未来で最も価値あるAI:その原動力はNVIDIAの持つ本源的な力(後半)
この投稿では、NVIDIAの「Omniverseおよびシミュレーション技術」を担当する副社長、レヴ・レバレディアン氏を招いて行われたアレックス・カントロウィッツ氏のインタビューの後半を紹介します。前半では、物理法則を理解しない現在の大規模言語モデルや動画生成モデルの限界、現在のAI市場規模を大幅に上回る新たな応用AI市場の創出への期待などが取り上げられました。
この後半では、動画生成AIの物理法則を理解する能力の著しい進化や、視覚的なリアリティを超えて現実世界の物理シミュレーションへの応用がいかに重要であるかが語られています。また、ヒューマノイド型ロボットの普及段階における課題や人間が担う労働との共存およびその影響、また、レバレディアン氏のNVIDIAにおけるの23年間にわたって培った経験を通じ、長期的な視野での技術開発の重要性と同社のNVIDIA独自の企業文化についても紹介されています。
[前半はこちらから]
1. インタビュー(後半)
(前半より続く)
[アレックス・カントロウィッツ](Alex Kantrowitz)
最近見たのは、島に津波が押し寄せる動画で、すごくリアルに見えました。もちろん、インスタグラムで見たんですけど、今のインスタって生成AIの動画ばかりじゃないですか?最初は本物かと思ってしまい、フェイクだと気づくのに少し時間がかかりました。最近はこういうことが増えていて、「これ、本物?」って立ち止まって考えたり、コメント欄をチェックして「みんな何て言ってるかな?」と確認することがあります。
[レヴ・レバレディアン](NVIDIA 副社長、Omniverse & Simulation Technology)
でも、正直なところ、人間がその判定に最適かと言えばそうではないんです。一般的に、人間はシミュレーションや動画における物理が正確かどうかを判断するのがあまり得意ではありません。だからこそ、映画の監督たちは爆発や津波など、物理法則を無視したドラマチックなシーンを描いても、観客には違和感を持たれないんです。
[アレックス・カントロウィッツ]
それは、面白いですね。あるコメディアンが、映画『ゼロ・グラビティ』が公開されたときに、ニール・ドグラース・タイソンが科学的な誤りを指摘したことについてジョークを言っていたんです。「そう言うけど、ジョージ・クルーニーとサンドラ・ブロックが宇宙飛行士を演じてるのは気にならなかったの?」って。
映画を見ているときは、その世界観にどっぷり浸かって、あたかも本物だと信じ込んでしまいますし、ジョージ・クルーニーが宇宙船にいるシーンを見て感情移入してしまうんです。でも、現実には彼が宇宙飛行士じゃないことはわかっています。
[レヴ・レバレディアン]
それが良いストーリーテリングとビジュアルの力なんです。私がNVIDIAに入る前、映画業界でコンピュータグラフィックスの視覚効果に携わっていたので、物事をリアルに見せるためにどれだけの労力がかかるかを直接見てきました。
[レヴ・レバレディアン]
その技術の使い方自体は全く正当なものです。ただし、そのレベルのシミュレーションでは、物理的なAIを構築するための基盤やロボットの脳の基本的な構成要素としては十分ではないのです。例えば、自動運転車や工場で重機を操作するロボットが、現実世界の物理と一致しないシミュレーションで訓練されるのは困りますよね。見た目が正しくても、中身が違えば動作も正確にならず、危険を伴うことになります。そういう意味で、用途が違うのです。だからこそ、私たちがCosmosで取り組んでいるAIは、単なる動画生成とは異なるクラスのAIなのです。動画生成に使うこともできますが、目的が異なります。これは、美しい映像や芸術的な映像を作ることが目的ではなく、物理的な世界をAIでシミュレーションするためのものです。
[アレックス・カントロウィッツ]
もう1つだけ動画生成AIについて質問させてください。欠点というより、動画生成AIがどの程度正確に物理を理解しているかという点についてお伺いしたいです。その後、この話題は次に進みますが、Google DeepMindのCEOであるデミス・ハサビス氏に最近出演してもらった際に、コメントしていたことが興味深かったのです。彼が述べたのは、動画生成AIが物理を理解する能力が驚くほど高いということでした。また、ヤンとの以前の会話でも、AIが物理的な問題を解決するのは非常に難しいとされていました。完全に解決したわけではないにしても、ここまでの進歩が予想外だったという話です。このように、まだ不完全でありながらも、なぜこれほどまでにAIが物理を理解できているのでしょうか?
