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11月25週:米国企業決算 3社への心構え


 11月25週に決算を迎える注目企業について、IBD(Investor's Business Daily)のYoutubeビデオから、チャートやファンダメンタルズを参考にした決算の事前準備のためのIBDのアレクシス・ガルシア(Alexis Garcia)氏とエド・カーソン(Ed Carson)氏の2名による会話を紹介します。なにか投資アイデアの気づきが得られるかもしれませんのでご参考下さい。
 尚、今回の決算シーズンも終盤にかかり、今回は3銘柄だけとなります。





01. CrowdStrike(CRWD)

 

Q3決算 予定日
 米国現地 11月26日(火)

Q3決算 市場予想
 EPS :0.81ドル(▲1% YOY)
 売上 :983百万ドル(+25% YOY)

注目ポイント
・契約更新時の顧客へのディスカウント価格適用
・大規模な新規獲得顧客の発表

[アレクシス・ガルシア]
 まずはCrowdStrikeからです。CrowdStrikeは11月26日(火)にQ3の決算発表を予定しています。EPS予測は、1%減の0.81ドル、売上は25%増の9億8,300万ドルとされています。
 注目ポイントとしては、まず契約更新時にどの程度の値引きが行われているのかという点、また、新規の大口顧客の獲得が発表されるかについて確認したいと思います。
 今夏のソフトウェアアップデートの失敗による影響が残っている状況ですが、状況は少しずつ好転しているようです。決算を前にいくつかの評価アップグレードもありましたし、再び復調を目指しているように見えます。今回の決算に向けて、どのようにお考えですか?

[エド・カーソン]
 アップグレードを行ったアナリストたちも、同じような見立てのようです。普段はあまり深読みしないようなことでも、今回はチャネル・チェックなどから、CrowdStrikeが回復している兆しをつかんでいるのかもしれません。ただ、実際のところはまだ分かりませんし、今回の決算発表で確認したいところです。
 注目すべきポイントは、今回の決算そのものだけではなく、その先のガイダンスです。次四半期の見通しだけでなく、顧客が離反せずに残っているのか、また新規顧客を獲得できているのか、値引きがどの程度行われているのか、そういった点が大切です。
 振り返ると、CrowdStrikeは2023年後半から2024年中頃にかけての市場ラリーで勝者になった銘柄の一つでした。しかし、あのグローバルな障害をきっかけに売り込まれる形になってしまいました。しばらくは数字が厳しい状況が続く可能性もありますが、今後の行方を占う上で非常に重要な決算になると思います。
 また、このことはCrowdStrikeだけの問題ではなく、サイバーセキュリティ業界全体にも影響します。もしCrowdStrikeがシェアを失っているのであれば、どこかの競合がその分利益を得ている可能性があります。競合他社も、この状況を好機と捉えてCrowdStrikeの市場を奪おうとしていると思います。但し、CrowdStrike自身も、まだ終わっていないし、復活する、という姿勢を示そうとしています。そのため、今回の決算発表とカンファレンスコールは非常に注目すべきものになりそうです。

[アレクシス・ガルシア]
 チャートを見てみましょう。おっしゃる通り、クラウドストライクは夏に398ドル付近の高値を付けましたが、例の障害が発生した後に急落しました。しかし、その後ゆっくりと回復しています。11月初めには通常のカップ・パターンを抜けてブレイクアウトし、現在は買いゾーンを超えています。このテクニカルな動きはどうでしょうか?

[エド・カーソン]
 最近のテクニカルな動きは、かなり力強さを感じさせます。あの大規模な売りがあった後も、取引量が伴うポジティブな日がいくつかありました。確かに全体的には取引量が減少しているように見えますが、それは以前の取引量が非常に多かったためであり、極端に少ないわけではないという点は押さえておくべきです。
 最近の動きを見ると、青い棒グラフが増えているように思えますし、AD格付け(Accumulation/Distribution Rating)も「B」であることから、機関投資家による買いが一定程度入っていることが伺えます。現在の価格は買いポイントから延びている状況とも言えますが、ここ数日で少し調整が入る可能性もあります。現在の動き自体を、いわゆる「代替ハンドル」として扱うことも考えられるかもしれません。今日の値動きでは、カップ・ウィズ・ハンドルの代替ハンドルの上に抜けようとしているようにも見えます。この価格帯を新たな目安として考えることもできそうです。
 また、現在のハンドルはオフィシャルなハンドルよりもベースの高い位置にあります。オフィシャルなハンドルは、ベースの中間点よりは上にありましたが、かなり低めの位置でした。今回の決算をきっかけに、この新しいポイントが買い増しのタイミングとなる可能性もあります。ただ、逆にタイミングを逃してしまい、次のセットアップを待つ必要が出てくる場合もあるかもしれません。
 いずれにせよ、今回の動きはCrowdStrikeだけでなく、サイバーセキュリティ業界全体にとっても非常に重要な意味を持つと言えます。

