警鐘が鳴り続くスーパーマイクロコンピューター(SMCI)はミーム株なのか?
この投稿は、SCMIをテーマとしたBarron'sのポッドキャストを通じて、ウォールストリートのアナリストのSCMIの分析と見解について、情報の共有を行うものです。
スーパー・マイクロ・コンピュータ(SCMI)の株価は、2024年3月初頭に終値ベースで1,114ドルの最高値を付けて以来、2四半期連続の決算ミスを経過し、直近8月30日の終値459.30ドルまで、約64%下落しています。
そして、先週8/28には、米証券取引委員会(SEC)に提出するForm 10-K(年次報告書)の提出を延期するプレスリリースを発表。また、その前日となる8/27には、空売りで知られるヒンデンブルグ・リサーチがSCMIの不正会計疑惑についてのレポートを発表するなど、投資家を不安にさせるイベントが立て続けに発生しています。
今回のForm 10-Kの提出遅れは、ルールを守るべき上場企業の振る舞いとして減点されるべき事案です。また、SCMIは2018年にも財務報告の遅延によりNASDAQから上場廃止の処分を受けた経緯があります。(その後、2020年に再上場した)
また、ヒンデンブルグ・リサーチが公開した「スーパーマイクロ:AI分野の急成長企業における会計操作、兄弟間の利益相反、制裁逃れの新たな証拠(Super Micro: Fresh Evidence Of Accounting Manipulation, Sibling Self-Dealing And Sanctions Evasion At This AI High Flyer)」と題するレポートでは、SMCIの不正会計、不透明な取引、輸出規制違反、人権問題で懸念ある中国企業との提携を指摘して、同社に企業倫理とコンプライアンスに重大な問題があることを指摘しています。
一方で、JPモルガンは、このヒンデンブルグのレポートには、詳細が記載されていないと主張し、SMCIのレーティングを「オーバーウェイト」として、同社の中期的な収益機会が変わるものではないと投資家向けに情報発信しています。
※※※※※ ご注意ください ※※※※※
「4. ヒンデンブルグ・リサーチの告発内容」に記載しましたが、空売りトレーダーの側面を持つヒンデンブルグの指摘事項の真偽性・信頼性について、現時点では何ら判断できる状況にはありませんので、投資判断につなげて解釈する場合には、ご自身での冷静な分析と慎重なご対応をお願い致します。
また更に、インタビュー・セクションに登場するサスケハナ・ファイナンシャル・グループのメディ・ホセイニ氏は、半導体、ストレージ、エンタープライズハードウェア、ディスプレイを含むテクノロジーハードウェアを中心とするセルサイドのアナリストですので、登場されている方々の発言については、ご自身の投資スタイルに即してご解釈をお願い致します。
1. プロローグ
[ジャック・ハウ](Barron’s)
こんにちは、ジャック・ハウです。
スーパーマイクロコンピュータ(SMCI)についてですが、最近はあまりスーパーな状況ではありません。先週、ヒンデンブルグ・リサーチという有名な空売り投資家から厳しいレポートが発表され、それを受けて株価が急落しました。
ヒンデンブルグという名前で思い起こすのは、1937年にニュージャージー州のマンチェスター・タウンシップで起きた飛行船のヒンデンブルグ号の事故です。7百万立方フィートの水素が引火し、サッカー場ほどの大きさのドイツの飛行船がわずか30秒ほどで墜落しました。その様子はカメラに捉えられ、ある放送記者はこれまで見た中で最悪の光景だと言いました。
なので、今の時代、スーパーでヒンデンブルグ・ブランドのピーナッツバターや、冬に備えたヒンデンブルグのロングジョンズ(長下着)を見かけることはないでしょう。それはありえません。特に金融会社ならヒンデンブルグという名前は避けたいところですが、もし空売り投資家なら、むしろピッタリな名前かもしれません。
空売り投資家は株価の下落に賭ける人たちで、こうしたプロの中には、自分の会社を持ち、株がいかにひどい状況にあるかを他人に納得させるために詳細なレポートを発表する人もいます。今週のBarron'sで書いたように、空売り投資家なら、タイタニックという名前は706人の生存者がいたことを理由に拒否するでしょう。だからこそ、ヒンデンブルグ・リサーチという空売り会社が先週SMCIに関するレポートを発表したわけです。
ヒンデンブルグ・リサーチは有名な会社です。このポッドキャストでも以前取り上げたことがあります。4年ほど前に、クリーンエネルギーの電気トラックのスタートアップ「ニコラ」(NKLA)の創業者、トレバー・ミルトンと話をしました。