[レヴ・レバレディアン]
この質問は、いわば「兆ドルの価値のある質問」と言えるでしょうね。ここ数年、私たちは計算能力とデータをどんどん増やせば、スケーリング則によってAIが非常に重要で意味のある知能を持つ段階に到達すると賭けてきました。大きな能力のステップアップが得られると期待していたわけです。ただ、これが確実に起こるかどうかは予測が難しいのです。この進歩が指数関数的なカーブを描いている感覚はあるものの、そのカーブのどの部分にいるのかが分かりません。そのため、どれくらいのスピードで進むのかも断言できません。正直言って、トランスフォーマー・モデルがこれほど早く物理法則をこれほどまでに抽出できるようになるとは驚きです。このペースで進むなら、数年以内にはロボット工学などの主要な応用分野で必要な物理理解をAIがほぼ達成するだろうと考えています。
[アレックス・カントロウィッツ]
もう1つだけ質問させてください。その後、ロボット工学が労働力や私たちの日常生活の様々な分野に入ることで生じる社会的な影響についてお話ししたいと思います。
意外に感じる人も多いと思いますが、NVIDIAがこれほど基盤となる世界モデルを構築し、その重みを公開して他の人たちがそれを基に発展させられるようにしているという事実については、かなりの人が驚くことです。外部の人から見れば、「NVIDIAって、あのチップを作っている会社でしょ?」という認識があると思います。こうした意見に対してはどう思われていますか?
[レヴ・レバレディアン]
ええ、確かにそのような認識はあります。23年前に私がNVIDIAに入った頃からずっとそのような見方がされてきました。でも、実際にはNVIDIAがただチップを作る会社だというのは誤解です。確かに、チップは私たちの事業の中核であり重要な基盤ですが、それだけが全てではありません。私が入社した当時、社員は1000人ほどで、その大半がエンジニアでした。今も変わらず、多くの社員がエンジニアであり、その中でもソフトウェアエンジニアが大多数を占めています。私自身もソフトウェアエンジニアであり、正直なところ、チップの製造方法には詳しくありません。
私たちが発明した「アクセラレーテッド・コンピューティング」というコンピューティングの形態は、単なるチップの設計だけでは解決できない全スタックの問題なのです。単にチップを作って、それを他社に渡して使ってもらうというわけにはいきません。チップが機能するためには、ソフトウェア・レイヤーが必要であり、そのソフトウェア・レイヤーには、チップやシステムのアーキテクチャと調和したアルゴリズムが不可欠です。
また、私たちは新しい市場に参入する際、ジェンスンがよく言う「ゼロから始まる新しい産業」への挑戦をしています。そのため、何も存在しないところからトップダウンで新しいものを発明する必要があります。他に誰もやらないのであれば、私たちがやるしかありません。その結果、今では大量のソフトウェアやAIが開発されてており、それらがコンピュータを動かすために必要な要素となっています。
大規模言語モデルについても同じアプローチを取りました。かなり早い段階から取り組み、当時としてパラメータ数が最大規模のモデル「メガトロン」をトレーニングしていました。その際、私たちはコンピュータ、チップ、システムソフトウェア、フレームワーク、パイプラインをすべて構築し、それらを大規模処理のために最適化しました。そして、そのソフトウェアを公開したことで、現在の大規模言語モデルやChatGPTなどが生まれる土台ができたのです。もし私たちがそれをしなければ、ChatGPTのようなものは存在しなかったかもしれません。
今回の取り組みもそれと同じです。私たちはまだ存在しない新しい市場や新しい能力を生み出そうとしています。これはNVIDIAだけで成し遂げられるものではなく、多くの人々に参加してもらう必要があります。しかし、我々の規模や専門知識を考えると、NVIDIAだからこそ貢献できる部分があるのです。私たちはその役割を果たし、他の人々がその上に構築できるように自由に利用可能な形で提供していくのです。
[アレックス・カントロウィッツ]
なぜNVIDIAが現在の市場でこれほどの影響力を持っているのか不思議に思う方もいるでしょうが、今の話がその答えだと思います。
つづいて最初からずっと頭の中で気になっている質問をさせてください。あなたたちがロボティクスの導入を進めることで、労働力の多くがロボットに取って代わられると言っていいのか分かりませんが、そういった状況になるという話がありましたよね。このような状況が労働市場に与える影響について、どうお考えでしょうか?
