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商品構造が堅牢なETF:2014年末の資金流入とトランプ・トレード


 トランプ・トレードを背景としたETF市場の資金流入とパフォーマンスに着目した2024年12月2日のYahoo Finance!のインタビュー・コンテンツを紹介します。

 トランプ次期大統領の提案する新たな貿易政策が発表されました。カナダとメキシコに対する25%の輸入関税、中国からの輸入品に対する10%の追加課税といった政策は、食品、繊維製品、電子機器といった分野の商品価格が上昇する可能性があり、中小企業や消費者への短期的なコスト増加を招く可能性が指摘されています。一方で、長期的な視野からは、雇用創出やサプライチェーンの国内回帰といった機会創出により、中小企業の発展を後押しする可能性があると期待されています。また、トランプ氏の政策への期待感がトランプ・トレードとして市場を活性化し、金融セクターを始めとするETFが規制緩和期待で好調なパフォーマンスを記録しており、年内にはETFへの資金流入が1兆ドルを超える見通しとなっています。また関税政策の影響を見越した脱中国効果による市場の変化が見られる一方で、メキシコ市場の影響はいまだ限定的であるとされています。ご参考下さい。






 1. インタビュー


[ブラッド・スミス](Yahoo Finance)
 次期大統領ドナルド・トランプ氏の就任式までまだ54日ありますが、いわゆる、トランプ・トレードと呼ばれる市場の期待感が、トランプ氏の政策によって恩恵を受けると考えられる業界の株価上昇を後押ししています。
今回は、CFRAリサーチのアニケット・ウラル氏にお越しいただき、このトランプ・トレードを活用するためのETF戦略についてお話しいただきます。
 
 アニケットさん、お越しいただきありがとうございます。それでは、まず現時点で注目すべきETFや、トランプ・トレードに関連して資金流入が多いと見られる業界やセクターについて教えていただけますか?
 


[アニケット・ウラル](CFRA Research)
 パフォーマンスと資金流入には違いがあることはご存じの通りで、資金流入についてはパフォーマンスの後を追うことも多いですが、まずはパフォーマンスについてお話ししましょう。
 トランプ次期大統領の選出後、金融セクターが非常に良い反応を示しているのが特徴的です。特に地方銀行が好調で、たとえばKREのような地方銀行を多く含むETFは、選挙後に非常に好調な動きを見せています。
これは、新政権による規制緩和への期待や、独占禁止法の適用が緩和される可能性、つまりM&A活動の増加が期待されていることが背景にあります。また、取引所や資本市場に関連したETFもこの流れを受けています。画面に表示されているIAIのようなティッカーもその一例です。このほか、KBWBKREなど、金融セクター内のこれらのティッカーが「トランプ・トレード」による恩恵を受けていることが明らかです。

「KRE」・・・ SPDR S&P Regional Banking ETF
「IAI」・・・ iShares U.S. Broker-Dealers & Securities Exchanges ETF
「KBWB」・・・ Invesco KBW Bank ETF

(※)
国内証券会社の取扱いについては、SBI証券、楽天証券、マネックス、Moomoo証券のいずれも、これらETFの取り扱いは行われていないようです。(12/02 筆者確認)


[ブラッド・スミス](Yahoo Finance)
 フローについて話す際には、2つの側面から考えることができるとおっしゃっていましたね。一つはパフォーマンスに関するものですが、もう一つは何でしたでしょうか?私の理解では、今年これまでのETFへの資金流入、いわゆるインフローは記録的な水準に達し、もしかすると1兆ドルを超える可能性もあると言われています。この点について私の認識が正しいかどうか、ご確認いただけますか?
 

[アニケット・ウラル](CFRA Research)
 おっしゃる通りです。今年、アメリカでETFへの資金流入が初めて年間で1兆ドルを超える可能性があります。実際、すでに過去の記録を更新しています。これまでの最高記録は2021年で、約9,110億ドルの資金がETFに流入しましたが、今年はすでに9,500億ドルを超えています。この時点で記録を更新しており、さらに1兆ドルを超える見込みです。
 過去の季節的な傾向を見ても、12月後半は特にETFへの資金流入が最も強い時期となります。特に、SPYIVVのようなS&P 500に連動する大規模で幅広いETFに資金が集中することが多いです。これは年末のポートフォリオリバランスや、ヘッジファンドが株式を現金化する動きなど、さまざまな要因によるものです。
 したがって、今年のETF資金流入が1兆ドルを超えることは、ETFという商品構造の強みを示していると同時に、株式市場が非常に好調だったことの証ともいえます。おっしゃる通り、パフォーマンスと資金流入の両面で、ETF投資家にとっては非常に良い年でした。さらに、この2年間の強気市場を経て、ETF投資家は新しい政権や来年の市場動向に注目していると思います。
 

ETF、過去最高の1兆ドルの資金流入を達成へ
・年間で初めてこのマイルストーンを達成する見込み
・アクティブETFの大幅な成長が主な要因
・好調な他のカテゴリーには、スポットビットコインETFや特化型の固定利付ETFが含まれる


[ブラッド・スミス](Yahoo Finance)
 その点を踏まえると、新政権やトランプ次期大統領がソーシャルメディアで発信している潜在的な関税の内容、対象となる国々、影響を受ける産業についての情報が、ここ数日間の市場や取引セッションに動揺を与えています。こうした状況を考慮した場合、関税の影響によってETFの動きにどのような変動が見られると予想されますか?
 

[アニケット・ウラル](CFRA Research)
 関税の影響について考える際、2つの要素があります。トランプ次期大統領は以前から中国について言及し、中国からの輸入品に対して50~60%の関税を課す可能性にも触れています。この発言の一部は、中国との交渉を見越したレトリックである可能性がありますが、実際に何が行われるかは今後見ていく必要があります。こうした発言はETF市場にも大きな影響を与えています。
 ここ1年で特に目立ったのは、中国を除く新興国市場に投資するETFへの資金流入です。歴史的に、新興市場ETFでは中国が25~30%を占める割合が一般的でしたが、投資家は中国から多様化を図り、インドや台湾、ベトナムなどを含む新興国市場ETFを選ぶ傾向が見られます。このいわゆる「中国効果」が、中国を除いた新興市場ETFの需要を押し上げている一因といえます。
 また、最近では、トランプ次期大統領がメキシコやカナダについても発言し、ソーシャルメディアでも関連投稿をしています。ただ、メキシコ市場に関しては、それほど強い反応は見られていません。たとえば、メキシコETFは11月5日の選挙日以降でわずか5%程度の下落にとどまっています。この背景には、ETFの構成銘柄が主に国内志向である点が挙げられます。主要セクターは生活必需品で、ウォルマート・メキシコや大手銀行など、国内市場に依存する企業が中心です。そのため、ETF全体としては現時点で大きな反応を見せていない状況です。
 もっとも、これらの動きはまだ始まったばかりですので、今後の展開を注意深く見守る必要があります。

 

[ブラッド・スミス](Yahoo Finance)
 CFRAリサーチのETFデータ&アナリティクス部門の責任者であるアニケットさん、本日はお時間をいただき、誠にありがとうございました。
 




2. オリジナル・コンテンツ

 オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご視聴になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。

Yahoo Financeより
lished date : 2024/12/02 EST)

[出演]
  CFRA Research
    アニケット・ウラル(Aniket Ullal)
    Head of ETF Data and Analytics

  Yahoo Finance!
    ブラッド・スミス(Brad Smith)



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だうじょん


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