バロンズによる2025年 トップピック10銘柄から:UBER/C/LVMHF/SLB/BRK/(MSTR)
例年、年末が近づくと、Barron'sのアソシエイト・エディターであるアンドリュー・バリー氏が注目銘柄をピックアップして発表します。
今回の投稿は、その彼が2025年に向けて発表した注目10銘柄の記事をテーマにしたBarron'sのポッドキャストの内容を紹介します。
同氏がピックアップした10銘柄は、以下リストの通りで、該当のオリジナル記事は、こちら「Alphabet and 9 More Stocks to Buy for 2025」から参考いただけます。(また、下方に参考訳を添付しています。)
Alibaba Group Holding(BABA)
Alphabet(GOOG/GOOGL)
ASML Holding(ASML)
Berkshire Hathaway(BRK.A/BRK.B)
Citigroup(C)
Everest Group(EG)
LVMH Moët Hennessy Louis Vuitton(LVMHF)
Moderna(MRNA)
SLB(Schlumberger)(SLB)
Uber Technologies(UBER)
このポッドキャストでは、ロボタクシー、銀行、高級ブランド、石油採掘、バフェット、ビットコインにスポットライトを当てて、上記リストのうち、UBER、C、LVMHF、SLB、BRKの5社を取り上げて紹介しています。また、ビットコインの昨今の動向を踏まえ、ビットコイン銘柄としてのMSTRについても話題として取り上げています。 ご参考下さい。
1. 注目銘柄ハイライト:5銘柄(+1)
[ジャック・ホフ]
さて、毎年恒例のことですが、アンドリューは次の1年のためのトップ10株を発表しています。今年ももちろん発表しましたよね。それで、昨年のリストはどうでしたか?昨年は特に厳しい年でしたよね?
[アンドリュー・バリー]
ひどかったです。2024年は私のキャリアでも最悪の年の一つでした。S&P 500を大きく下回ってしまいました。一番大きな失敗はHartzで、50%以上も下落しました。本当に恥ずかしいですし、今年はもっと良い結果を出すと誓っています。長年そこそこ良い成績を残してきましたが、今はそんな状況です。
[ジャック・ホフ]
昨年はアクティブマネージャーにとって非常に厳しい年でした。大手のドットコム株やAI関連株にしっかり投資していなければ、成果を上げるのは難しかったのです。これらの株はすでに割高に見えるものも多く、誰もがそれに全力投資していたわけではありません。その結果、昨年の株式市場は平均的に振るわなかったのです。
2025年の株式市場の見通しはどうでしょうか? どうなりそうですか? 割高に感じていますが良さそうですか?
[アンドリュー・バリー]
確かに割高ですが、大丈夫だと思います。金利は抑制されるでしょうし、FRBが短期金利を少し引き下げる可能性もあると思います。それに、大統領に選ばれたドナルド・トランプ氏は、自身の実績を株式市場の動向である程度測る傾向があります。規制が緩和され、ビジネスや資本主義に好意的な政策が取られる可能性もあります。株価は高値ですが、ワシントンや議会の環境は株式市場にとって比較的良好なものになると思います。
[ジャック・ホフ]
では、同じ種類の株が引き続き好調を維持するとお考えですか?AI関連株や大手ハイテク株といった銘柄に引き続き注目すべきでしょうか?
[アンドリュー・バリー]
他の分野へのローテーションが見られる可能性もあると思います。いわゆるマグニフィセントセブンと呼ばれるApple、Microsoft、NVIDIA、Teslaなどの株が市場を席巻してきました。今年これまでで平均70%ほど上昇しています。一方で、S&P 500全体は約30%の上昇です。市場の多くの利益はこれらの株によるものですが、バリュエーションがやや割高になってきています。PERが高くなりすぎているため、一息つくタイミングが来るかもしれません。また、時価総額が3兆ドル以上の企業もあり、「大数の法則」(Law of Large Numbers)やその他の要因が成長を抑える可能性もあります。そしてそれらが一部の銘柄の輝きを鈍らせるかもしれません。
[ジャック・ホフ]
では、どのように銘柄を選んだのでしょうか? 何か特定のテーマを意識して探しましたか? たとえば、今年はバリュー株が良いだろうとか、このセクターや業界が良いだろうと考えたのでしょうか? それとも、特定の条件に合う株を探したのでしょうか? どのように進めたのか教えてください。
[アンドリュー・バリー]
今回選んだのは、比較的割安で成長の見込みがある株、または今年特有のポテンシャルとなる要素を持つ株です。いくつかテクノロジー関連株も含めましたが、そのセクターで今一番注目されている銘柄ではありません。ただ、それでも競争力のある堅実な企業で、昨年よりも良い年になる可能性があると思う銘柄を選びました。
[ジャック・ホフ]
さて、10銘柄を選びましたが、すべてをカバーするのは難しいでしょう。半分程度に絞って話を聞かせてください。それ以外については、興味がある方は雑誌をご覧いただくという形にしましょう。その代わり、最も魅力的な銘柄に焦点を当ててください。1つは特別な一発、1つは抜群の大当たり、1つは本当に宝石のような銘柄、それと...ジャクソン、なんだっけ?