例えば、一生懸命手作業の仕事に従事してきた人が、ある日突然、Cosmosプラットフォームや新しい技術で自分の仕事が置き換えられてしまうとしたら…。確か、あなたたちが取り組んでいるプロジェクトの名前は「GR00T」でしたよね?
[レヴ・レバレディアン]
そうです。私たちがヒューマノイド型ロボットの脳を構築し、訓練するためのプロジェクトです。
[アレックス・カントロウィッツ]
そうですね、「GR00T」を使ってある企業がヒューマノイド型の労働力を、例えば工場や介護現場に導入したとします。私は看護師で、突然、GR00Tで構築されたロボットが高齢者の世話をするようになったら、その労働面での影響はどうなるのでしょうか?
[レヴ・レバレディアン]
第一に、これが非常に難しい課題であることを理解する必要があります。人間が行っているあらゆる仕事を一夜にしてロボットが代替するわけではありません。この問題の解決はとても困難です。ただ、ようやく私たちはその技術の実現に向けた道筋を見えるところまで来ました。今の段階でようやく、汎用的に使えるロボットの脳を作る技術が解放され始めたということです。
20年前には、このような汎用的なロボットの脳を作るのは不可能でした。当時でもロボットの物理的な本体は作れたかもしれませんが、それだけでは役に立ちません。なぜなら、現実の世界で汎用的に動作できるような脳がなかったからです。そのため、意味のある仕事をこなせるようにプログラムすることもできませんでした。
しかし、今それが可能になりつつあります。私は製造業や倉庫、さらには小売業などの分野の企業のCEOや幹部とよく話をしますが、共通して出てくるのは世界中で直面している人口構造の問題です。若い人たちが、今まさに引退しつつある高齢労働者たちがやってきた仕事をやりたがらないのです。例えば、デトロイトやドイツの自動車工場を訪れると分かりますが、多くの工場労働者が高齢化しており、急速に退職が進んでいます。私が話す多くのCEOたちは、そうした労働者たちが持つ現場での知識が失われることに強い懸念を抱いています。一方で、若い人たちはこういった仕事を引き継ぎたがりません。
この問題を解決しないと、経済の成長どころか、現状維持すら難しくなり、生産量を維持することができなくなってしまいます。実際、運輸業界ではすでにその影響が出ています。物流網で必要な物資をすべて運ぶためのトラックドライバーが世界中で不足しており、毎年この職に就きたがる若い人はますます減っています。
そのため、私たちは自動運転トラックや自動運転車の導入が必要なのです。話を戻しますが、ロボットが人間の仕事を「奪う」という議論をする前に、まずは人間がやりたがらない仕事をロボットが補完するという観点から考えるべきだと思います。そうしなければ、そもそも維持すらできない部分が多くあるのです。
[アレックス・カントロウィッツ]
そうですね、分野ごとの特化も考えられますよね。例えば看護のケースだと、ワクチンを打ったり、点滴に薬を入れてくれる看護師は、たとえ人間でもミスはしますが、しばらくは人間がやるほうが安心だと感じると思います。一方で、膝の手術を受けた後に廊下を一緒に歩いてくれる看護師はロボットでも良いかもしれませんし、そのほうが適していることもあるでしょうね。
[レヴ・レバレディアン]
