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米国決算直前:データ ストレージ銘柄 5選(DELL、NTNX、PSTG、NTAP、HPE)


 昨日、NVIDIAから素晴らしい2025年度第2四半期の決算が発表されました。ガイダンスも見通しが良いようで、この生成AIの上昇相場はまだまだ続くのではないかと多くの方が期待しているのではないでしょうか。現地23日のザラ場は、発表された強い総合PMIによって冷や水を浴びて全面安の様相を呈してしまいましたが、「Sell in May」という相場格言を封印しつつ、このまま "Summer Rally"まで堅調に継続推移することを期待しています。

 さて、NVIDIAが市場を牽引しているAIや生成AI関連の半導体セクターの株価が非常に好調な状況ですが、ご承知の通り、この好調な相場は、その他の隣接するカテゴリにも及んでいます。特に、GPUなどを搭載するAIサーバーベンダーは、その影響の顕著なカテゴリで、Super Micro Computer社(SMCI)やDELL Technologies社(DELL)を筆頭にして、大きな上昇トレンドに乗っています。

【表1】SMCIとDELL : NVIDIAとナスダック総合指数(IXIC)との株価比較
(2023年11月1日~2024年5月23日)(クリックで拡大)

 そしてそのさらに隣接するカテゴリの1つとして注目されているのがデータストレージに関する銘柄です。既に3ヶ月前にはその兆候が明らかになって、総合ベンダーであるDELLやニュータニックス(NTNX)、ピュアストレージ(PSTG)やネットアップ(NETAPP)が、S&P500やナスダックの指数を大きく上回るパフォーマンスを見せています。実際にNVIDIAの決算を受けた昨夜も、一時的に大きく上昇したのですが、総合PMIの発表によってインフレ懸念で急落してしまいました。それでも株価の動きからすると、ポテンシャルの高い銘柄達であることに変わりはないかと思います。

 今回は、現地時間の来週、5月29日(水)および30日(木)に決算発表が集中する以下のデータストレージ関連銘柄5社について、既出の決算書などを参考にしながら、今後の投資対象として、各社の傾向をまとめました。
 あくまでも筆者の独断と偏見に基づいて相対評価した各社傾向のまとめ資料となりますので、その点、何卒ご留意の上でご参照頂ければと思います。


【決算日:2024年5月29日(水)- 米国現地 】
   ニュータニックス(NTNX)
   ピュア・ストレージ(PSTG)
   HPエンタープライズ(HPE)
   (※ 記載ミスありましたので、下方にて訂正しました)

【決算日:2024年5月30日(木)- 米国現地 】
   デル・テクノロジーズ(DELL)
   ネットアップ(NTAP)

【決算日:2024年6月6日(火)- 米国現地 】
   HPエンタープライズ(HPE)


【表2】DELL、NTNX、PSTG、NTAP、HPE : ナスダック総合指数との株価比較
(2023年11月1日~2024年5月23日)(クリックで拡大)



1. データストレージ・ソリューションの概要

 近年、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、AI、IoTの普及により、企業の取り扱うデータの量や種類が爆発的に増加しています。これに伴い、急増するデータを効率的かつ迅速に処理でき、柔軟に容量の拡張が可能なスケーラブルなストレージソリューションが企業に求められています。
 データのアクセスに関しては、即時性が求められるようになり、低遅延で高速なデータの読み書きが可能なNVMeやフラッシュストレージのような高性能メディアに対するニーズが高まっています。
 また、ビジネスの迅速な意思決定や戦略立案のために、組織横断的なデータ活用が求められており、このため、組織ごとにサイロ化されて散在するデータを容易に統合できる仕組みや組織内外で発生するデータの保存やアーカイブ、削除までのデータのライフサイクルを管理する機能も求められます。またこれに加え、非常に重要なデータセキュリティやコンプライアンス、そして優れた管理性や運用性が重要となって、これら総合的に評価しながら、総所有コスト(TCO)を抑えらえるデータストレージソリューションが企業に求められています。