[ジャクソン・カントレル]
ナゲット。
[ジャック・ホフ]
そう、ちょっと曖昧ですけど、良いナゲットですね。
[ジャクソン・カントレル]
良いナゲットですね。
(1)Uber Technologies
[アンドリュー・バリー]
では、誰もが知っている会社から始めましょう。Uber Technologiesです。ライドシェアとフードデリバリーで業界をリードしている企業です。
[ジャック・ホフ]
冒頭(アイスブレーク部)で、マンハッタンのミッドタウンからアッパーウエストサイドまで行くのにいくらかかるのか話題にしましたが、正直なところ、その金額について全然わかりませんでした。では、進めましょう。
[アンドリュー・バリー]
問題なのはそこです。多くの人がUberの乗車料金の高さを懸念していますが、それでもこの会社は非常に支配的な存在です。実際、株価は最近30%ほど下がりました。この背景には、ロボタクシーが台頭してきていることへの不安があります。現在、ロボタクシーはおそらく半ダース程度の都市で導入が始まっており、これがタクシー市場を席巻すると考えられています。そのリーダーと目されるのがWaymoとTeslaで、これらの企業が独自のネットワークを構築し、Uberをプラットフォームから排除する可能性があるという懸念があります。ですが、それは過剰な心配だと思います。この会社はテクノロジー業界で最も支配的な企業の一つです。現在の株価は60ドル前後で、来年の予想収益の30倍未満という水準です。また、強力なフリーキャッシュフローと優秀な経営陣も持ち合わせています。
[ジャック・ホフ]
現在の成長速度はどのくらいですか?
[アンドリュー・バリー]
収益は非常に速いペースで成長しています。2桁以上の成長率を記録しており、国際的にも圧倒的な存在感を持っています。「Uber」という言葉が動詞として使われるほど普及しているのはその証拠です。WaymoやTeslaがロボタクシー事業を成長させたい場合、特にTeslaにとってはその事業が重要な位置付けにあるため、Uberのプラットフォームを利用しないのは難しいでしょう。Uberのプラットフォームに参加することは、彼ら自身にとっても、またUberの顧客にとっても大きなメリットがあると思います。
[ジャック・ホフ]
こうしたプラットフォームを再現するには時間がかかります。ロボタクシーについて言えば、Teslaは「ロボ」の部分を完璧にする必要がありますが、「タクシー」の部分も決して簡単ではありません。一方で、Uberはすでにその仕組みを整えています。Teslaや他の企業とパートナーシップを組む可能性はありますか?
