米国大統領が経済に与える影響:政策への期待と制約、そして大統領令
ここまでの米大統領選挙および議会選挙の結果は、大統領と上院・下院のいずれも共和党が過半数を獲得し、いわゆる「レッド・スウィープ」となりました。これにより、少なくとも次回の議会選挙までの2年間は、ねじれが解消され、共和党色の強い政策運営が行われる見通しが濃厚となりました。(すみません。早とちりしましたので修正いれました)大統領がドナルド・トランプ前大統領が勝利、上院議会は過半数が共和党となり、残る下院選挙の結果待ちという状況となりました。
今回の大統領選挙において、多くの有権者は選挙結果が自分たちの生活に大きな経済的影響をもたらすと考えていました。それでは、今回の結果を受けて発足する共和党政権は、具体的にどのような経済的影響を直接的にもたらすことができるのでしょうか。
この投稿は、経済を対象として大統領が行使できる権限やその範囲について、簡易に説明するCNBCのプログラムを参考訳にてお伝えするものです。
また、CNBCのコンテンツの中では、さほど触れられていない大統領の特権ともいえる「大統領」(Presidential Order)については、「4. 大統領について」で情報補足しています。ご参考下さい。
[主なサブテーマ]
大統領と経済施策の関係
政策立案者にとっての経済施策
大統領の影響力とその限界
大統領への期待と生活者心理
大統領令の存在と在り方について
1. イントロダクション
アメリカ人の50%が、2024年大統領選挙の結果が自分の個人財政に直接影響を及ぼすと考えています。また、有権者の約99%が、経済が次期大統領を選ぶ際の重要な要素であると答えています。
では、米国大統領は実際に経済にどれほどの影響力を持っているのでしょうか?
2. 影響の範囲
政策立案者が経済に影響を与えるための主な手段には、金融政策と財政政策の二つがあります。
ただし、金融政策の権限は意図的に連邦準備制度(FRB)に委ねられており、アメリカ大統領の権限には含まれていません。
しかし、大統領には連邦準備制度や連邦取引委員会などの機関のトップを指名する機会があります。この任命には上院の承認が必要ですが、指名されたリーダーたちは経済に大きな影響を与える重要な決定を行います。
大統領は、財政政策、つまり政府の収支に関してはより大きな影響力を持つ可能性があります。しかし、最終的には議会の承認がなければ、大統領だけでは多くを実現することはできません。
大統領と議会が対立している場合、大統領の役割はさらに限定的になります。
政策以外にもさまざまな要因があり、大統領が思い通りに経済を動かすのは難しいのです。
3. 大統領の権限
危機の時には、大統領の役割がより重要になることがあります。
大統領は、貿易協定の交渉や経済制裁、関税の導入にも大きな役割を果たしており、これらは経済により直接的な影響を与えることができます。
専門家は、選挙の結果が消費者心理にも影響を与える可能性があると指摘しています。
4. 大統領令について
「大統領令」(Presidential Orders)とは、米国の大統領が行政機関に直接指示を出すために発行する命令です。大統領令には法的拘束力があり、特定の政策実施を迅速に進めるために使うことができ、議会の承認を得る必要がありません。そのため、議会を通さずに政策を進められる点で、大統領にとっての強力なツールとなっています。
尚、大統領令を発令するにあたっての明確な基準は、アメリカ合衆国憲法や法律の中に厳密に定められておらず、いくつかの一般的な枠組みや制約、そして司法審査の枠組みが存在しているとされています。
(1)大統領令発令にあたっての基準や制約
憲法の範囲内であること:大統領令は、米国憲法が大統領に与える権限の範囲内でのみ発行が可能。大統領の権限が制限されている分野(例えば、予算権や立法権など)に関しては、議会の承認が必要となる。
既存の法律に基づくこと:多くの大統領令は、すでに存在する法律の執行に関して具体的な指示を出す形で発行される。たとえば、労働法や移民法に基づき、それをどのように運用するかを指示する際に用いられる。
行政の管理・指示に関するもの:大統領令は行政機関への指示として発行されるものであり、通常は行政管理や政策の実施方法についての指示に限定される。例えば、連邦機関の運営方針の変更や予算の割り当てに関する指示など。
国家の安全や緊急事態に対応するもの:国家安全保障や緊急事態において、迅速に対応する必要がある場合に発行。戦争や災害、テロの脅威に対する対応として、議会の承認を待たずに迅速に発令すべきケースなど。
(2)大統領令の司法審査
大統領令が憲法や法律に違反すると見なされる場合、連邦裁判所がその合憲性を判断することができる。
過去には、裁判所が一部の大統領令を無効とした例もあり、例として、トランプ大統領の入国禁止令(Executive Order 13769)の一部は、憲法違反の疑いで裁判所により一時的に停止された。
(3)過去の大統領発令(例)
大統領令は内政や外交の重要な局面で発行されており、以下はその代表的な例です。これらの発令は、次の政権が撤回したり改正したりすることが可能です。
Emancipation Proclamation(奴隷解放宣言): 1863年にエイブラハム・リンカーン大統領が発行。南北戦争中に南部諸州での奴隷制度を廃止し、奴隷解放の道を切り開いたもの。
Executive Order 9066: 1942年、フランクリン・D・ルーズベルト大統領が発行。第二次世界大戦中、日本人を含む特定の民族グループのアメリカ人に対して強制収容所への移送を命じたもの。
Executive Order 13769("Muslim Ban"): 2017年、ドナルド・トランプ大統領が発行。特定のイスラム教徒多数の国からの入国を制限する命令
2. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご視聴になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
CNBCより
(Original Published date : 2024/11/06 EST)
<御礼>
最後までお読み頂きまして誠に有難うございます。
役に立ちましたら、スキ、フォロー頂けると大変喜び、モチベーションにもつながりますので、是非よろしくお願いいたします。
だうじょん
<免責事項>
本執筆内容は、執筆者個人の備忘録を情報提供のみを目的として公開するものであり、いかなる金融商品や個別株への投資勧誘や投資手法を推奨するものではありません。また、本執筆によって提供される情報は、個々の読者の方々にとって適切であるとは限らず、またその真実性、完全性、正確性、いかなる特定の目的への適時性について保証されるものではありません。 投資を行う際は、株式への投資は大きなリスクを伴うものであることをご認識の上、読者の皆様ご自身の判断と責任で投資なされるようお願い申し上げます。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?