 AIや生成AIの文脈においては、AIモデルの精度やパフォーマンスは、モデルが学習するデータの質と量に大きく依存します。そのため、質の高い学習データを整備する際の様々なデータの前処理や、モデルを学習させる学習データの大量で高速な入出力を支える仕組みが必要となります。また、AIモデルに推論させたり、モデルに他のデータを参照させる際にも大量でリアルタイムなデータの入出力が必要となります。

 このように、データストレージソリューションは、AIや生成AIの発展に不可欠な基盤として、今後大きな需要が生まれると予想されるテクノロジーセクターとなります。

[データストレージソリューションに求められる主な機能や特徴]
  ・需要に応じて柔軟に容量を拡張可能なスケーラビリティ
  ・NVMeやフラッシュストレージを活用した高速なI/O性能
  ・パフォーマンス最適化のための技術
  ・データの在所に依存しない管理機能
  ・高可用性、冗長機能
  ・バックアップ、リカバリー、災害対策機能
  ・自動化技術やAIを活用したインテリジェントなシステム管理機能

その他諸々、求められる機能や差別化要素はたくさん存在しています。



2. 独断と偏見に基づく各社の傾向と総評

表3は、今回対象としたストレージベンダー5社の企業概要です。

【表3】主要ストレージベンダー概要について(クリックして拡大)

 これより、DELL、Nutanix、Pure Storage、NetApp、Hewlett Packard Enterpriseの5社について各々、記していきます。

 尚、これら5つの企業は、各々が異なる時間軸の中で、異なる強みと課題を持っており、着目ポイントが異なれば、全く異なる結果が導き出されることもあります。また、個人投資家のリスク許容度も投資目的も、投資家それぞれに異なっていますので、以下の評価については、愚生の独断と偏見に基づく備忘録でしかなく、隈なく分析できているものではありませんので、その点、あらかじめご留意ください。


(1)各社を比較しての総論

 ここでは、成長性を重視する場合はPure StorageやNutanix。安全で安定したリターンを求める場合はNetApp。そして、DELLやHPEはバランスの取れた投資先として考えられます。DELLは、GPU搭載するAIサーバーの設計及びアセンブラーとしての需要を取り込める位置におり、NVIDIAの伸長に牽引されてSMCIと共に成長の余地は高い。尚、各々の企業ならびに市場には、様々なリスクが潜む可能性がありますので、充分に注意が必要です。

① 総評
 成長期待が高く、将来的に優れたパフォーマンスが期待できるののはPSTGやNTNX。一方で、安定した成長を求めるのであれば、DELLやNTAPも良い選択となる。低リスクな投資先としては、HPEという選択肢になります。

② 財務健全性
 財務健全性が高いのは、PSTGとNTAPです。特にPSTGは健全な財務体質を持ち、流動性リスクも低いため、当面、安全な投資先と言えます。NTAPの財務状況も健全で短期的なリスクが低いため、投資に適していると言えます。一方で、DELLとNTNXは財務的には、慎重に評価することが求められます。HPEは比較的良好ですが、短期的な流動性リスクには注意が必要です。
 尚、財務健全性とキャッシュフローの効率性を考慮すると、NTAPが最もポジティブな企業といえそうです。

③ 成長性
 PSTGやNTNXが成長期待が高く、特にリスク許容度が高い場合、特にNTNXが有望です。この2社は、EPSおよび収益の上方修正が多く、過去2年間に渡って高い実績を示しています。特にNTNXは成長見通しが強く、投資先として有望に見えます。PSTGも成長ポテンシャルがありますが、リスクを考慮する必要があります。DELLは成長の兆しがあり安定成長が見込める良い選択ですが慎重に評価する必要があります。HPEの成長ポテンシャルについては、慎重に評価する必要がありそうです。

