「ブル市場に向けての条件が整いつつある」2025年 S&P500は 6,700、Bitcoinは6桁へ(トム・リー)
大統領選挙の前には、その不確実性ゆえに、基本的に強気姿勢ながら慎重な態度を示していたファンドストラット・グローバル・アドバイザーズのトム・リー氏ですが、選挙結果がほぼ出揃った中で、今年の年末から来年を見据え、強気な見解を示しています。11月8日に公開されたCNBCのインタビュー・プログラムを通じて紹介したいと思います。
同氏は、大統領職の経験者の再選は、政治運営の不透明さのリスクが低いとされ、市場はトランプ大統領の再選を好感するとの見解。また、ビットコインは将来、財務省の準備資産となって財政赤字の相殺に寄与する可能性についてもの言及し、ビットコイン価格は6桁に達するとしてその成長性に注目しています。そして、FRBの金融政策を通じて、企業の投資活動の活性化は進み、S&P500が2025年には6,700まで到達する可能性があるとの強気の予測を披露しています。
[主なサブテーマ]
トランプ政権への市場の反応
ビットコインの可能性と成長見通し
小型株とS&P500のパフォーマンス予測
FRBの金融政策とマクロ経済の展望
1. インタビュー
[ジョー・カーネン](CNBC)
ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズのリサーチ・ヘッドで、ファンドストラット・キャピタルのチーフ・インベストメント・オフィサー、そしてCNBCのコントリビューターでもあるトム・リー氏です。
トランプ氏が勝つと予測していましたか?
なかなか読めない展開でしたが、あなたはわかっていたように見えます。
[トム・リー](Fundstrat Global Advisors)
ええ。
[ジョー・カーネン](CNBC)
あなたは、確かに直接的には言わなかったかもしれませんが、そのような意味のことを話していたことを認めます。
[トム・リー]
そうですね、私たちは、賭け市場が示していた予測にかなりの重みを置いていました。そのため、全体の差分を見て判断していました。
[ジョー・カーネン]
トランプ関連の取引やビットコイン、そしてトランプ政権で恩恵を受けるとされる市場のセクターでもその影響が見られましたね。市場は1,500ポイント上がりましたが、ここからさらに上昇するのか、それとももう到達してしまったのですか?
[トム・リー]
この動きをしっかり評価すべきだと思います。選挙後に急激な上昇が見られ、昨日(11/7の相場)も続きましたが、これは選挙の不確実性で市場から引き上げられていた資金が再び戻ってきたことを示していると思います。政策変更や市場の活性化が進む中で、ビットコインや小型株、地方銀行、金融セクターにとって恩恵があるでしょう。ですので、まだ上昇余地は十分にあると考えています。例えば小型株は、将来の利益をもとにした予想PERが10倍ですから、これは—
[アンドリュー・ロス・ソーキン](CNBC)
では、12倍程度になるとお考えですか?どのような投資機会があると見ているのですか?
[トム・リー]
1987年以降、小型株は中央値のPERベースでS&Pを上回るプレミアムで取引されてきました。現在S&PのPERは17倍なので、今後数年で小型株が100%以上のパフォーマンスを発揮する可能性があると考えています。
[アンドリュー・ロス・ソーキン]
マクロ経済の課題についてはどう思いますか?債券市場について話題に上がることが多いですが、それが示唆するものは何でしょうか?また、金相場の動向やワシントンでの出来事に対して、いわゆる「ボンド・ビジランテ(債券市場の自制的役割)」が抑制効果をもたらすと思われますか?
