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2025年の米国市場は、利下げ回数が少ないほど良い:トム・リー


 2024年12月5日、Fundstrat Global Advisorsのトム・リー氏を迎えてのCNBCインタビュー内容を紹介します。

 トム・リーは、一時104,000ドルを超えたビットコインの上昇は、市場のリスク志向が高まっていることの表れであるとの見解を示し、停滞していた資金の動きが再開する兆候であるとして、年末のS&P500目標値を6,300とする見通しを再確認しました。また、2025年の株式市場については、FRBの利下げ回数が少ないほど株式市場にとって良い結果をもたらす可能性が高いとし、そのことによって、ハト派的な政策サイクルがより長期化し、より市場に安定感をもたらす可能性があるとの見解を示しています。ご参考ください。






1. インタビュー


[レスリー・ピッカー](CNBC)
 Fundstrat Global Advisorsのリサーチヘッドのトム・リーさんがスタジオに来てくださいました。こんにちは。
 

[トム・リー](Fundstrat Global Advisors)
 こんにちは。
 

[レスリー・ピッカー]
 では、直近のビットコインのラリーが現在の市場におけるリスク志向をどう反映しているとお考えでしょうか?
 

[トム・リー]
 そうですね、これは投資家がリスクを取る姿勢を強めていることを示していると思います。また、ここ数年で資金がどれだけ動いていなかったのかも表していると思います。MMFや現金に留まっていたり、経済がどうなるか見極めようとしていた資金が多くあったということですね。ビットコインが上昇しているのは、停滞していた状況を脱しつつあるサインであり、今年の残りでS&P500がどう動くかの先行指標になると考えています。
 

[レスリー・ピッカー]
 より広範な市場の動きについて伺いますが、トムさんはS&P500の6,300への道のりには困難が伴うとおっしゃっていますね。投資家が直面する可能性のある障害やそれが進行を妨げる要因として予想されるものは何でしょうか?また、注目している重要なポイントは何ですか?
 

[トム・リー]
 そうですね、今後3週間で多くのマクロ経済的な要素を消化する必要があると思います。明日は雇用統計の発表がありますが、ハリケーンの影響や季節調整の関係で非常に強い数字になるのではと、投資家が懸念している状況です。来週にはCPI(消費者物価指数)の発表が控えており、これがやや高めの水準で推移すると思われます。今週、パウエルFRB議長もその点について触れていました。また、18日にはFOMCの政策金利の決定がありますね。そして、これらのイベントを乗り越えた後は、いわゆるクリスマスのサンタクロース・ラリーに向けて投資家が資金を投入できる状況になるのだと思います。6,300は依然として達成可能な目標だと考えています。
 

[マクロ・アウトルック]
・6,300への道のりは険しい:11月の雇用統計、11月のCPI、12月のFOMC
・12月は強いと信じています
・推奨銘柄:小型株、景気循環株、そしてビットコイン


[レスリー・ピッカー]
 つまり、18日以降も市場を離れず、年末に向けて追加的な上昇の可能性があるということですね?
 

[トム・リー]
 はい、もしくは押し目で買うのが良いでしょうね。
 

[マイケル・サントリ]
 つまり、良いニュースが株式市場にとっては悪いニュースであると話されていますが、なぜ市場が、FRBが利下げペースを緩める可能性を懸念する必要があるのでしょうか?
 

[トム・リー]
 市場には慣れるべき概念的な変化があると思います。今年初め、FRBが利下げを開始したとき、多くの人は利下げが5回なら2025年の株式市場にとって良いことだと考えていました。そのため、利下げ回数が減るとネガティブだという認識が広がりました。しかし、2025年に入ると、市場は来年の利下げ回数が少ないほど良いという考え方に変わると思います。利下げが少ないほうが、ハト派的なサイクルが長引くからです。このように認識を転換する必要がありますが、これには時間がかかるでしょう。
 

[マイケル・サントリ]
 しかし今年を通して、同様の状況だったのではないでしょうか?たとえば、今年の1月時点では市場は6回か7回の利下げを織り込んでいましたが、実際には数回にとどまりました。それにペースも落ちてきています。2年物国債利回りも、今やほとんどFF金利と大差がありません。つまり、私が言いたいのは、市場はすでに「ゆっくり進む方が良い」という考えを織り込んでいるのではないでしょうか。
 

[トム・リー]
 その通りですね。但し、これはまだ市場で広く受け入れられている考え方ではないと思います。例えば、パウエルFRB議長がペースを少し緩めるという趣旨の発言をした際、市場は一時的に弱含みましたが、その後見直しがあったようです。このように、市場が来年の利下げが1回であることが実は非常にポジティブだと認識するまでには、まだしばらく時間がかかると思います。
 

[レスリー・ピッカー]
 海外の政治的混乱、たとえば韓国やフランスなどの動向に対して、株式市場があまり反応していないことに驚いていますか?
 

[トム・リー]
 ある意味では、株式市場はすでにこの状況を織り込んでいたのではないかと思います。今年は、米国とヨーロッパ、あるいは米国と新興市場との間でかなり顕著な乖離が見られました。そして、中国のラリーが期待外れに終わったこともありましたよね。ですから、市場はある程度予想していた可能性が高いと思います。むしろ、為替や株価を通じてその織り込みが進んでいたのかもしれません。
 

[デビッド・フェイバー](CNBC)
 ここで少し昔の話に戻りますが、今でもアクティブ運用マネージャーをトラッキングし、彼らが目標をどれだけ下回っているのか、そしてそれが年末にどの程度影響を与えるのかなどをチェックしていますか?
 

[トム・リー]
 そうですね。実際、この10年でファンドマネージャーの数に大きな変化があったこともあり、データの整理を進めています。今年は良い面と悪い面がある年だったと思います。戦略的に景気循環銘柄や攻めの姿勢、特にテック株にシフトしたアクティブマネージャーにとっては、非常に好調な年でした。ベンチマークを6%、7%、さらには8%も上回っている顧客が多く、これは驚異的なアウトパフォーマンスと言えます。ただし、これは一部の例外的な成果であり、マクロ視点やマーケットニュートラル戦略に重きを置く場合は、非常に厳しい環境だったというのも事実です。
 



2. オリジナル・コンテンツ

 オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご視聴になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。

CNBC Televisionより
(Original Published date : 2024/12/05 EST)

[出演]
  Fundstrat Global Advisors
    トム・リー(Tom Lee)

  CNBC
    レスリー・ピッカー(Leslie Picker)
    デビッド・フェイバー(David Faber)
    マイケル・サントリ(Michael Santoli)



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だうじょん


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