④ 収益性
 将来的に高い収益性と成長性が見込まれるのはNTAPとPSTGです。特にPSTGは、成長企業としてのポテンシャルが高く、リスクを許容できる場合の投資に向いています。安定収益を求める場合、DELLやHPEも良い選択となり得ます。

⑤ リスク
 NTAPとPSTGは、財務健全性が高くて破産リスクの低い企業と言えます。特にPSTGは、長期的な投資先として有望かもしれません。一方、NTNXとHPEは、慎重に評価することが望ましいです。DELLは長期的にはリスクが低くなる傾向が見えて、安定性を求める場合に良い選択肢になります。


(2)各社のキャラクター

① DELL
 高いキャッシュフローと強力なEPS成長率が特徴だが、負債と流動性のリスクも存在するため、これらを考慮して判断することが望まれます。但し、ストレージベンダーとしてよりも、AIサーバーベンダーとして評価するのが適切であり、サーバー、ネットワーク、ストレージのラインナップを揃える総合力でグローバルでのIT投資を支えるポジションになり得る。

② NTNX
 高リスク高リターンの投資先となる候補。高い成長ポテンシャルと効率的なキャッシュオペレーションが特徴だが、財務リスクと収益性が低いことから、慎重に検討することが望まれます。

③ PSTG
 PSTGから見える特徴は、高い成長ポテンシャル、高い収益性、そして健全な財務状況です。但し、企業規模が小さいため、注意が必要です。

④ NTAP
 安定的な安全性のある投資先としての魅力があります。特徴は、健全な財務状況、高い収益性、低リスクです。ただし、成長鈍化の可能性について注意が必要となる可能性があります。

⑤ HPE
 収益の安定性、高いEPS成長率、高い株式の流動性といった特徴があります。成長性や財務リスクについては、留意が必要となる可能性があります。



3. データストレージ・ベンダーについて


(1)デル・テクノロジーズ(DELL)

① 主な特徴
・企業ITの複数分野で強い存在感があり、PCとサーバー市場をリード
・幅広い製品ポートフォリオを持つ
・VMwareとのタイトな統合ソリューションが強み

② 適合ニーズ
・パフォーマンス、容量、拡張性、予算を重視
・既存のデルのインフラとの統合ニーズ

③ 主要プロダクト
PowerEdge servers、PowerVault、PowerMax、VxRail、Dell EMC storage solutions

【図1】DELL社 EMCラインナップ(出典:Elite.com

④ クラウド戦略
・ハイブリッドクラウドソリューション、VMwareおよびMicrosoftとのパートナーシップ

⑤ 強み
・多様な製品ポートフォリオ、市場での存在感、広範なサービスとサポートネットワーク。
・幅広い製品ポートフォリオ(サーバー、ストレージ、ストレージ、ネットワーキング)
・世界的な存在感
・競争力のある価格設定

⑥ 弱み
・膨大な製品群を管理する複雑さ、潜在的な統合問題。
・ソリューションは、ストレージ専業ベンダーに比べて専門性が低いと評価されがちである

⑦ バリュエーション
・P/E Non-GAAP (TTM): 18.62
・P/E GAAP (FWD): 27.73

  • ⑧ 成長性
    ・売上成長率 (FWD):-0.92%

  • ・EBITDA年成長率 (FWD):3.89%

⑨ 収益性
・売上総利益率:23.70%
・純利益率:3.63%
・総資産利益率(ROA):5.62%

⑩ 損益計算書
 
高い収益率と利益率、そしてEPSも高いので、ファンダメンタル的には株価が上昇しやすいように思います。特に売上総利益とEBITDAが高いことから、持続的な収益増が期待できる可能性があります。

⑪ 貸借対照表
 
負債を抱え、純資産がマイナスなため、財務健全性にリスクがあります。特に流動比率とクイック比率が低く、短期の流動性リスクが確認できます。

⑫ キャッシュフロー
 ポジティブな面としては、営業キャッシュフローとレバレッジフリーキャッシュフローが非常に高く、強いキャッシュジェネレーション能力を持っていることが挙げられます。また、営業キャッシュフローも強く、安定した運営ができています。一方、ネガティブな面として、資本支出が多く、投資活動によるキャッシュアウトフローが大きいことが留意点となります。