[アンドリュー・バリー]
おそらくそうなるでしょう。ロボタクシーの運営会社とUberとの間でパートナーシップが進む可能性は高いと思います。両社にとってそのほうが有益ですし、Uberも明らかにその方向に興味を持っています。たとえばアプリを開いたときに、ロボタクシーと従来のドライバー付き車両のどちらかを選べるようになれば、サービスとしてバランスが取れるでしょう。ただし、ロボタクシーはまだそれほど普及していませんし、その経済性も証明されていません。現時点では、ロボタクシーがアメリカの都市で広く普及するにはまだ時間がかかると思います。安全性や規制をはじめとする多くの課題があります。現在、サンフランシスコなどいくつかの都市で展開されていますが、例えばマンハッタンのような場所では、歩行者や電動自転車、トラック、タクシーなどが入り乱れる中で、運転手のいない車両がスムーズに走行するのは非常に難しいでしょう。
[ジャック・ホフ]
ちなみに、昨夜パーティーの後にUberを利用しましたが、料金はかなりリーズナブルで26ドルでした。乗った車はピカピカのEVで、確かヒュンダイのIONIQとかそんな名前の車でした。ドライバーも素晴らしかったです。
それでは、次の話題に移りましょう。
(2)Citigroup
[アンドリュー・バリー]
次は、Citigroupについてお話しましょう。国内有数の大手銀行の一つですが、この業界の中では長年後れを取っていました。しかし、ここ1年で株価が持ち直しており、現在約72ドルで取引されています。それでもなお、大手銀行の中ではおそらく最も割安な銘柄の一つです。また、最近注目すべき成長ストーリーが浮上しています。
ここ数年、CEOのジェーン・フレイザー氏の下で再編と変革が進められており、現在は5つの事業に注力しています。そのうち3つは市場をリードしている分野です。一つは国際送金業務、特に法人向けが強みで、これは再現が難しい優良ビジネスです。二つ目は投資銀行業務で、こちらも業界を牽引しています。そして三つ目はアメリカ国内のクレジットカード事業で、トップ3に入る規模を誇ります。この事業は参入障壁が高く、規模が非常に重要です。
つまり、優れたCEOの指揮のもと変革が進み、今後の成長が期待できる企業と言えます。さらに、現在の株価は2025年の予想収益の約10倍で取引されており、有形固定資産(Tangible Book Value)を下回る割安な水準にあります。現時点で、有形固定資産を下回る価格で取引されている唯一の大手銀行という点も注目に値します。
[ジャック・ホフ]
金利が下がることはCitiにとって良いことですか、それとも悪いこと、あるいは中立でしょうか?
[アンドリュー・バリー]
おそらく中立だと思います。Citiは、Bank of AmericaやJP Morganに比べて、従来型の銀行業務への依存が少ないです。この銀行はむしろ国際的な展開が特徴です。また現在、海外の一部の消費者向け事業を縮小し、より高い収益を見込める事業に集中しています。これは進行中の取り組みですが、2026年の収益目標を達成する可能性がありそうです。この目標は、今年これまでの収益水準を大きく上回るものです。
[ジャック・ホフ]
順調なスタートですね。2つ目が終わりました。次に行きましょう。
(3)LVMH
[アンドリュー・バリー]
次に面白いのはLVMH、つまりLouis Vuittonです。この会社は業界をリードする・・・
[ジャック・ホフ]
Louis Vuitton Moet Hennessy、高級ブランドの代表ですね。
[アンドリュー・バリー]
名前が長いですよね。この会社は高級品業界をリードする企業です。フランスの企業で、革製品やファッションをはじめ、酒類、時計、その他さまざまな分野で世界のトップに君臨しています。時価総額は3,000億ドルを超えます。株式市場が好調で、ビットコインや金、不動産などの資産価値が上がり、富裕層がかつてないほど豊かになっているにもかかわらず、この会社の今年の売上はやや停滞しています。最大の理由は中国です。中国はこの企業にとっておそらく最大級の市場であり、同国の動向が重要な影響を与えます。LVMHは富裕層の消費拡大や中国の経済回復に期待しているといえます。現在の株価は来年の予想収益の20倍程度で取引されています。CEOであり世界有数の富豪でもあるベルナール・アルノー氏は、ここ数カ月で個人的に自社株を購入しています。
[ジャック・ホフ]
中国が原因で業績が少し鈍化しているようですが、株価の状況はどうですか?
[アンドリュー・バリー]
今年、株価は約20%から25%下落しています。過去の高値からかなり下がっており、米国市場では現在130ドル前後で取引されています。一時200ドルに達していたことを考えると、割安な水準です。ただし、この会社の製品、特にハンドバッグに割引を見かけることはほとんどありません。この業界では、「割引はブランド価値を損なう」とされており、2,000ドルのハンドバッグを値引きするよりも焼却することを選ぶとも言われています。
[ジャック・ホフ]
ジャクソン、そんなことが実際に起きていると思いますか?人々は…
[ジャクソン・カントレル]
それが今も実際に起きているのかは分かりませんが、それをテーマにしたApple TVの新作ドラマ「ラ・メゾン」という番組があります。フランス版の「Succession」のような感じで、高級ブランドを手がける2つの対立する家族を描いています。その中の若い世代の一人が、もっとサステナブルな方向を目指したいと考えているんです。
[ジャック・ホフ]
そのドラマにハンドバッグを燃やすシーンが出てきますか?