当時、ニコラは、ヒンデンブルグから厳しいレポートを提出され、トレバー・ミルトンはそれに反論していました。彼は当時自分の株を買った投資家は、これまでで最も楽しい体験(Funnest rides)をすることになるだろうと言っていましたが、私はBarron'sで、その楽しい体験(Fun rides)は避けたほうが良いと書きました。その後、株価は99%も下落し、ミルトンは昨年末、証券詐欺と通信詐欺の罪で4年の刑を宣告されました。
さらには、やや控えめですが、昨年ヒンデンブルグは、上場企業である「アイカーン・エンタープライズ」(IEP)の株価が75%も過大評価されているとするレポートを発表しました。その後、同社の株価は74%下落しました。そして、先週ヒンデンブルグがSMCIに関するレポートを発表し、注目を集めました。レポートでは、明らかな会計上の警告サインを発見したとし、未公開の関連当事者取引の証拠が含まれていると述べています。私たちはSMCIに問い合わせましたが、SMCIは噂や憶測にはコメントしないと回答しました。ただ、水曜日の提出書類では、財務報告に関する内部統制と運用の有効性を評価するために年次報告書の提出を延期すると発表しました。同社の株価は、3月の最高値である1,200ドル超から直近では440ドルにまで急落しています。
今回は、ヒンデンブルグが主張している具体的な疑惑を深く追求するのではなく、ウォール街で唯一と言える弱気の見解を早い段階で出した人から話を聞きたいと思います。そうすることで、私たち投資家がこうした兆候を早めに見抜く方法を学べるかもしれません。まず、SMCIがどんな会社なのかについて簡単に説明します。
2. SMCIについて
[ジャック・ハウ](Barron’s)
SMCIは、いわゆるオリジナル・デザイン・メーカー:ODMと呼ばれる企業です。
オリジナル・デザイン・メーカーという名前を聞くと、私としては本当にどれだけオリジナルなことをしているのかという疑問が湧きます。何もないところから始めて、完成したときには何か新しいものができていて、それを高値で売り、しっかりとした利益を得られる、というのが通常のイメージですよね。でも、ここではそういうことは起きていないようです。
私は、SMCIがコンピュータに詳しい会社とは言えないと思っています。実際、SMCIはAI関連の銘柄としてNVIDIAのような企業と一緒に扱われることがあるものの、NVIDIAのほうがはるかにコンピュータに詳しいです。これは、研究開発費を企業の賢さの指標として使えば、測定可能なデータを得ることができます。
たとえば、SMCIの最新の財務結果を見ると、これはまだ正式な年間結果ではないため暫定的な結果と呼ぶべきですが、研究開発費が3億4,800万ドルとなっています。確かに多額の金額に見えますが、これはこの会社の売上の約2%にすぎません。一方、NVIDIAは60億ドルを研究開発に費やしており、これは売上の10%に相当します。これを賢さの指標とするなら、NVIDIAのほうがはるかに賢いことがわかります。
そしてこれは、後ほど説明する内容の一部ですが、SMCIが競争力を保つために、多額の資金を投入しているのです。つまり、NVIDIAのような高価なチップを組み込んだ自社ブランドのコンピュータボックスを構築するために、多額の資金を必要としているのです。
他にも2つ触れておきたいことがあります。まず1つ目は財務についてですが、これらの数字は暫定的なものであり、今後修正される可能性があることを前提としますが。
SMCIの最新の会計年度の数字を見ると、売上高は約2倍の149億ドルに達し、純利益は13億4,000万ドルとなっています。この数字を見ると、この会社は利益を上げていて、しっかり稼いでいるように思えるかもしれませんが、同年のフリーキャッシュフローはマイナス26億ドルとなっています。
利益とフリーキャッシュフローについては、以前にもお話ししましたが、これらは長期的には同じようなものを測定していますが、短期的には大きな違いが出ることがあります。利益については、各期間毎に売上とコストが明確に記されており、株式投資家が利益率を簡単に比較しやすくなっています。一方、フリーキャッシュフローは、ストーリーを整えることには関心がなく、単にお金がどれだけ入ってきて、どれだけ出ていくかを示すのみです。
投資家は、理解しやすいことや、チャートで推移を確認できるため、主に利益に注目する傾向がありますが、フリーキャッシュフローにも注意を払って比較することが重要です。もし、ある企業が安定した利益を上げ続けている一方で、フリーキャッシュフローが芳しくない場合、そのことについて詳しく調べる価値があります。
この会社の非常に高いキャッシュバーン比率は、AIシステムの需要が急速に増加していることに起因しています。NVIDIAと提携してAIシステムを販売している場合、そしてそのシステムのために多額の資金を提供しているとしたら、需要が高まる中で、急いで多額の資金を投入する必要があるでしょう。しかし、価格決定力がそれほど強くないビジネスの場合、このことは大きな問題になります。