⑬ 直近のミニチャート(参考)

【表4】DELL : 前回四半期決算からの株価チャート
(クリックして拡大)

(2)ニュータニックス(NTNX)

① 主な特徴
・ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(HCI)のリーダー
・様々なプラットフォームに単一OSで対応。

② 適合ニーズ
・ITインフラの簡素化
・仮想化ワークロードを重視

③ 主要プロダクト
AOS (Acropolis Operating System)、Prism、Nutanix Clusters

④ クラウド戦略
・AWS、Azure、ハイブリッドクラウドソリューション上のNutanixクラスタ

⑤ 強み
・ハイパーコンバージド・インフラストラクチャーのリーダーであり、単一OSで複数のプラットフォームに対応、強力なソフトウェア機能を持つ。
・シンプルでスケーラブルなHCIソリューション
・コンピュート、ストレージ、仮想化を統合
・仮想デスクトップインフラ(VDI)に最適

⑥ 弱み
・HCI市場への依存度が高く、同様のソリューションを提供する大手ベンダーとの競争が激しい。
・伝統的なストレージ・ニーズへの対応が限定的
・既存ベンダーの技術と比較して技術が枯れていない

⑦ バリュエーション
・P/E Non-GAAP (TTM): 62

⑧ 成長性
・売上成長率 (FWD) : 16.52%
・EBITDA年成長率 (FWD) : 496.49%

⑨ 収益性
・売上総利益率:83.85%
・純利益率:-3.33%
・総資産利益率(ROA):-1.50%

⑩ 損益計算書
 
売上高と利益が低く、EPSもマイナスとなっています。成長のポテンシャルはあるものの、現時点ではリスクの高い投資と言えます。

⑪ 貸借対照表
 
純資産がマイナスであり、財務健全性にリスクありです。但し、短期の流動性は比較的安定していると思われます。

⑫ キャッシュフロー
 
ポジティブな面としては、資本支出が少なく、効率的にキャッシュを運用している点。また、営業キャッシュフローとレバレッジフリーキャッシュフローが一定の量を保っており、成長の可能性が見えます。ネガティブな面としては、規模が小さいためキャッシを生む能力が限定的である点が挙げられます。また、他の企業に比べて収益性が低く、安定性に欠ける可能性のある点も考慮する必要があります。

⑬ 直近のミニチャート(参考)

【表5】NTNX : 前回四半期決算からの株価チャート
(クリックして拡大)

直近のチャートでは、ダブルボトムから上抜けて最高値を更新しています。


(3)ピュア・ストレージ(PSTG)

① 主な特徴
・オールフラッシュ・ストレージ市場のリーダー
・高いパフォーマンス、管理のシンプルさ
・SALベースのユニークなサブスクリプション・モデル(エバーグリーン)

② 適合ニーズ
・データベースやデータ分析などの高パフォーマンスのワークロードに最適
・予算の制約を重視

③ 主要プロダクト
FlashArray、FlashBlade、Pure1他

【図2】Pure Storage社のFlashBlade//S製品。5Uのシャーシにフラッシュストレージモジュールを搭載し、最大2PB(ペタバイト)近いデータを保存できる。(出典:storagereview

④ クラウド戦略
・ハイブリッドおよびマルチクラウド環境に重点を置く
・STaaS(Storage as a service)モデルによるピュアクラウドサービス

⑤ 強み
・オールフラッシュ・ソリューションの高いパフォーマンスと信頼性、シンプルで効率的な管理、高い顧客満足度。
・高性能フラッシュ・ストレージ・アレイ
・シンプルで管理が容易
・イノベーションに注力