[ジャクソン・カントレル]
バッグを燃やすシーンではありませんが、若い世代の一人が、破棄される予定だった衣類を使ってファッションショーを開催するシーンがあります。みんな、裁断されたハンドバッグをつなぎ合わせて作ったキルトのような服を着ています。
[アンドリュー・バリー]
LVMHについて言えば、ヨーロッパは少ないながらもいくつかの産業で世界をリードしています。その中でも特に優勢なのが高級品業界です。HermèsやGucci、Pradaなどの企業があり、高級時計メーカーもヨーロッパが中心です。この分野ではヨーロッパが世界のトップを走っています。
[ジャック・ホフ]
アメリカ人はヨーロッパの高級ブランドが大好きですよね。認めたくはないですが、これは事実です。イギリス英語のアクセントで叱られると、なぜか彼らのほうが知識豊富に思えてしまう。私たちはヨーロッパの高級ブランドが好きなんです。さて、LVMHの話はこれで一区切りとしましょう。
それでは次の銘柄は何でしょう?
(4)SLB/Schlumberger
[アンドリュー・バリー]
次は、シュルンベルジェ(Schlumberger)という会社、今はSLBと呼ばれていますが、それが・・・
[ジャック・ホフ]
SLBです。昔、私が株式ディーラーをしていた頃、時々お客様から銘柄の相場を聞かれることがありました。その中に一人の年配の方がいて、いつも自分の持ち株リストを読み上げるんですが、この会社のことを「スロブ、スロブの調子はどうだ?」と呼んでいました。それがシュルンベルジェでした。
[アンドリュー・バリー]
シュルンベルジェのニックネームが「スロブ」だったんですね。Microsoftの「ミスターソフティ」と同じような感じです。
[ジャック・ホフ]
最近のスロブの調子はどうですか?
[アンドリュー・バリー]
スロブは、実のところ何年も冴えない時期が続いていました。おそらくあなたがディーラーをしていて、シュルンベルジェについて話題にしていた頃と比べても、株価はあまり大きく変わっていません。しかし、この会社は世界を代表する石油サービス企業です。中東市場や沖合市場に深く根を下ろしており、これらは非常に力強い市場です。同社は経営がしっかりしており、強固な企業文化と国際的な経営チームを持っています。特にヨーロッパ出身のメンバーが多いのが特徴です。
現在の株価は40ドル台前半、約41ドル程度で取引されており、2025年の予想収益の10~11倍という水準です。これは歴史的な平均を下回っています。私は、21世紀の間、世界は引き続き石油とガスを必要とし、この会社はそれを支える存在であり続けると思います。同社は非常に良い利益率を維持しており、デジタル事業も拡大中です。この事業では、エネルギー業界の企業がクラウドへの移行や効率向上を図る支援を行っています。
[ジャック・ホフ]
石油関連企業には、装置やサービス、掘削に特化した会社や、統合型の大企業がありますが、シュルンベルジェはどのように位置付けられるのでしょうか?
[アンドリュー・バリー]
シュルンベルジェは、掘削関連の幅広いサービスを提供している会社です。例えば、石油会社が石油や天然ガスの貯蔵量がどのくらいあるのか知りたい場合、この会社はその評価に非常に優れています。また、これらの資源にどうアクセスし、どのように管理するのが最適かという点でも、高い技術力を持っています。
[ジャック・ホフ]
原油価格についての予測はありますか?具体的な数値でなくても、今後の見通しについて教えてください。
[アンドリュー・バリー]
原油市場は現在弱含んでいます。今年、シュルンベルジェの株価も弱く、約20%下落しています。一方で、エネルギー・セクターETFの「XLE」は約10%上昇しています。この株は原油市場を下回るパフォーマンスですが、これはチャンスでもあると思います。現在、原油価格は1バレル70ドル程度にとどまっています。市場の一般的な見方としては、2025年にかけて原油価格が大きく動くことはないだろうとされています。その理由として、供給過剰やOPECの余剰生産能力、さらにはアメリカの過剰生産が挙げられます。特に、ドナルド・トランプ氏はさらにアメリカの生産量を増やすことを望んでいます。こうした要因により、原油市場は弱気な見通しが一般的ですが、それが現在の株価や多くのエネルギー関連株にはすでに織り込まれていると考えられます。
もし原油市場が好転すれば、天然ガス市場もこの会社にとって有望です。データセンターやAI、電力需要などに関連して、天然ガスの需要は引き続き高まるでしょう。そうした背景から、2025年にこの会社が意外な成果を上げる可能性は十分にあると思います。
[ジャック・ホフ]
電気自動車については、以前からアメリカでの普及が人々が思うほど早く進まないとおっしゃっていましたが、それはまだ同じお考えでしょうか? 需要が少し落ち込んでいるようにも見えますし、人々はハイブリッド車を好んで購入することでリスクを分散させたいようです。今も同じように感じていますか?