どうなるかはこれからですね。私たちが考えるに、汎用的なロボット、つまりヒューマノイド型ロボットが本格的に普及し始めるのは、まず産業分野だと思います。理由は2つあります。1つ目は、労働者不足のために大きな需要があること。2つ目は、企業が意思決定して導入できる環境であることが挙げられます。
特に倉庫や工場などは、人目につかない場所が多いですし、そういったところでの導入が進むでしょう。逆に、ヒューマノイド型ロボットが私たちの家庭やキッチンに登場するのは、かなり後になると思います。
[アレックス・カントロウィッツ]
イーロンには内緒にしておいてくださいね。
[レヴ・レバレディアン]
そうですね、ロボットが家庭に入る時期は地域によって異なるでしょうね。例えば、日本の家庭のキッチンには、ドイツ・ミュンヘンの家庭のキッチンよりも早く導入されるかもしれません。それは文化的な要素が影響していると思います。私自身、キッチンに他の人が入るのはあまり好きではありません。キッチンで何かを準備するのは、自分でやりたいタイプなんです。妻と一緒にキッチンにいると、たまにお互いのスペースが重なってイライラすることもあります(笑)。だからヒューマノイド型ロボットがキッチンにいるのも正直言って違和感があります。人を雇って家事をやってもらうことさえ、私たちはあまり望んでいません。自分たちでやるほうが好きなんです。
こうしたことは、やはり個人の選択の問題ですよね。また、例えば高齢者介護や医療のような分野はとても人間的な職業です。多くの場合、そのケアの本質は物理的な作業ではなく、もう一人の人間との感情的なつながりにあります。だから、その部分をロボットがすぐに代替することはないと思っています。
[アレックス・カントロウィッツ]
問題は、そうした職業に就く介護職の人材が十分にいるかどうかですね。それが本当に危機的な部分です。
[レヴ・レバレディアン]
そのため、実際には人間とロボットの組み合わせで対応する形になるでしょう。感情知能(EQ)が求められるような共感や相手を深く理解する必要のあるケアは人間が担い、ロボットはその人間を補助する形で、掃除や注射、点滴といった日常的な作業を行うようになるでしょう。具体的にどこまでロボットが対応するかはまだ分かりませんが、そうした方向に進んでいくのではないでしょうか。
[アレックス・カントロウィッツ]
その未来はどれくらい先だと思いますか?
[レヴ・レバレディアン]
そうですね、病院や介護の現場での具体的なロボットとの連携については、まだ正確な予測は控えたいと思います。ただ、まず産業分野で実現するのは間違いないでしょうし、数年以内にはその姿を見られると考えています。最も進んだ製造業や倉庫業で、ヒューマノイド型ロボットが広く使われるようになると思います。
[アレックス・カントロウィッツ]
すごいですね。では最後に、ハリウッドについて質問させてください。頭の中で気になっているのは、今後映画はもっとコンピュータ生成されたものが主流になるのかということです。今でもCGIを使った映画はたくさんありますが、現状のものは、いかにもCGIという感じの見た目ですよね。
[レヴ・レバレディアン]
いや、全部がそう見えるわけではありませんよ。一部の作品には、かなりリアルで驚くほどすごいものもありますよね。
[アレックス・カントロウィッツ]
ある程度リアルにはなっていますけれど。
ハリウッドは完全にリアルでシミュレーションされた世界に移行していくと思いますか?