⑥ 弱み
・主にストレージに特化した小規模な製品群、大手ベンダーに比べブランド認知度が低い。
・製品ポートフォリオが主にフラッシュ・ストレージに限定される
・競合他社よりも高価な場合がある

⑦ バリュエーション
・P/E Non-GAAP (TTM): 38.32
・P/E GAAP (FWD): 100.24

⑧ 成長性
・売上成長率 (FWD) : 8.74%
・EBITDA年成長率 (FWD) : 12.21%

⑨ 収益性
・売上総利益率:71.40%
・純利益率:2.17%
・総資産利益率(ROA):-9.14%

⑩ 損益計算書
 
売上高が比較的少なく、EPSも低いですが、売上総利益が高く、成長の余地があります。成長企業としてのポテンシャルが高いので、リスクを取る投資家にとっては魅力的です。
現在、売り切り型のビジネスからSaaS型のサブスクリプションモデルにビジネスの舵を大きく切っていることから、向こう数年は、売上が伸びない、もしくは減収となる可能性もある点については、ポジティブ面、ネガティブ面の両側面を評価していく必要がありそうです。

⑪ 貸借対照表
 
非常に健全な財務状況を持ち、負債も少なく、短期の流動性リスクも低いです。

⑫ キャッシュフロー
 
ポジティブな面としては、営業キャッシュフローとレバレッジフリーキャッシュフローが良好であり、成長企業としてのポテンシャルを持っている点が挙げられます。また、資本支出が比較的少なく、キャッシュを効率的に運用していることは好ましいです。一方、ネガティブな面としては、他の大手企業に比べて規模が小さく、キャッシュを生む能力が限定的である点です。

⑬ 直近のミニチャート(参考)

【表6】PSTG : 前回四半期決算からの株価チャート
(クリックして拡大)

(4)ネットアップ(NTAP)

① 主な特徴
・NAS(Network Attached Storage)をルーツとする老舗ベンダー
・データ管理とクラウド・ストレージに強み
・統一されたデータ管理、強力なハイブリッド・クラウド機能

② 適合ニーズ
・大規模で複雑なストレージが必要となる企業
・ハイブリッドクラウド環境全体を通じたデータ管理

③ 主要プロダクト
ONTAP、AFF (All Flash FAS)、E-Series、StorageGRID

【図3】NetApp社の高パフォーマンスなストレージソリューション「AFFシリーズ」
(出典:storagereview

④ クラウド戦略
・クラウド・ボリューム、主要クラウド・プロバイダーとの提携

⑤ 強み
・堅牢なデータ管理ソリューション、強力なクラウド統合、包括的なデータサービス。
・強力なデータ管理ソフトウェア
・エンタープライズ・ストレージにおける実績
・さまざまなプラットフォームとの幅広い互換性

⑥ 弱み
・他のストレージ・ベンダーとの競争、従来のストレージ・ソリューションの枠を超えた進化における潜在的な課題
・大規模な導入の場合、管理が複雑になる可能性がある
・レガシーなアーキテクチャのため、拡張性が制限される場合がある

⑦ バリュエーション
・P/E Non-GAAP (TTM): 17.47
・P/E GAAP (FWD): 23.63

⑧ 成長性
・売上成長率 (FWD) : 1.04%
・EBITDA年成長率 (FWD) : 5.37%

⑨ 収益性
・売上総利益率:70.09%
・純利益率:15.21%
・総資産利益率(ROA):10.24%

⑩ 損益計算書
 売上と利益が安定しており、EPSも高い水準にあります。売上総利益とEBITDAも適度に高く、株価の上昇が期待されます。

⑪ 貸借対照表
 
純資産がプラスであり、健全な財務状況を持っています。流動比率とクイック比率も良好で、短期の流動性リスクも低いです。

⑫ キャッシュフロー
 
ポジティブな面としては、営業キャッシュフローとレバレッジフリーキャッシュフローが高く、効率的なキャッシュ管理が行われている点が挙げられます。また、資本支出が比較的少なく、キャッシュを効率的に使用していることも好ましい点です。一方、ネガティブな面としては、事業規模が小さく、成長余地が限定される可能性があります。