さて、NVIDIAを含むいくつかのAI関連企業が決算を発表しました。その数字は予想を上回ったものの、予想をどれだけ上回るかという観点からは、期待に届かなかったという声が聞かれます。いわゆるウィスパー・ナンバー(= 非公式業績予想)というものです。そのため、NVIDIAの株価は一時的に下落しましたが、投資家は判断を誤ったとも言えるでしょう。決算自体は良好でしたし、この点については今後のエピソードでさらに掘り下げていく予定です。
重要なのは、ここ数ヶ月好調だったAI銘柄が弱気になっているタイミングで、このヒンデンブルグ・リサーチのレポートが発表されたことから、SMCIに対する否定的な反応がより強まったということです。
3. インタビュー&ディスカッション
[ジャック・ハウ](Barron’s)
ここで、メディ・ホセイニさんに話を伺いましょう。彼は「サスケハナ・ファイナンシャル・グループ」のアナリストで、ただのウォール街の専門家ではありません。彼は半導体設計の業界に身を置いていた経験があります。それでは、メディさんに説明してもらいましょう。
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
私は24年間テクノロジー業界を取材しています。その前は、ナショナル・セミコンダクターでチップデザイナーをしていましたが、現在その会社はテキサス・インスツルメンツの一部になっています。電気工学の修士号とMBAを持っています。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
興味本位でお聞きしますが、チップ設計の複雑さと会計の複雑さを比べると、どのような違いがありますか?
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
チップ設計は非常に複雑で、厳密な分析作業が必要です。ただし、その努力が必ずしも良い結果に結びつくわけではありません。一方、会計も分析が必要ですが、10回中9回は明確な結論に達します。半導体チップの設計に比べると、会計の方が白黒はっきりしていると言えるでしょう。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
チップの方が複雑だと言っていただいて、安心しました。SMCIの株価動向を見ている人の中には、同社が具体的に何をしているのかよくわからない人も多いと思います。SMCIが作っているものと、それを誰に売っているのか、どのように説明できますか?
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
SMCIは、アウトソーシングされた受託製造業者としてよく知られていますが、常に差別化を図っており、新製品の市場投入によって常に利益を得てきました。AIやNVIDIAの注目が高まる前、SMCIはインテルやAMDの製造パートナーでした。インテルやAMDが新しいサーバー向けCPUを発表するたびに、SMCIが関与していました。SMCIは、同じCPUを使用して異なるSKU(在庫管理単位)やサーバーのバリエーションを構築することで、平均を上回る売上成長を遂げていました。彼らは新しいCPUを使って、カスタマイズされたボックスを大量に販売することで、少しの利益を積み上げて売上と利益を増加させていたのです。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
なぜここ数年で株価が急騰し、AI関連でこの会社の名前を耳にするようになったのでしょうか?どのような変化があり、現在のビジネスは以前とどう異なっているのでしょうか?
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
彼らはインテルやAMDとの強力なパートナーシップをNVIDIAとのパートナーシップまで拡大しました。特にNVIDIAがAIの初期段階で拡大していたときに、SMCIは、パートナーとして成功することができました。
ではなぜ、他の台湾のODMが同じことをNVIDIAと一緒にできなかったのか?特に、NVIDIAが拡大を目指していたときに何故一緒にできなかったのか。
それは、SMCIが大量生産のカスタマイズを可能にするため、運転資本を投入したためです。同じCPUアーキテクチャに基づいて10台のサーバーを製造すると、それをバランスシートに計上します。SMCIは運転資本を投入し、NVIDIAとのパートナーシップにおいても同様のことを行いました。NVIDIAが拡大を進めるための主要コンポーネントを調達する際に、SMCIは信頼できるパートナーとなって、特に運転資本の投入を通じて重要な役割を果たしたのです。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
運転資本をコミットするというのは、どういう意味ですか?費用の一部を前払いするということでしょうか?どのように説明できますか?
