IPO市場復活の兆し:鍵を握るユニコーン企業の動向
セカンダリ・マーケットでの未公開株式の取引を取り持つ証券会社であるレインメーカー証券のグレン・アンダーソンCEOを迎え、IPOマーケットの2024年の振り返りと2025年の展望をテーマとしたSchwab Networkのインタビュー内容を紹介します。
2024年には、ArmやCavaの上場がありましたが、IPOマーケット全体の動きは低調といえるものでした。2025年は、規制緩和やビジネスフレンドリーな政権の誕生によってIPO市場が活性化するであろうという見方が強くなっています。既に上場準備を進めるKlarna(KLAR)やServiceTitan(TTAN)、Chimeの他、市場期待の大きなDatabricksやStripe、StarlinkやOpenAI、Anthropicといった大規模未公開テクノロジー企業がどう行動を起こすかは、来年2025年の株式市場の注目度の高いイベントになると考えられます。ご参考下さい。
1. インタビュー
[ニコール・ペタリデス](Schwab Network)
さて、来年のIPOマーケットに注目する時です。本日は、レインメーカー証券のCEO兼共同創業者であるグレン・アンダーソンさんにお越しいただきありがとうございます。
IPOマーケットには、今後注目すべき企業がたくさんありますね。多くの方が話題にしているように、今度の政権はビジネスに対してよりフレンドリーで、合併や買収、その他のアクションが全体的に増えると予測されています。まず将来の話に進む前に、2024年のIPOマーケットで、特に印象に残ったことは何だったのでしょうか?
[グレン・アンダーソン](レインメーカー証券)
過去3年間にわたってIPOマーケットを観察してきた者として印象に残ったのは、率直に言うと「何もなかった」ということです。市場は非常に静かでした。その理由は、マクロ経済的な要因や、特に2022年から2023年初めにかけてのプライベート・マーケットやパブリック・マーケットのパフォーマンスに関連する要因が挙げられます。ですから、やや皮肉に聞こえるかもしれませんが、「話題がなかったことが話題」だったわけです。
ただ、ここで注目したいのは、我々レインメーカー証券が長い間予測してきたことが、ようやく現実になりつつある点です。それは、投資家や企業の従業員が求める流動性への需要が、これらの企業をついに上場へと駆り立てるであろう、ということです。現在、その条件が整いつつあります。この流れが本格化すれば、2025年にはIPOマーケットが復活し、大きな動きが見られると楽観的に考えています。長い間待ち続けていた企業が、ようやくその一歩を踏み出すタイミングが来るのではないでしょうか。
[ニコール・ペタリデス](Schwab Network)
確かに、IPOマーケットを評価する際には、IPOの件数や時価総額といった指標に注目しますね。その中で、特に注目された企業としては、Arm(ARM)、Klaviyo(KVYO)、Kenvue(KVUE)、Cava(CAVA)が挙げられると思います。ニューヨーク証券取引所で上場した企業も多くありましたし、例えばArmの上場時にはテクノロジー分野への期待感が高まりました。また、Cavaは上場以降、非常に好調なパフォーマンスを見せています。
とはいえ、IPOの件数や時価総額という観点では、依然として市場全体の動きが物足りないと感じる部分もあります。個々の成功事例はあったものの、全体の規模感や活発さという点では、過去の水準と比べてまだ低調だったといえるのではないでしょうか。
[グレン・アンダーソン](レインメーカー証券)
その通りです。確かに、ArmのIPOは大きな出来事でしたが、我々の見方では、広範なIPOマーケットを象徴するような指標的存在ではありませんでした。理由はいくつかありますが、単体では市場全体の動向を示すものとは言えないと思います。
本当の指標となり、市場を活性化させるのは、大型のプライベート企業が次々と上場するような動きが出てきた時でしょう。その候補としては、Databricks、Stripe、Starlink(もしSpaceXがスピンオフさせた場合)、OpenAIやAnthropicといった注目度の高いAI関連企業が挙げられます。こうした企業が上場し、初日の株価上昇やその後の市場での好調なパフォーマンスを見せることがあれば、他の企業もそれに続く動きが生まれるでしょう。
特に、プライベート市場で高い評価を得ている大型のテック企業がパブリック市場に進出すれば、IPOマーケット全体の流れが変わるきっかけになります。プライベート市場の多くの企業も、これらの大手が一歩踏み出すのを待っていると考えられます。
[ニコール・ペタリデス](Schwab Network)
挙げられた名前はどれも規模で素晴らしい企業ばかりです。OpenAI、Databricks、Starlink、Stripeといった名前を挙げられましたが、確かにどれも期待されている企業ですし、中にはSpaceXの名前を出す方もいらっしゃいます。ただ、これらの企業が2025年に上場する可能性はどれくらいあるのでしょうか?むしろ、Klarna(KLAR)やServiceTitan(TTAN)のような企業の方が上場する可能性が高いという見方もありますよね。2025年に実際に上場する可能性が最も高いのはどの企業だと考えられていますか?
[グレン・アンダーソン](レインメーカー証券)
ServiceTitanやKlarna、Chimeなどは、2025年に上場を目指す意向を明確にしています。その点では、彼らが上場計画を実行に移すことが期待できます。ただし、これらのIPOが市場全体の活性化につながるかどうかは、まだ分かりません。たとえば、ServiceTitanは素晴らしい企業ですが、その上場の動機は少し異なります。市場のタイミングを見ているわけではなく、上場せざるを得ない状況という印象があります。
一方で、Klarnaは異なる立ち位置にいます。いわゆるBNPL(Buy-now-pay-later)市場のリーダーであり、成長が著しい分野で存在感を示しています。この分野では、KlarnaのIPOがマーケット全体の指標となる可能性があります。ただ、Chimeに関しては、成功するIPOになるかどうかについては少し疑問があり、個人的には不安が残ります。
さらに、大手企業に目を向けると、Databricksは2025年の後半に上場を検討しているようです。また、Starlinkは少なくとも1年以上、上場の噂が絶えません。そしてStripeは市場のタイミングが合えば、上場を選択する可能性があります。こうした大規模なIPOが実現すれば、市場全体に与える影響は大きいでしょう。
[ニコール・ペタリデス](Schwab Network)
ロードショーを経た後、これらの企業の価値がどのように評価されるのかも注目ポイントです。たとえばテスタの例では、当初は自動車の企業と見られていましたが、今ではテック企業やバッテリー企業といった幅広い評価を受けています。同様に、Chimeも、フィンテック企業なのか、それとも単なる銀行なのかといった議論があります。こうした評価基準はIPOの成功を左右する重要な要素です。他にも評価が分かれそうな企業として、どのような企業が挙がるのか気になります。
[グレン・アンダーソン](レインメーカー証券)
最近の上場企業の傾向を見ると、どの企業もテック企業であることを価値としてアピールするのは間違いないですね。テック企業として評価されることで、より高い株価倍率が得られ、投資家の関心も集めやすくなるためです。とはいえ、実際に市場を説得して、本物のテック企業と認めてもらえる企業は限られていると思います。例として挙げられたChimeも、その典型ですね。一見すると銀行のようですが、テック企業としてのストーリーをうまく語っているようです。ただし、それが市場でどのように受け止められるかは未知数です。
[ニコール・ペタリデス](Schwab Network)
2025年にはIPOマーケットが活発化しそうだという期待感が高まっているようです。レインメーカー証券のグレン・アンダーソンさん、貴重なお話をありがとうございました。
2. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
Schwab Networkより
(Original Published date : 2024/12/02 EST)
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だうじょん
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