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投資家の警戒心がサンタではなくグリンチを呼んだ。むしろ、その心配は杞憂に終わるだろう(トム・リー)
12月30日、Funstra Global Advisorsのトム・リー氏を迎えてのCNBCのインタビューを紹介します。
ここ数日続く弱気市場は、FRBが予想よりもハト派的でない姿勢を見せたことや一部の投資家の利確売りによるものと指摘。これらの動きは一時的な調整に過ぎず、2025年に待ち受けるいくつものファンダメンタル期待から、S&P500は前半にも7,000ポイントに達する可能性があるとの見解が示されています。またインフレ懸念については的ハズレで、特別な事態が発生しない限り、インフレ再燃のリスクは低く、むしろ2025年にはインフレが低下するリスクがあるとの考えを披露しています。
1. インタビュー
[ジョー・カーネン](CNBC)
先ほど我々は、先物市場では特に大きな動きがないと話していました。ダウの下落は20ポイントとわずかな損失にとどまっていました。しかし、状況が一変しました。
Funstrat Global Advisorsの最高投資責任者であり、CNBCのコメンテーターでもいらっしゃるトム・リーさん、先週金曜日の出来事を受けて、現在かなりの下落が見られます。これは、サンタクロース・ラリーではなく、グリンチ・ラリーもしくは、グリンチ・セルオフといえる状況ですね。思っていた通りには進んでいないようです。
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※ グリンチ(The Grinch)は、アメリカの児童文学作家ドクター・スースの著作に登場するキャラクターで1957年に初めて登場し、その後映画やアニメーションなどを通じて幅広く知られるようになりました。グリンチは、緑色の毛むくじゃらな姿をした孤独でひねくれ者のキャラクターで、「グリンチ」という言葉は、祝祭の喜びや楽しい雰囲気を台無しにする人を指す比喩表現としても使われます。
[トム・リー](Fundstrat Global Advisors)
そうですね、思っていた通りではありませんね。投資家の皆さんは12月18日のFOMC以来、少し神経質になっているようです。FRBがこれまで投資家が期待していたほどハト派ではないのではという懸念があるようです。ただ、ベースとなるファンダメンタルズはしっかりしていると思います。我々の見解では、今の状況は少し残念ですが、利益確定の動きや、FRBに対する一部の慎重姿勢によるものだと考えています。それでも2025年は、強い追い風を受ける年になるであろうという見通しには変わりはありません。
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[ジョー・カーネン](CNBC)
それでは、これまでお話しされていた長期的な強気相場が単に少し遅れるだけということですね。
[トム・リー](Fundstrat Global Advisors)
その通りです。2024年の教訓の一つは、市場がぐらついたり弱気になったりする時期があったことです。その際、投資家はすぐに弱気に転じがちでしたが、結局のところ、それらはすべて買いのチャンスであったことが証明されてきました。12月が弱い月だったという明確なサインはあまり見られません。ただし、季節的に強い時期であるはずなので、失望感があるのは確かです。それでも、仮に年末にS&Pが5900で終わったとしても、2025年に期待すべきことがたくさんあるという見通しには変わりはありません。
[ジョー・カーネン](CNBC)
今年起こると予想していたことが先送りされているわけですが、それは来年にどう影響するのでしょうか? 例えば、来年の前半についてですが、現状のバリュエーションやマルチプルの水準を踏まえると、来年の前半はかなりポジティブな展開になる可能性があると思いますか?
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[トム・リー](Fundstrat Global Advisors)
そうですね、来年の初めに特に注目しているのは、CEOの自信にどのような変化が現れるかという点です。この2年半ほど、CEOたちは慎重な姿勢を取ってきました。それは、2022年10月以降50を下回っているISM製造業指数などの指標からも明らかで、S&Pの利益成長とも強く関連しています。ただ、これがついに50を超えて回復し、CEOマインドセットが拡大傾向にあることを示している可能性があると思っています。これは購買担当者の指標にも表れるでしょう。加えて、市場からビジネス寄りと見なされる新政権の発足も投資家心理を再活性化させる要因になると考えています。また、FRBも中立金利を模索しながらも、市場を支持するハト派的な姿勢を示すと思います。このように、株式市場にとっては非常に良い条件が揃うため、来年前半には現状からかなりの上昇が期待でき、S&Pが7,000に近づく可能性があると考えています。
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[ジョー・カーネン](CNBC)
7,000ですか。これまでインフレや市場に関して、独自の視点から興味深い予測をされていますよね。最近、インフレが再び加速しているのではないかという懸念が生まれていますが、その考えは現時点では的外れだと思いますか?
[トム・リー](Fundstrat Global Advisors)
ええ、インフレ懸念は的外れだと思います。確かに、多くの人がインフレ再燃を予測していますが、特に1月は季節調整があまり行われないため、1月の消費者物価指数(CPI)が一時的に急上昇して見える可能性があります。しかし、私にとってインフレの主な要因は賃金です。FRBも、労働市場がインフレを引き起こす状況にはないと述べています。また、住居費もありますが、これは市場価格と統計上の調整によるCPIの差を埋める過程にすぎず、それほどインフレを引き起こすものではありません。それに加え、自動車保険がここ数年CPIを押し上げる要因となっていましたが、これも落ち着きつつあります。ですので、供給ショックのような特別な事態が発生しない限り、第2波のインフレが起こる理由は見当たりません。むしろ2025年にはインフレが低下するリスクがあると考えています。
2. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
CNBC Televisionより
(Original Published date : 2024/12/30 EST)
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だうじょん
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