[レヴ・レバレディアン]
間違いなくそうなると思います。例えば、1年か2年前に公開された『猿の惑星』の最新作を覚えていますか?私も妻と一緒に観に行ったのですが、私たちは90年代半ばからずっと一緒にいて、その頃私はディズニーで視覚効果やレンダリングの仕事をしていました。当時、自分のスタートアップでレンダリングに取り組んでいて、妻もその一部を担っていましたから、彼女も長年にわたってコンピュータグラフィックスには詳しいんです。
その『猿の惑星』を観たとき、もちろん猿が本物でないのはわかっていますが、あるシーンで妻が振り向いて、「これ、全部CGなんだよね?」と驚いた様子で聞いてきたんです。彼女でさえ信じられなかったんですね。それだけWeta Digital(現WetaFX)の技術は素晴らしいもので、実際、猿が話していることを除けば、現実と区別がつかないレベルでした。
ただし、これには問題があります。そのレベルのCGを従来の方法で作るには、非常に高い技術と芸術的なスキルが必要で、それを可能にするスタジオは世界にほんのわずかしかありません。彼らが長年かけて構築したチームや制作パイプラインがあるからこそ可能なのです。そして、その制作には莫大なコストがかかります。
私たちがAI、特に生成AIや世界の基盤モデルを使ってやろうとしていることは、まさにそのコストを大幅に下げ、スピードを劇的に上げることです。AIが物理の深い理解に到達し、『猿の惑星』のような映像を作れるようになれば、当然のようにその技術が使われるようになります。実際、そうした流れはすでに始まっています。
[アレックス・カントロウィッツ]
そろそろ時間が迫っていますが、あと2つ質問してもいいですか?
[レヴ・レバレディアン]
もちろんです。
[アレックス・カントロウィッツ]
ロボティクスについて考えれば考えるほど、戦争における応用が気になります。もちろん、基盤技術を開発する段階であらゆる可能性を予測するのは難しいとは思いますが、現実には戦争がますます機械化しているのも事実です。そんな中で、いまだに塹壕戦を行っている戦争もあるのは、ある意味で驚きです。ロボティクスが戦争にどう活用されるのか、そしてその悪用をどのように防げるのかについて、何か考えたことはありますか?
[レヴ・レバレディアン]
私は戦争の専門家ではないので、その分野で具体的にどう使われるかについて最適な意見をお話しできるわけではありません。ただ、言えるのはこれが初めてのことではないということです。強力な新技術が登場すると、それが人々に利益をもたらす素晴らしい用途と、戦争などでの恐ろしい悪用の両方が容易に想像できるものです。
しかし、私たちはこれまでもそうした破滅的な事態を回避してきました。そして全体的には、世界はより良く、平和で安全になっています。今の状況を見ていると実感しにくいかもしれませんが、人類の歴史の中で戦争やそれに類する悲劇で失われる命の数は、過去と比べて減少しています。その代表例としてよく挙げられるのが核技術です。私は1980年代、冷戦の真っただ中で子ども時代を過ごしました。毎日のように「今にもロサンゼルスにICBM(大陸間弾道ミサイル)が飛んでくるかもしれない」と思っていた記憶があります。でも実際にはそれは起こりませんでした。
その理由は、みんなが共通して理解していたからです。それがもし起きたら、誰にとっても致命的だということを。ソ連とアメリカが激しい対立や敵意を抱えていた中でも、そのような事態を防ぐためのシステムを構築することができました。
同様に、生物兵器や化学兵器も技術は存在するのに、ほとんど使用されていません。これも重要な示唆を与えてくれると思います。この新しいAIという強力な技術についても、同じような取り組みができるはずです。
ルールや国際的な規範を設けて、「たとえAIをそのように使うことが技術的に可能でも、そうすべきではない」と合意することが重要です。そして、その合意に背く行為には罰則を設け、そうした使用を抑止する必要があります。
[アレックス・カントロウィッツ]
そうですね、そうなることを願っています。この技術が進歩するにつれて、社会として直面する機会がますます増える気がします。さて、最後の質問です。あなたはNVIDIAに23年在籍していますよね。これまでにも何度かその話をしました。技術が注目されるときもあれば、そうでないときもありましたが、今は世界のトップにいます。先週少し問題があったようですが、それも長期的な問題にはならなさそうですね。この23年間を通じて、技術の世界について得た洞察を一つ教えてください。