[トム・リー]
ジェームズ・カーヴィルが言ったように、誰もが債券市場を恐れているのも事実で、注視する必要があります。ただ、これまでにも債券が上昇する中で株価も上がったことは幾度もありました。パウエル氏の見解には同意する部分があり、利回りの上昇はインフレによるものではなく、成長予測の変化によるものだと感じています。
[ジョー・カーネン]
かつて、どちらかの一方の政党が一掃する「スイープ」は市場にとって致命的で、関係者にとっても恐ろしいものだと考えてましたが、現在スイープが起こっているにもかかわらず、なぜそれほど恐怖感がないのでしょうか?反対側の政党によるスイープだったとしたら、少しは恐ろしかったかもしれません。
[トム・リー]
そうですね、やや投資家が楽観的になっている理由の一つは、トランプ大統領が再び就任するものの、今回は閣僚やチームの組み立て方について以前より多くの知識を備えていると考えているからだと思います。ある意味で、今回の方が市場にとって好ましい結果になる可能性が高く、これが投資家の楽観的な見方につながっているのだと思います。いわゆるアニマルスピリッツが高まっているという意見にも、私も一部同意します。
[ジョー・カーネン]
赤字削減にはあまり積極的にならないでしょうね。そう、むしろ赤字に寛容になると考えられます。税金の引き下げや社会保障の見直し、州・地方税の控除上限の撤廃、税制優遇の延長などを進めるとすれば、まさにそういう方向になりますよね。
[トム・リー]
税金や支出の見直しだけで赤字を解消するのは非常に難しいと思います。ただ、そのためにビットコインが注目されている部分もあると考えられます。ビットコインは財務省の準備資産としての可能性を秘めており、価格が上昇すれば実際に赤字とされる負債を相殺する効果も期待できます。
[ジョー・カーネン]
ビットコインは確か、15,000ドルを予想していましたよね?ただ、今年末までにというわけではなかったかと思いますが。
[トム・リー]
はい、年末までに6桁に到達する可能性はまだあると思っています。
[ジョー・カーネン]
では、その後も来年、再来年と更に上昇するという見方ですか?
[トム・リー]
そうですね、今は半減期を経てビットコインの存在感が一段と増しており、規制面の不透明感も薄れてきていると感じます。これから先、大きな上昇余地があると思います。
[ジョー・カーネン]
では、S&Pの来年末の見通しはどうでしょうか?
[トム・リー]
今から年末にかけて、5~10%の上昇が基本シナリオだと考えています。選挙後の通常のラリーに加え、FRBのハト派姿勢や、季節的な要因も影響しているので。
[ジョー・カーネン]
今のFRBの対応は適切だと思いますか?
[トム・リー]
インフレとの戦いはほぼ終わり、実質金利は高すぎると思います。FRBが中立金利に向けて3%程度に調整すべきという考えには賛成です。これが市場にとってサポートとなり、抑制されてきた企業投資を後押しするので、これらのことは好材料になると思います。
[ジョー・カーネン]
では、2025年はどうでしょうか?最近は年単位がまるで数カ月のように感じられますが、2025年についてはどう考えていますか? 5〜10%の上昇でさらに大きく上回るという見方でしょうか?
[トム・リー]
はい、少なくとも年末までに6,000を超えると思います。しばらくはその見通しです。
[ジョー・カーネン]
景気後退は起きないですね?
[トム・リー]
景気後退はありません。
[ジョー・カーネン]
あなたからの答えははっきりと聞き出して欲しいと皆から言われているので、もう一度伺いますが、S&Pは6,100ということでしょうか?
[トム・リー]
さらに超えて、6,700あたりと考えています。
[ジョー・カーネン]
いやいや、6,700ですか?
[トム・リー]
そうですね、来年のどこかで…
[ジョー・カーネン]
さらに20%の上昇ということですよね?
[トム・リー]
そうですね、まあ10〜15%ほどでしょうか。この4ヶ月でマージンデット(信用取引による借り入れ)がほとんど増えておらず、株式市場が上がっているので、投資家がリスクを増やしていないのがわかります。さらに、企業収益の見通しも良く、ハト派的なFRBの方針も継続する見込みで、選挙も終わるなど、追い風となるものが複数あります。
[ジョー・カーネン]
かなり強気ですね。
[トム・リー]
はい、米国市場とそのファンダメンタルズに関してはかなりポジティブです。
[ジョー・カーネン]
いいですね。
2. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご視聴になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
CNBCより
(Original Published date : 2024/11/08 EST)
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だうじょん
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