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マイクロソフトとアマゾン:ジェットコースターのようだが株式投資家には明るい材料


 モーニングスターのエクイティ・アナリストは、一時的に下落しているマイクロソフトとアマゾンの株価は、両社のクラウド事業の良好な長期トレンドから株価回復が期待できるとの評価。
 チャールズ・シュワブのトム・ホワイト氏は、マイクロソフトには保守的な取引、アマゾンに対して強気のトレードを提案。米国株のオプション取引ができる国内証券会社は限定されていますが、ご参考まで。

(8月9日のSchwab Networksより)




(1)インタビュー


[オリバー・レニック](Schwab Network)
 
本日は、Morningstarの株式アナリストで、アマゾンやマイクロソフト、その他クラウド関連企業を担当しているダン・ロマノフさんをお迎えしています。ダンさん、おはようございます。本日はご参加いただきありがとうございます。
 これらの企業の株価は回復すると思われますか?それとも、過去数週間の間に本当に厳しい状態になっているのでしょうか?

[ダン・ロマノフ](Morningstar)
 
全般的に見て、ソフトウェア業界はまさにジェットコースターのような状況です。マイクロソフトとアマゾンに関しても、同様の動きを見ています。両社の株価は一時的に下がっていますが、ビジネスの観点から見れば、かなり良好なトレンドにあります。利益率は順調で、成長も持ちこたえており、ガイダンスも全体的に良好です。短期的には思うようにいかないかもしれませんが、この下落は少し過剰反応だったかもしれませんね。どちらの銘柄も、株価の回復を期待しても良いのではないでしょうか。

[オリバー・レニック]
 
モーニングスターの評価では、マイクロソフトの方がアマゾンよりも少し評価が高いようですね。マイクロソフトが4つ星で、アマゾンが3つ星とされています。

[ダン・ロマノフ]
 
はい、その通りです。簡単に言うと、マイクロソフトはパブリッククラウド分野でアマゾンを上回っています。具体的には、AzureとAWSの比較で見ても、その成長率に表れています。売上については、アマゾンの方が大きいですが、AIの分野に関してはマイクロソフトが明らかに優れた成果を上げています。また、過去数年間でハイブリッドクラウド環境がAzureを大きく後押ししているため、その点でもマイクロソフトが優位に立っています。ただし、いずれにしても、この2社はパブリッククラウドのリーダーであることに変わりありません。

[オリバー・レニック]
 
マイクロソフトが現在AIテクノロジー基盤の構築に多額の資本支出をしているわけですが、その投資がまずどこで利益を押し上げることになるのでしょうか?どの部分で私たちにとって本当に意味が出てくるのでしょうか?今のところ、市場は彼らの支出額について概ね受け入れているように見えます。昨日、AIに投じられた資金と、一般的なクラウドやメタバースなど他の分野に投じられた資金を比較した統計を見ましたが、昨年は狂ったほどの金額が使われています。これらの製品や、実際の株価への影響について、どのようにお考えですか?

[ダン・ロマノフ]
 
メタバースとは違って、パブリッククラウドやAIは実際に現実のものです。企業は確かに投資していますが、アマゾンやマイクロソフトはこの種のサービスの需要を見越して、過去10年、15年、20年と前もって投資を続けてきました。初期の頃から、「これらの投資がリターンを生むのか」という常に同じ疑問がありました。
 例えば、インテリジェントクラウドの利益率を見ると、Azureを含むマイクロソフトの部門の営業利益率は一貫して上昇しており、直近の四半期では約47%に達しています。これは企業全体の平均を上回っています。このことから、クラウドサービスが確実に良好な利益率を持つ製品であり、全体の利益率を押し上げているのは明らかです。
 ですので、投資家たちが資本支出の増加をそれほど気にしていないのは、マイクロソフトが先の四半期でAzureの前年比成長率が800ベーシスポイント上昇したと発表しており、その成長の大部分が生成AIによるものであるという事実によるものだと思います。この数字は、ビジネスの規模を考えると非常に驚異的です。

[オリバー・レニック]
 
Copilotについてはどうでしょうか?一般の人々が使っているのでしょうか?それとも、大規模な組織が利用しているのでしょうか?その状況について教えてください。

[ダン・ロマノフ]
 
そうですね、Copilotについては少し慎重な見方をしています。特にマイクロソフトのCopilotに関してはそうです。今、活用が見られるのは、主にプログラムコード生成の分野です。ソフトウェアエンジニアがコードを書く際にCopilotを使って効率を上げています。エンジニアによって異なりますが、Copilotが生成したコードのうち20%から50%をエンジニアが受け入る状況です。これは、初期段階での成功例と言えるでしょう。
 一方、Microsoft OfficeのCopilotについては、まだこれからだと思っています。需要がすぐに高まるかどうかはわかりませんが、企業の支出が抑制されている現状を考えると、需要がすぐに出てくるとは限らないと見ています。

[オリバー・レニック]
 
なるほど。新しいデバイスを購入する人が増えるまでには時間がかかりそうですね。しかし、その主力のAIドリブンなプロダクトの行方が不透明な状況だと、マイクロソフトの投資や研究開発の効率に影響が出る可能性はありませんか?