[レヴ・レバレディアン]
まず、NVIDIAがどのような会社か、そしてなぜ私がここにいるのかについてお話しします。私は23年間ここにいますが、これが私の最後の職場になると確信しています。最初からそのつもりだったわけではなく、1年か2年で辞めるつもりでした。でも気づけば23年が経っていました。
20年目を迎えたとき、次の社内会議でジェンスン(CEO)が各グループの在籍年数についていくつか統計を共有しました。1年、2年、5年と順番に話していき、20年以上在籍している人が650人以上いることがわかりました。私が入社した当時、会社には約1000人しかいなかったにもかかわらず、20年後も多くの人が残っていることに驚きました。20年在籍したことが特別だと思っていましたが、そうでもなかったのです。
これはNVIDIAならではの不思議な現象です。多くの人が長く在籍し、辞めないのです。特にシリコンバレーのテック企業では、通常、人の入れ替わりが激しいものですが、ここではそうではありません。その理由は、ジェンスンがここを「生涯の仕事をする場」として築き上げたからだと感じています。これは単なるお金や仕事以上の意味を持っているのです。ここにいると、それを実感します。
だから辞めるというのは、私にとって苦痛でしかありませんし、他の人たちもそう感じていると思います。このように私たちは試練や困難を経ながらもNVIDIAに留まり続けてきました。たとえば、2006年にCUDAを導入したときのことです。当時、アナリストたちには反対されましたし、誰も続けろとは言いませんでした。それでも私たちは投資を続けました。その結果、株価はしばらく低迷し、停滞した時期もありましたが、やがてAIが私たちのGPU上で生まれたのです。
それが私たちの待ち望んでいた瞬間でした。そして、そこから全力を尽くしました。当然、その後も浮き沈みはありましたが、今後も基本的には上昇していくと確信しています。ここは、自分の生涯の仕事を成し遂げたいと考える、分野で最高の人材が集まる素晴らしい場所です。そして、そうした人たちがここに留まり続けるのです。
[アレックス・カントロウィッツ]
おっしゃる通りですね。いつもお話しできて本当に嬉しいです。NVIDIA本社でご一緒した日もとても楽しい時間でした。あの日は面白いデモも体験できて、本当に感謝しています。そして、今日こうしてこの技術についてお話しする機会をいただけたことにも感激しています。最先端であり、非常に興味深い技術です。それに関連して多くの疑問も浮かびましたが、いくつかは今日解決できたと思います。
本当は3時間でも話したいところですが、今後もこの対話を続けていけたらと思っています。今日はご出演頂きましてありがとうございました。
[レヴ・レバレディアン]
お招きいただきありがとうございます。いつか本当に3時間お話しできるといいですね。
[アレックス・カントロウィッツ]
それは素晴らしいです。ありがとうございました。
2. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
Alex Kantrowitzより
(Original Published date : 2025/02/05 EST)
3. 関連コンテンツ
<御礼>
最後までお読み頂きまして誠に有難うございます。
役に立ちましたら、スキ、フォロー頂けると大変喜び、モチベーションにもつながりますので、是非よろしくお願いいたします。
だうじょん
<免責事項>
本執筆内容は、執筆者個人の備忘録を情報提供のみを目的として公開するものであり、いかなる金融商品や個別株への投資勧誘や投資手法を推奨するものではありません。また、本執筆によって提供される情報は、個々の読者の方々にとって適切であるとは限らず、またその真実性、完全性、正確性、いかなる特定の目的への適時性について保証されるものではありません。 投資を行う際は、株式への投資は大きなリスクを伴うものであることをご認識の上、読者の皆様ご自身の判断と責任で投資なされるようお願い申し上げます。