[アンドリュー・バリー]
はい、その見方は変わりません。現在、EVは市場全体の10%未満のシェアにとどまっており、そこから先に進むのは難しい状況です。例えば、TeslaのストーリーはEVの成長に焦点を当てたものから、完全自動運転やその技術の収益化、ライセンス化に重きを置いたものに変化しています。そのため、EV市場の可能性というよりも、Teslaが自社の技術をどのように活用して利益を生み出すかという話題が中心になっています。また、ヨーロッパ勢もEV市場で苦戦していますし、GMも事業を縮小している状況です。全体として、需要やアメリカ人、特に保守的な州に住む人々がEVを購入する意欲を過大評価していたようです。この問題はある程度政治問題化している部分もありますね。
[ジャック・ホフ]
さて、これで4銘柄目です。次はどれにしましょうか?
(5)Berkshire Hathaway
[アンドリュー・バリー]
では、おなじみの名前、Berkshire Hathawayを挙げましょう。ご存じの通り、ウォーレン・バフェット氏の会社です。今年の株価は市場全体とほぼ同じパフォーマンスを記録しています。A株は1株あたり約70万ドル、B株は現在おそらく400ドル台くらいでしょう。
[ジャック・ホフ]
Berkshireの株が市場と同じパフォーマンスを記録しているのはどうしてでしょうか? 保険やチョコレート菓子に投資していると聞きますが。それに、Apple株を持っていたと思いますが、まだ保有しているのですか? それとも少し売却したのでしょうか?
[アンドリュー・バリー]
はい、Apple株はかなり売却しています。投資の観点から見ると、今年はあまり良い年ではありませんでした。ポートフォリオ自体はうまくいっていますが、結果としてあまり良いとは言えない動きもありました。Appleの保有株は約3分の2を売却しましたが、それでもBerkshireは現在約3億株を保有しており、Apple株価の動きもあってその価値は700億ドル以上に達しています。しかし、売却によって30億ドル以上の利益を逃したとも言えます。また、Bank of Americaの株もBerkshireは保有分の約25%を売却しましたが、これも結果的にあまり良い判断とは言えない状況です。現在、新たな株の購入はほとんどしておらず、非常に慎重な姿勢を取っています。
[ジャック・ホフ]
では、ポートフォリオの中で市場に追いつく要因となったものは何でしょうか?
[アンドリュー・バリー]
ポートフォリオ全体は好調です。例えば、American Expressは非常に良いパフォーマンスを見せており、Appleの残りの持ち株やBank of Americaの株も堅調です。また、Berkshireの保険事業、特に財産・損害保険や自動車保険は同社の最大の事業で、こちらも好調です。たとえば、自動車保険の保険料を見てみると、この1年で2桁の上昇、過去4~5年で約50%の上昇が見られます。この価格上昇がBerkshireにとって大きな追い風となっています。さらに、全体的にアメリカ経済が強い状況にあることも影響しています。Berkshireは、アメリカ経済そのものに賭けているとも言えるでしょう。
[ジャック・ホフ]
Berkshireの株価には、バフェット・プレミアムが付いているのでしょうか? それとも、バフェット後継リスクによるディスカウントが適用されているのでしょうか?