[ダン・ロマノフ]
 
他の人がどのように見ているかはわかりませんが、長期的には、例えば5年くらいのスパンで見ると、Copilotがポートフォリオ全体で徐々に浸透していくであろうと考えています。ですので、将来的にはその成長を後押しするでしょう。ただし、近い将来にその効果が見られるかというと、そうではないと思います。
 また、データセンターの構築などに対する資本支出についても、マイクロソフトやアマゾンは、必要であればすぐに一時停止できるだけの柔軟性があります。
 そして過去10年間を振り返ると、年ごとに資本支出が減少した年もありました。そのため、資本支出についてはあまり心配していません。もし需要が完全に落ち込んだとしても、すぐに資本支出を抑えることができるでしょう。ただし、AIに対する需要が今後も増加すると仮定すれば、たとえその増加が少しスピードを緩めたり、予想よりも早く実現しなかったとしても、長期的にはクラウドの基盤を引き続き拡大する良いポジションにいると思います。ですので、全体としては問題ないと考えています。

[オリバー・レニック]
 
そうですね。必要であれば、支出を削減して調整する余地もあるということですね。現在はとにかく多くの資金を投入している状況ですから。ダンさん、分析をありがとうございました。

[ダン・ロマノフ]
 
ありがとうございました。
 


(2)トレード・セクション


[オリバー・レニック]
 
トム、トレードに移りましょう。今回はマイクロソフトに対してやや強気のトレードを検討されていますが、実はアマゾンに対してはもっと強気なトレードを考えていますね。
 まず、マイクロソフトについてのアプローチを教えてください。

[トム・ホワイト](Schwab Network)
 
少し保守的なトレードかもしれませんが、マイクロソフトは今、405ドルの水準、つまり200日移動平均線のあたりに位置しています。株価はそのラインを下回っていて、ここが抵抗線または支持線になる可能性があります。そこで、今回はやや中立から強気のトレードを検討しました。下値に対するクッションを確保できる方法です。
 8月30日の週のサイクルを対象に、つまり約21日後に期限が来るものですが、私は株を保有するのに安心できる395ドルの行使価格で、少しだけアウトオブマネーのプットを売る戦略を取るつもりです。このトレードで約6ドルのクレジットを得られる見込みです。これは600ドルの潜在的なリターンになりますが、悪くないですね。
 損益分岐点は389ドルとなり、これは現在のマイクロソフトの株価より約4%下です。株価は先月の468ドルの過去最高値から約13%下がっています。ですので、このトレードが回復するか、少なくとも200日移動平均線あたりで安定すると考えるなら、この戦略はそれを活用できるものです。
ただし、395ドルを下回ると、プットを売っている場合、その株を保有しなければならないリスクがあります。ただ、必要であれば事前にポジションを閉じることも可能です。今回は、キャッシュを担保にしたプット売り戦略で、市場の高いインプライド・ボラティリティを活用しています。

[オリバー・レニック]
 
なるほど、マイクロソフトの下値を売ることで600ドルを得られるわけですね。600ドルは悪くないですね。
 さて、アマゾンについてですが、マイクロソフトに比べて株価がかなり下落しました。マイクロソフトのチャートはそこまで崩れていませんが、アマゾンは明らかに崩れていますね。それでも、ディップ買いに積極的なんですね。ダンの話を聞いていませんでしたか?アマゾンの評価はそこまで良くないんですよ。

[トム・ホワイト]
 
実は、昨日アマゾンで興味深いオプショントレードがありました。株価が11%ほど下落している状況で、長期のオプションを購入する動きが見られました。
 今年はまだ10%ほど上昇していますので、少し積極的なトレードを検討しました。アマゾンの株を保有したい、もしくは反発による上昇に乗りたいという方に向けて、10月の月間サイクル、つまり70日後に期限が来るポジションでのトレードを考えました。2か月以上の余裕があるため、期間を持たせることができます。
 具体的には、170ドルのコールオプションを買い、上昇を狙います。そして、その資金調達のために、160ドルのプットオプションを売ります。これにより、ニュートラルから強気のポジションを取ることができます。このコンボトレード、つまり強気のリスク・リバーサルでは、およそ2.60ドルのデビット(コスト)がかかります。これにより、損益分岐点は172.60ドルになり、現在の株価より約3%上になります。
 株価が160.00ドルから172.60ドルの間にある場合、リスクは支払った2.60ドルのデビットのみです。ただし、160ドルを下回ると損失が拡大します。
この戦略は、今後2~2.5か月でアマゾンの株価が175ドル以上に回復する可能性があると考える場合に、上昇による利益を最大限に活用するためのものです。


[オリバー・レニック]
 
なるほど、つまりアマゾンでは強気に上昇を狙う一方で、マイクロソフトでは下値に対して売りのポジションを取るというわけですね。

[トム・ホワイト]
 
そうですね。アマゾンのトレードでは、下値を売ることで強気のコールを資金調達しているので、両方の要素が含まれています。

[オリバー・レニック]
 
マイクロソフトの場合は、マイナス面を売っているだけという違いがあります。

[トム・ホワイト]
 
そうです。

[オリバー・レニック]
 
両銘柄ともまずまずの状況ですが、このまま安定してほしいですね。
 


(2)オリジナル・コンテンツ

 オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。

Schwab Networkより
Original Published Data : 2024/08/09 EST

【出演】
  Morningstar
   
ダン・ロマノフ(Dan Romanoff):Equity Analyst

  Schwab Network
   
オリバー・レニック(Oliver Renick)
   トム・ホワイト(Tom White):Senior Options Contributor


以上です。


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だうじょん


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 本執筆内容は、執筆者個人の備忘録を情報提供のみを目的として公開するものであり、いかなる金融商品や個別株への投資勧誘や投資手法を推奨するものではありません。また、本執筆によって提供される情報は、個々の読者の方々にとって適切であるとは限らず、またその真実性、完全性、正確性、いかなる特定の目的への適時性について保証されるものではありません。 投資を行う際は、株式への投資は大きなリスクを伴うものであることをご認識の上、読者の皆様ご自身の判断と責任で投資なされるようお願い申し上げます。


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