⑬ 直近のミニチャート(参考)

【表7】NTAP : 前回四半期決算からの株価チャート
(クリックして拡大)

(5)HPエンタープライズ(HPE)

① 主な特徴
・老舗のITソリューションの大手。サーバーとストレージに強みを持つ
・包括的なITソリューション、強いサービスとサポート
・GreenLakeコンサンプションモデル

② 適合ニーズ
・多様なストレージ要件(ブロック、ファイル、オブジェクト)がある
・セキュリティと信頼性を重視

③ 主要プロダクト
ProLiant servers、Nimble Storage、3PAR

④ クラウド戦略
・HPE GreenLake、ハイブリッドクラウドソリューション

【図4】HPエンタープライズ社 サーバー&ストレージ(出典:HPE)

⑤ 強み
・幅広いエンタープライズITソリューション、強力なサービスとサポート、革新的なGreenLakeモデル。
・幅広いストレージ・ソリューション(SAN、NAS、オブジェクト)
・セキュリティと信頼性に重点を置く
・ストレージ技術における革新の遺産

⑥ 弱み
・複雑な製品エコシステム、伝統的ITベンダーと新興ITベンダーの両方との競争。
・複雑で分かりづらい製品ポートフォリオ

⑦ バリュエーション
・P/E Non-GAAP (TTM): 8.49
・P/E GAAP (FWD): 10.56

⑧ 成長性
・売上成長率 (FWD) : 2.20%
・EBITDA年成長率 (FWD) : 4.10%

⑨ 収益性
・売上総利益率:35.75%
・純利益率:6.81%
・総資産利益率(ROA):3.67%

⑩ 損益計算書
 
売上と利益の規模が大きく、EPSも安定しています。売上総利益とEBITDAも高く、株価上昇の期待はあります。

⑪ 貸借対照表
 
高い負債を抱えていますが、純資産が高く、財務健全性は比較的良好です。しかし、流動比率と在庫を含めないクイック比率が低いため、短期の流動性リスクがあります。

⑫ キャッシュフロー
 
ポジティブな面としては、営業キャッシュフローが高く、安定した運営ができている点が挙げられます。また、レバレッジフリーキャッシュフローも一定量あり、キャッシュを効率的に運用していることが分かります。一方、ネガティブな面としては、資本支出が高いため投資活動によるキャッシュアウトフローが大きい点が指摘されます。また、他の大手企業と比較すると、レバレッジフリーキャッシュフローが少ない点が留意点となります。

⑬ 直近のミニチャート(参考)

【表8】HPE : 前回四半期決算からの株価チャート
(クリックして拡大)

(6)ETFについて

以上のストレージ・ベンダーの株式を組み込んだ米国ETFも存在しており、国内でも購入できるものとしては、SKYY 「ファーストトラスト クラウドコンピューティングETF」がありますが、これ以外には、見つけられませんでした。

【表9】SKYYのチャート(クリックで拡大)


以上です。


御礼
 最後までお読み頂きまして誠に有難うございます。
役に立ちましたら、スキ、フォロー頂けると大変喜び、モチベーションにもつながりますので、是非よろしくお願いいたします。 


だうじょん


免責事項
 本執筆内容は、執筆者個人の備忘録を情報提供のみを目的として公開するものであり、いかなる金融商品や個別株への投資勧誘や投資手法を推奨するものではありません。また、本執筆によって提供される情報は、個々の読者の方々にとって適切であるとは限らず、またその真実性、完全性、正確性、いかなる特定の目的への適時性について保証されるものではありません。 投資を行う際は、株式への投資は大きなリスクを伴うものであることをご認識の上、読者の皆様ご自身の判断と責任で投資なされるようお願い申し上げます。

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