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
はい、その通りです。サーバーボックスやサーバーラックに関するすべての費用を前払いします。これには、コアとなるCPUやGPU以外の部分が含まれます。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
NVIDIAのような企業にとって、それは魅力的ですね。キャッシュフローの管理がしやすくなり、自分たちで資金を用意する必要がなくなるため、よりライトなパートナーシップを築くことができますね。SMCIがビジネスを獲得するのに役立った理由も理解できます。
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
そうです。特にAIとAmpere(= NVIDIAのGPUのアーキテクチャ)の初期段階では、その点が重要でした。Ampereは今から2世代前のものですが、その時期には特に効果を発揮しました。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
そのような運転資本を投入するビジネス手法は、良い方法なのでしょうか?それとも、長期的には問題になるのでしょうか?または、状況によるのでしょうか?このようなパートナーシップに資本をコミットするアプローチについてはどう思いますか?
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
SMCIは、創業以来採用してきた戦略を特に変えたわけではないと思います。むしろ、投資家たちがより楽観的に考えて、SMCIが17%の粗利率を達成し、さらにSMCIが革新的であると主張していることから、これは持続可能だと思ったのではないでしょうか。特にAIの初期段階において、投資家が考えることと、実際の企業の基礎的な状況との間にズレが生じたのだと思います。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
つまり、NVIDIAのような企業は、他の受託製造業者に依頼して、より良い条件を引き出せるということですね。SMCIに特別な優位性があるわけではないので、NVIDIAが必ずしもSMCIと一緒にいる必要はない、ということでしょうか?
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
その通りです。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
あなたのレポートのタイトルを読み上げたいと思います。8月7日付けのもので、タイトルは、『Super Micro: Would it take another $2 billion-plus of free cash flow burn to double Revenue again?!(SMCI:収益を再び倍増させるには、さらに20億ドル以上のフリーキャッシュフローが必要なのか?!)』というものです。これが意味するところ、つまり同社が急速な売上成長を実現するために多額のキャッシュを消費しているということについて説明していただけますか?その仕組みと理由、そしてそれがなぜ問題なのかを教えてください。
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
このキャッシュバーンは、特に現在の環境において、以前のサイクルに比べてはるかに大きくなっています。以前は売上がもっと低かったのですが、売上が増加するにつれてキャッシュバーンの額も増えているんです。
なぜそうなっているかというと、前払いのコストに対処しなければならないからです。そして、ここには革新的なものはありません。彼らの研究開発費は、NVIDIAが費やしている額のほんの少しに過ぎません。TSMC(台湾セミコンダクター)が投入している研究開発費に比べても、ほんのわずかです。私の仕事では客観的であることが大切ですが、SMCIが「我々はイノベーションを推進している」と言ったとしても、実際は前払いコストとして必要な資本を調達しているだけです。
つまり、レポートのタイトルにあるように、彼らはこの売上を上げるために多額の資金を消費しています。最終的には、キャッシュフローが株式や企業の価値を決定する要素になりますが、前の会計年度にこれだけのキャッシュを消費し、今年も同じような成長を達成するには、同様の資金が必要になると思います。このことは、これまで投資家があまり理解していなかった、あるいは今になってようやく理解し始めたことかもしれません。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
これらの消費し続けるためのキャッシュの資金は、どこから来るのでしょうか?
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
彼らはこれまでに何度か株式を発行して資金を調達しており、借り入れも行っています。8月初めの決算発表の内容を振り返ると、会社側も成長を支えるために、さらに資本を調達する必要があるかもしれないと述べています。
つまり、会社自らが売上成長を支えるために、もっと資金を調達しなければならないと言っているわけです。但し、これまでこのキャッシュバーンの深刻さが十分に理解されていなかったのが実情です。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
長い間この銘柄を見てきていると思いますが、最近の取引をどう思いますか?一部の人は株価チャートを見て、これはミーム株に違いない。株価が完全に狂っていると言うかもしれません。また、他の人はAIに対する期待が高まり、AI関連銘柄の一部だと言うかもしれません。過去に、この銘柄をポジティブに評価をしていた時期もありましたが、それから後、評価はネガティブに転じました。何がその転機となったのでしょうか?