[アレクシス・ガルシア]
そうですね、ファンダメンタルズを見ても、成長は鈍化しています。ただ、決算発表で新規顧客獲得に関する話が出るかもしれないので、その点が興味深いです。




02. Dell Technologies(DELL)


Q3決算 予定日
 米国現地 11月26日(火)

Q3決算 市場予想
 EPS :2.07ドル(+10% YOY)
 売上 :246.6億ドル(+9.5% YOY)

注目ポイント
・データセンター・ハードウェアの売上
・Super Micro Computerの市場シェアを奪っているか?

[アレクシス・ガルシア]
 では次に、デル・テクノロジーズについて見ていきましょう。この会社は11月26日(火)にQ3の決算を発表する予定です。EPS予想は前年比10%増の2.07ドル、売上高は9.5%増の246億6,000万ドルになると予想されています。注目ポイントとしては、データセンター・ハードウェアの売上が主な焦点となると思われます。また、Super Micro Computer(SMCI)の問題を受けて、デルが市場シェアを獲得しているかどうかも注目されるでしょう。
 デルは、今回もまたアナリストが見通しを引き上げるケースが出ています。デルはデータセンター需要の堅調さから恩恵を受けているだけでなく、豊富なフリーキャッシュフローやPC市場の回復による追い風もあるようです。この点について何か注目していることはありますか?

[エド・カーソン]
 デルは非常に大きなハードウェア企業であるのに対して、Super MicroはAIデータセンター向けのサーバーに特化しているところが特徴です。デルもAIデータセンター向けの製品を展開していますが、それ以外にもPC販売やストレージ事業など幅広く手掛けています。その点で、デルは市場でかなり存在感のある企業です。
 一方、Super Microの現状の課題は、Blackwellチップに関連している可能性があります。多くの人々がBlackwellチップが新たな需要を喚起すると期待していると思いますが、既存の需要も引き続き強い状態です。NVIDIAの現行製品や旧製品への需要は依然として大きいですから、そのような市場ではSuper Microも十分な成果を上げ続けるはずです。
 業績面では、売上成長や利益成長が少しずつ回復しているように見えます。急成長している他の銘柄ほどではありませんが、堅実な成長を維持している点は評価できます。
 Super Microに加えて、NetApp(NTAP)にも注目です。NetAppはデータストレージ市場で競争しており、今日(11/22)、決算を発表しました。データストレージ市場自体はまだ堅調に推移しています。この市場の好調さはデルにも追い風となるでしょうし、これらの動きは、業界全体の今後を占う上でも興味深いポイントになりそうです。

[アレクシス・ガルシア]
 それでは、チャートを見てみましょう。この銘柄は今年に入ってから約80%の上昇を見せています。先ほど触れたように、ここ数四半期で成長が加速しています。10月下旬にはゴールデンクロスが発生し、50日移動平均線が200日移動平均線を上回りました。この銘柄のテクニカルな動きや今後の展望についてもう少し教えてもらえますか?

[エド・カーソン]
 テクニカル的には、調整局面と言えますが、非常に深い調整ですね。この銘柄は直近の2回の決算がどちらも振るわない結果に終わっています。最初の方では、数四半期前に高値近辺から大きく売られ、その後回復を試みましたが完全には戻りきらず、最終的にはピークから短期間で約50%も下落しました。その後ある程度の回復は見られますが、この急落の影響を忘れてはいけません。
 直近の決算も良い結果とは言えず、再び大きく売られました。この点も意識する必要がありますね。最近数日から数週間の動きを見ると、ベースの中間点を上回る位置でハンドルを形成しているようにも見えます。ただ、このベース自体が非常に深いですし、ハンドル自体もそれほど深くないのが気になります。もっと強いシェイクアウト(振り落とし)があれば良かったのではと思います。
 特に、50%もの下落を耐えた投資家は、ここで簡単には売らないでしょうし、反発局面で新規に購入した人も、現時点で手放す理由はあまりないように思えます。それでも、もし十分なシェイクアウトが起きていれば、もっと良い形のエントリーポイントが形成されたかもしれません。ただし、時間的な余裕がない中で、それが起きる可能性は低そうです。
 それでも、今のポイントから上昇するなら、購入を検討する余地はあると思います。ただし、この銘柄は堅実ではあるものの控えめな成長を示す一方で、株価の動きが非常に大きい特徴があります。ですので、買ったまま放置するようなスタイルには向いておらず、継続的に注意深く管理する必要がある銘柄だと言えます。



