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家族性高コレステロール血症(FH)の診断において −心電図検査と下肢の診察−

家族性高コレステロール血症(FH)の診断において、心電図検査と下肢の診察は重要な役割を果たします。今回は、これらの検査でわかることについて詳しく解説していきます。

心電図検査

いくつかの特徴的な異常所見が見られます。
最も注目すべき変化はST-T波の異常で、これは心臓の血流が悪くなっている状態(虚血性変化)を示唆します。
また、Q波の異常は過去の心筋梗塞の痕跡を示すことがあり、左室肥大所見や不整脈の出現なども重要な所見です。特に運動負荷をかけた際には、ST部分の水平型や下降型の低下、T波の陰転化がより顕著になることがあります。

下肢の診察

アキレス腱の変化が診断の重要なポイントとなります。FH患者さんでは、アキレス腱が通常の2倍以上に肥厚することが特徴的です。正常なアキレス腱の厚さは8mm以下とされていますが、FH患者さんでは9mm以上になることが多く、両側性に現れるのが特徴です。触診すると硬く触れ(硬結感)、これは経験のある医師であれば容易に気付くことができます。

また、下肢では他にも重要な所見があります。腓腹筋や膝関節周囲に腱黄色腫と呼ばれる脂肪の沈着が見られることがあり、進行すると下肢動脈の脈が弱くなったり、血管が硬くなったりすることもあります。

これらの所見を正確に評価するために、様々な画像診断が用いられます。超音波検査ではアキレス腱の厚みを精密に測定することができ、MRI検査では腱組織の状態を詳しく観察することができます。X線検査では石灰化の程度を評価することが可能です。

まとめ

FHの早期発見と適切な治療のためには、これらの検査所見を総合的に判断することが重要です。

一つ一つの所見は単独でも意味がありますが、複数の所見を組み合わせることで、より確実な診断につながります。
特に、若年者で心電図異常やアキレス腱の肥厚が見られる場合は、FHを疑って精密検査を行う必要があります。

検査技師でも心電図を測定する際に患者のふくらはぎを見る機会がありますから、少し注意深く観察して触れてみたときの硬さなど見た目の左右差などを確認してもいいかもしれません。

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