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
ファンダメンタルズ分析を行うアナリストとしては、株価の転換点をタイミングよく予測するのは容易ではありません。我々としては、客観的な分析に毎日集中することを心掛けており、そして我々の見解は、非常に客観的なファンダメンタル分析に基づくものになっています。ですので、私がネガティブな見解を出したのは、時期として早すぎたのかもしれませんが、それはこの会社が必要とする多額の資金を大量に消費しなければならないというファンダメンタルな見方に基づいたものでした。そして、その仮説が現実になるまでに、おそらく9カ月ほどかかったということです。
さて、「誰が株を買っているか?」という件ですが、この株はミーム株だと言えます。それは、私が他のセクターや銘柄で同じような盛り上がりを経験してきたためですが、過去には、機関投資家とは言えないような投資家から、失礼なメールやボイスメッセージを受けたことがあります。それらは、個人投資家からのものでしたが、あまり好意的ではありませんでした。それは仕方ないことです。
彼らは情熱的で。とても熱心な方々で、これほど多くの情熱が、分析やファンダメンタルな仮説なしに株式に注がれている場合、それはまさにミーム株と言うことができます。分析ではなく、情熱や感情に基づいている株ということです。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
株価が下がっているとき、どのような判断をすれば良いのでしょうか?たとえば、過去のある時点と比較して、今は半額になっていると考えることもできます。しかし、株に対して依然としてネガティブな評価、つまり売りの評価を持っている時、どのように対処すべきでしょうか。
現在、株価が再び大幅に下落している状況です。あなたはキャッシュフローや数学、評価分析に基づいて仕事をしていますが、こうした状況でこの株に対してより前向きになる時期が来たとどうやって判断するのでしょうか?それとも、会社の経営に何らかの変化があるまで手を引くべきなのでしょうか?言い換えれば、どんなに価格が低くなっても魅力的になる瞬間があるのか、それとも会社の運営に大きな変化がない限り、手を出さないというスタンスを取るべきなのでしょうか?
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
それは非常に重要なポイントです。評価は確かに重要です。私は常に、このセクター、特にこの会社に関しては、せいぜい企業価値売上倍率(EV/Sales)が1倍程度で取引されるべきだと考えてきましたが、今はその水準には程遠い状況です。最良のケースでも、その評価レベルに達するまでにはまだ大きな下落リスクがあります。
さらに今朝の時点で、彼らはForm 10-K(SEC年次報告書)の提出を遅らせると言っていますが、これが初めてのことではありませんし、その遅れには説明が必要です。単にすみません、修正します。というわけにはいきません。会社のストラクチャーについて、もっと深く掘り下げる必要があります。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
利益やフリーキャッシュフローを一旦置いておいて、売上高の予測だけに注目すると、依然として急成長を期待している人々がいます。このようなネガティブなサイクルの中で、一部の顧客はちょっと待って、もう少し状況が明らかになるまで様子を見たいと考えるかもしれません。このような状況では、予想されていた売上高の成長がリスクにさらされる可能性はあるのでしょうか?
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
その通りです。なぜ、Azure、AWS、GCPのような大手ブルーチップのハイパースケーラーが、SMCIの大口顧客や顧客層になっていないのかを考えるべきです。そして、今ではCoreWeaveのような新興企業も登場しています。CoreWeaveはAIサービスをクラウド提供する非公開企業ですが、選択肢はいくつもあります。NVIDIAにも製造パートナーを選ぶ多くの選択肢があります。
ですから、評価以外にも、ここで何が起きているのかをもっと明確にする必要があります。売上やコストの認識方法だけでなく、顧客もこの会社の信頼性を疑うことになるでしょう。
同時に、こうした不規則性が原因で顧客がこのパートナーを見限る可能性もあります。残念ながら、具体的な数字を示すことはできませんが、現在の評価をどう見るかという質問に対して、私は最良のシナリオでは企業価値売上倍率が1倍程度と言いました。おそらく、これらの増大するリスクを考慮すると、さらにディスカウントが必要かもしれません。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
SMCIの話から離れて、あなたがカバーしている他の銘柄についてお聞きします。現在、SMCIにはネガティブな見解をお持ちですが、あなたが現在ポジティブに評価している銘柄、今お気に入りと言える1つか2つの銘柄を教えていただけますか?