03. Burlington Stores(BURL)

 

Q3決算 予定日
 米国現地 11月26日(火)

Q3決算 市場予想
 EPS :1.55ドル(+58% YOY)
 売上 :25.54億ドル(+12% YOY)

注目ポイント
・選り好みの激しい消費者層にうまく対応しているか?

[アレクシス・ガルシア]
 次は、バーリントン・ストアです。このバーリントン・ストアも11月26日(火)にQ3の決算を発表する予定です。この専門特化型ディスカウント小売業者のEPS予測は、前年同期比58%増の1.55ドルになると予想されています。売上高は12%増の25億5,400万ドルに達する見込みです。注目ポイントは、厳しい目を持った消費者をうまく取り込めているかどうかです。
 バーリントンは前回の決算で大幅な利益の上振れを記録し、年間の見通しも上方修正しましたがこの辺りについて少し話していただけますか?ほかの小売企業の決算では、良いものもあれば悪いものもありましたが、バーリントンについてはどうでしょうか?

[エド・カーソン]
 小売業界では銘柄ごとの明暗がはっきりしていますね。たとえば、ウォルマート(WMT)は大きな成功を収めていますが、ターゲット(TGT)は大きな苦戦を強いられており、対照的な結果になっています。同じ大型店舗で、Costco(COST)のライバルと見られているBJ’sホールセールクラブ(BJ)も大きな利益を上げています。一方で、今週初めに発表されたTJX(TJX)の決算は、まあまあという結果で、特に目立つ数字もなく、無難な内容でした。それからRoss Stores(ROST)はパフォーマンスの遅れがちな銘柄でしたが、決算内容は混在したものでしたが株価は反発しました。業績がやや厳しい中でも、株価が低迷していた分、バウンスしやすい状況だったようです。
 これらの企業と同じカテゴリに属するバーリントンも注目に値します。TJXやRossと同様、ブランド品を30~40%割引で提供するオフプライス小売業者ですが、バーリントンは特に力強い利益成長を示しており、売上成長も好調です。この分野で非常に良い成果を上げている企業と言えます。
 ただし、全体の消費傾向を見ると、消費者の行動は一筋縄ではいきません。消費意欲はあるものの、すべての小売業者で均等に支出されているわけではありません。ディスカウント業者の間でも、選ばれる店とそうでない店があるのが現状です。バーリントンがどうなるか、非常に注目されるところです。過去1年間、好調だっただけに、今回も良い結果を期待したいところです。

[アレクシス・ガルシア]
 そうですね。日足チャートを見ると、現在フラットベースに入っていて、買いのエントリーポイントは282.49ドルとされています。右肩を築きつつあり、先ほど触れたように堅調な業績と売上の伸びが見られ、ブレイクアウトの可能性も高まっているようです。

[エド・カーソン]
 確かに、この動きは「カップ・ウィズ・ハンドル」に近い形状として捉えられるかもしれません。カップ部分は浅めで、少し丸みを帯びているように見えますね。現時点では、これをハンドルとして見るか、あるいはその中での別のエントリーポイントとして扱うかといった選択肢があります。割安ポジションというほどの価格差はないかもしれませんが、それでも、再度エントリーを検討する場合の参考にはなるでしょう。
 ただ、やはり決算次第です。この銘柄はギャップアップ(窓あけ上昇)する可能性もあります。これまで良い報告もあれば悪い報告もありましたし、市場全体の他の銘柄の動きにも影響を受けやすい特徴があります。そのため、今回の決算では必ずしも大きなサプライズを期待する雰囲気ではないかもしれませんが、結果的には意外性のある動きになる可能性も十分に考えられます。
 結局のところ、どうなるかは実際に発表される内容次第ですので、注意深く見守る必要がありそうですね。

[アレクシス・ガルシア]
 おっしゃる通り、注目する銘柄の関連企業についてもよく見ることが重要ですね。今日も貴重なご意見ありがとうございました。




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尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。

IBD
(Original Published Data : 2024/11/22 EST)



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