、多くの金融機関が実際に行っているということでした。ただし、もしこの取引が秩序立って解消されれば、それほど大きな混乱は生じません。
 しかし、例えば月曜日や先週の後半のように市場が非常に乱れると、状況は一変します。このような場合、保険会社はヘッジを外さざるを得なくなり、突然、ヘッジなしのキャリートレードが生じてしまい、非常に高額なコストが発生することになります。

[スコット・ワプナー]
 この話をもう少し続けたいと思います。トム、あなたはもし無秩序に解消された場合といいますが、実際にはすでにその解消が始まってその影響が現れていますが、それは決して秩序立ったものではありませんでした。もし今後さらに続くとしたら、どうなるのでしょうか?

[トム・リー]
 確かにさらなる影響があるかもしれません。特に混乱を引き起こしているのは、通貨ヘッジの部分だと思います。これらの通貨ヘッジは、いわゆる1パーセンタイル、つまり99パーセンタイルの標準偏差に備えて構築されていましたが、それ以上の大きな動きがあると、これらのヘッジは非常にコスト高になって期限切れを迎えることになります。
 中央銀行が通貨を標準偏差の範囲内で管理できると考えているので、通貨の動向を注視することが依然として重要だと思いますが、安定した予測可能な範囲内であれば、秩序だった巻き戻しが可能だと思います。しかし、このことは依然として不確実な要素です。市場は不安の中で成長するものですからね。

[スコット・ワプナー]
 そうですね、今週の始まり方についてどうお考えですか?市場の混乱そのものではなく、その周辺で発生したコメントについてです。例えば、ウォートン・スクールのジェレミー・シーゲル氏が、緊急で75ベーシスポイントの利下げが必要だと示唆した件。彼は昨日の夜、我々のジェフ・コックスとのインタビューでその発言を撤回しましたが、週の初めにはロン・インサナ氏も、FRBが流動性の面で支えると明言する必要があると言っていました。9月の会合を待たずに、FRBは何か行動を起こすべきだと思いますか?

[トム・リー]
 ロン氏やジェレミー・シーゲル氏のコメントはどちらも一理あると思います。ただ、私が感じたのは、市場や経済学者たちがデータ依存という考え方にもう耐えられなくなっているということです。彼らは、FRBがもっと先を見据えて行動することを望んでいるように思います。そうすることで、状況が悪化したときにFRBが対応できるという安心感が生まれるからです。
 データ依存という言葉は、対応の遅れを招く可能性があるので、私はその言葉が使われなくなることを望んでいます。ですので、このような反発が見られるのは、むしろ前向きな兆しだと思います。

・下振れリスクは限定的だが、季節的な弱さがある
・弱気のセンチメントは、底を打つ可能性のもう一つの根拠
・ボトムライン:株式市場はこの月曜日に夏の最安値を付けた


 


(2)オリジナル・コンテンツ

 オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。

CNBC TVより
Original Published Data : 2024/08/09 EST

[出演]
  Fundstrat Global Advisors
    トム・リー(Tom Lee)

  CNBC
    スコット・ワプナー(Scott Wapner)


以上です。


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だうじょん


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