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
ハードウェア分野では、Pure Storage(PSTG)が気に入っています。彼らが際立っている点は、実際にハイパースケーラー市場にうまく浸透していることです。
この銘柄はSMCIの直接の競合ではありませんが、同じ川下(かわしも)の業界に属しています。彼らは基本的にストレージボックスを販売していますが、財務状況やファンダメンタルズははるかに優れています。またその他、TSMC(台湾セミコンダクター:TMC)のような革新をリードする企業も好きです。TSMCがなければ、NVIDIAは製品を出荷できず、決算発表すらできなかったでしょう。TSMCはNVIDIAにとって重要な製造パートナーです。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
そうですね。TSMCは、アメリカの投資家にとっては重要な銘柄です。
[メディ・ホセイニ](サスケハナ)
TSMCは、最近、地政学的リスクに関して市場には多くの混乱が存在していると思います。もし中国が台湾を爆撃したらどうなるか?と心配する声もありますが、そんなことが起こったら、世界経済は事実上停止するでしょう。TSMCがなければ、MicrosoftやAmazonのAWS、GoogleのGCPは必要な主要コンポーネントを入手できず、機能しなくなります。アップルもiPhoneを販売できなくなります。ですから、地政学的リスクには過剰反応だとと思います。TSMCが高い評価を得るのは、NVIDIAやAMDなどがこれらのチップを製造するのを支援できる唯一の企業だからです。
[ジャック・ハウ](Barron’s)
メディ、ありがとうございます。
ここで、サスケハナ・フィナンシャル・グループが提供した開示事項を読みます。会社は、これらの通知を公表することが義務付けられています。
SFGおよび/またはその関連会社は、スーパーマイクロの証券を1%以上実質的に所有しています。 これは、会社と必ずしもアナリストに関連するものではありません。
4. ヒンデンブルグ・リサーチの告発内容
ヒンデンブルグ・リサーチが同社のウェブに掲載したこのプレスリリースは、SMCIの企業倫理とコンプライアンスに重大な問題があり、その改善が進んでいないことを指摘し、投資家や顧客など、広く世間にその問題点を提起するものとなっています。
一方で、空売りトレーダーとしての側面を持つヒンデンブルグ・リサーチにとって、SMCIの株価が下がることのメリットは誰が見ても明らかであり、このレポートの真偽性・信頼性については、SMCIのオフィシャルな反応や第三者機関による調査結果が出るまで、今回の報告書がどの程度事実に基づいているのかを判断することは困難です。
そして、ヒンデンブルグ・リサーチは過去に、他の企業に対しても同様の批判行為を行い、それが相手先の株価に大きな影響を与えたことがありました。しかしながら、その最終的な結果については、主張内容と一致するものもあれば、そうでないことも存在していた模様で、今回の報告書に対しても、特に投資判断においては、冷静な分析と慎重な対応が求められそうです。
※ 以下ファイルは、ヒンデンブルグ・リサーチの指摘一覧(参考訳)です。
ヒンデンブルグが指摘する問題点(要約)
会計上の不正:SECとの和解後も不適切な収益認識や費用計上が疑われ、過去の不正行為に関与した幹部が再雇用されている。
関連当事者取引の不透明性:CEOの親族が経営する企業との取引が多く、その一部は開示されていない。
輸出規制違反:ロシアへの輸出禁止措置に違反し、ハイテク部品を輸出している。
中国企業との提携:人権問題で懸念のある中国企業と合弁事業を継続している。
製品品質とサービスの問題:競合他社に比べ製品の信頼性が低く、顧客からの不満が多い。
問題背景への指摘
成長優先の企業文化:過去の会計スキャンダルから十分な教訓を得ておらず、成長を優先するあまりコンプライアンスが軽視されている。
ガバナンスの欠如:CEOの権限が強く、取締役会による監視が不十分。
国際的な規制遵守の難しさ:グローバルに事業を展開する中で、輸出規制や人権問題への対応が難しい。
以上です。
5. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
Barron's
(Original Published date : 2024/08/31 EST)
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だうじょん
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