[アンドリュー・バリー]
かつてほどのディスカウントはないと思います。現在の株価は来年の予想収益の20~25倍、簿価の約1.5倍で取引されています。バフェット氏は現在94歳で、キーマン・リスクが存在します。永遠に彼がいるわけではありません。あと数年、長くても5年程度が見込まれるでしょう。後継者としては、Berkshireの幹部であるグレッグ・アベル氏が一般的に高く評価されています。ただし、この点は依然として大きな不確定要素であり、バフェット氏が引退するか亡くなった際には株価が下がるリスクがあると考えられます。
[ジャック・ホフ]
でも、そもそもなぜ投資家がBerkshire株を買う必要があるのでしょうか?保有株の中には良いものもありますが、それなら個別株を選んで投資するほうが良いのではないでしょうか。Berkshireを買うことで得られるものは、いわば投資信託のようなものなのか、それとも株を選ぶスキルに対する信頼なのか、具体的に何が得られるのでしょうか?
[アンドリュー・バリー]
そうですね、Berkshireを買うということは、アメリカの優良企業に投資する手数料ほぼゼロの投資信託を手に入れるようなものです。それに加えてBerkshireは大量の現金も抱えています。バフェット氏はキャッシュを増やしており、現在Berkshireの現金保有額は3,000億ドルを超えています。これは時価総額約1兆ドルの約30%に相当します。これは、オプショナリティ、つまり市場が下落した場合に株式や企業を買収する選択肢を持っているという意味で大きな強みです。最近では、MondelezがHersheyの買収を検討していた際に、Berkshireがその取引に関与する可能性があるという話もありました。Hersheyのような企業は、バフェット氏が好んで所有したいと思うタイプの会社でしょう。
残念ながら、Apple以外のテクノロジー株へのエクスポージャーはBerkshireにはほとんどありませんが、大きな保有株のいくつかは好調です。たとえば、American ExpressやBank of Americaは最近良い成績を残しています。また、Coca-Colaも今年はまずまずの成果を上げており、これもBerkshireの主要な保有銘柄の一つです。一方で、Chevronは今年あまり良いパフォーマンスを見せていません。
(6)MicroStrategy
[ジャック・ホフ]
アンドリュー、リスナーのために2025年の注目株を紹介いただき、ありがとうございます。最後に、MicroStrategyについて少しお話しいただけますか? ビットコインを活用した独特なビジネス戦略について以前書かれていましたが、現在この株がどうなっているのか、そして今後についてどうお考えか教えてください。
[アンドリュー・バリー]
MicroStrategyの株価は今年まさに急上昇しています。現在、株価は400ドルを超え、年初から5倍以上になっています。企業価値はほぼ1,000億ドルに達しています。この急上昇の背後にいるのが、会長兼主要株主のマイケル・セイラー氏です。この会社は現在、世界最大の企業ビットコイン保有者で、40万BTC以上、つまり流通しているビットコイン全体の約2%を保有しています。特に、ここ1カ月半ほどの間にビットコインを大量に購入する動きを見せています。
この会社の興味深い点は、株価がビットコインの保有価値を大幅に上回るプレミアムで取引されていることです。実質的にはビットコインの貯蔵庫のような存在ですが、そのビットコインの価値が約400億ドルなのに対し、時価総額は約1,000億ドルです。なぜこれほど大きなプレミアムをMicroStrategyに支払うのか、正直なところ理解に苦しみます。同じようなビットコインのエクスポージャーを持つETF、例えばBlackRockのBitcoin ETF「IBIT」は、ビットコインの保有価値とほぼ同等で取引されています。
[ジャック・ホフ]
時に、金融市場では奇妙な現象が起こるものです。そうした状況を目の当たりにして、これは馬鹿げていると思っても、人々はそれをしばらくの間続けてしまいます。そしてその間に馬鹿げたことをしている人たちが多額の利益を上げ、「さて今、誰が馬鹿に見えるというのだ?」と批評家を見返すのです。ただ、その流れもいずれは終わるものです。
[アンドリュー・バリー]
確かにそうかもしれません。現時点では批判的な意見や懐疑的な見方をしている人たちが見劣りしてしまっている状況です。株価が上昇し続けているため、人々は何か秘密の成功法則があると信じ込んでいるようです。セイラー氏は、この高騰した株価を活用し、大量の新株を発行しています。この1カ月半ほどで、約150億ドル分の株式を発行し、その資金を使ってビットコインを購入しています。つまり、新たな投資家から得た資金を使ってビットコインを購入し、それが既存の投資家に利益をもたらしている構図です。ただ、今後もこのように高額なプレミアムを支払ってこの会社の株を買いたいと思う人がどれほど増えるのか、それには疑問が残ります。
[ジャック・ホフ]
それっていい戦略ですよね。みんなそれをやるべきじゃないですか?
[ジャクソン・カントレル]
それに、NASDAQに加わるかもしれないという話もありますよね。それはもう確定しているのでしょうか?
[アンドリュー・バリー]
そうですね。NASDAQは近々再編を行います。具体的には12月13日金曜日です。この放送日程に合わせた形でお話ししますが、その日、新たにNASDAQ100に加わる企業が発表される予定です。MicroStrategyがその一員に加わるだろうと予想されています(訳注:MicroStrategyは、12月13日に正式にNASDAQ100に組み入れられました)。NASDAQ100は、NASDAQ指数に含まれる非金融企業の上位100社で構成されていますが、興味深いのは、MicroStrategyは実質的には金融企業になっているという点です。同社の価値の90%以上がビットコインによるものです。しかし、元々の事業がソフトウェア開発だったため、現在もソフトウェア会社として分類されています。もっとも、ソフトウェア事業は今やほとんど重要ではなくなっていますが。
[ジャック・ホフ]
他にも、「我々もこのビジネスに参入する」という会社は出てきていますか? アメリカは競争社会ですし、ビットコインを買って株価を上げるビジネスに乗り出す企業が他にもいるのでは?
[アンドリュー・バリー]
ありますよ。例えば、Marathon(MARA)というビットコインマイニングを行う企業がMicroStrategyの手法を模倣しています。彼らも転換社債を発行してビットコインを購入しており、模倣者が現れている状況です。他にも同様の動きを見せる企業があります。
一方で、マイケル・セイラ―氏はさらに大きなビジョンを持っており、Microsoftをはじめとする大企業に、現在国債や財務省証券として保持しているキャッシュの一部をビットコインに移行すべきだと訴えています。彼はビットコインの伝道者のような存在で、人々はビットコインの可能性を信じてその価値が無限大に上がると期待しています。ビットコインの現在の価格は約10万ドルで、世界中のビットコインの総価値は約2兆ドルに達しています。しかし、それがさらに大きくなると信じている人たちもいます。このテーマについては議論の余地がありますが、未来を完全に予測するのは難しいところです。
[ジャック・ホフ]
2025年のビットコイン価格について予測はありますか? 年末時点では今より高くなっていると思いますか、それとも低くなっていると思いますか?
[アンドリュー・バリー]
私の予想では、やや高くなっているのではないかと思いますが、非常に予測が難しいです。ビットコインの価格は基本的に市場のセンチメントに左右されます。強気の要因としては、存在する予定のビットコインの95%がすでに採掘済みであることが挙げられます。ビットコインは最終的に2,100万枚が存在することになりますが、そのうち約2,000万枚がすでに採掘されており、新たな供給はほとんどありません。これが最も説得力のある強気のシナリオです。ただし、重要なのは人々が本当にこれをデジタルゴールドとして、あるいは分散投資の手段として保有したいと思うかどうかです。
[ジャック・ホフ]
アンドリュー、今日はお忙しいところありがとうございました。本当はもっとお話を聞いていたいところですが、そろそろお別れしなければなりません。今回ご紹介いただいた銘柄やビットコインについての見解、本当に感謝しています。2025年が素晴らしい年になりますように。私も近くで見守りつつ、その恩恵にあやかりたいと思っています。
[アンドリュー・バリー]
ありがとうございました。それでは。
[ジャック・ホフ]
本日のゲスト、アンドリュー・バリーさんに感謝いたします。そしてリスナーの皆さん、ありがとうございました。
2. Barron's オリジナル記事
上記ポッドキャストで取り上げられているBarron'sの記事のオリジナルソースは、こちら「Alphabet and 9 More Stocks to Buy for 2025」です。
この記事のラフな参考訳を以下にダウンロード可能なファイルとして添付しますが、ざっと機械翻訳しただけですので、翻訳品質的には難あるかもしれません。必要に応じてオリジナル・ソースをご確認ください。
3. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご視聴になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
Barron's
(Original Published date : 2024/12/13 EST)
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だうじょん
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