ヌーヴォーだけじゃない!新たな発見がいっぱいの「ボジョレー・ワイン」とは - でひゅたんイベントレポート #3 (2020.11開催)
テーマは、ボジョレー・ヌーヴォーとボジョレー・ワイン
”11月の第3木曜日”
この日はワイン好きはもちろん、普段ワインに親しみのない方でも一度は耳にしたことがある「ボジョレ・ヌーヴォー」の解禁日です。
コロナ禍の今年2020年も、例年より少々落ち着いたように感じましたが、ボジョレー・ヌーヴォーは無事に解禁をされました。
初冬時期に注目されるボジョレー・ヌーヴォーですが、実は一年を通して飲めるワインであることや白のボジョレーがあること、ボジョレー=葡萄の品種ではないということなどを、みなさん知っていましたか?
そんな意外と知られていないボジョレーのワイン(ボジョレー・ワイン)にスポット当てた、2020年11月20日(土)に開催されたビギナー向けワイン会「でびゅたん」の模様をお届けします。
ボジョレー・ワインはブルゴーニュ・ワイン
(画像引用元:Wikipedia - ボジョレー)
まずは、今回取り上げるボジョレー・ヌーヴォーを含む、ボジョレー・ワインの概要から会は始まりました。
ボジョレー・ワインの産地である「ボジョレー」は”美しい丘”という意味を持つ、フランスのある地域の名前になります。場所はフランスの大都市リヨンの北部、そしてワインの一大生産地ブルゴーニュ地方の南部が該当しており、実はボジョレー・ワインはブルゴーニュ・ワインの一種となっています。
また、現在ボジョレーという名前の地域は存在しませんがが、フランス革命以前には単独の州として存在していたとのことです。
ブルゴーニュ・ワインの一種ということで、ボジョレー・ワインのなかにも当然白ワインがあったり、一般的なワインが多く存在しています。
では、そのなかでも有名なボジョレー・ヌーヴォーとは一体どのようなワインなのでしょうか。
その年の葡萄を味わう新酒、それが「ボジョレー・ヌーヴォー」
ずばり、ボジョレー・ヌーヴォーを一言で言うと日本酒の新酒のような存在になり、毎年その年に収穫された葡萄さけを用いて作られる赤ワインになります。
そのため、熟成期間が短く、葡萄そのものを味が強く感じられるフレッシュな味わいが売りになります。
こうした特徴が故に、ボジョレー・ヌーヴォーはその年の葡萄の出来栄えをチェックするワインとも言われることもあります。
でびゅたん講師 丸山(以下、丸山):新酒のような存在ということでボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は毎年11月の第3木曜日と法律で決まっています。もし法律で解禁日が決まっていなかった場合、新酒という季節物ということで店頭にいち早く出たものが売れてしまったり、またいち早く世の中にリリースしようとすることで粗悪な品が増えてしまったりということが起きてしまうことを避けるために、解禁日が設けられたとのことです。
元気いっぱいのフレッシュ感こそがボジョレー・ヌーヴォー
(画像引用元:Wikipedia - ガメイ)
ここからはボジョレー・ヌーヴォーに用いられる葡萄「ガメイ」についての取り上げました。
でびゅたんのテキストである「図解 ワイン一年生(サンクチュアリ出版/小久保尊(著)/ 山田コロ(イラスト)」によると、ガメイは”無邪気なわがまま娘。ボージョレでおなじみ、いちごの香りの早飲みタイプ。”と説明されています。(図解 ワイン一年生 Web版 ガメイより引用)
そんな、無邪気なわがまま娘というキャラクターからも連想されるように、フレッシュで軽やかなテストがボジョレー・ヌーヴォーの特徴です。
また、イラストの女の子がイチゴの髪留めを付けていたり、背景にキャンディーが描かれたりしています。これは、ボジョレー・ヌーヴォーのイチゴキャンディーのような香りを表現していると言えるのではないでしょうか。
ちなみに、ボジョレー・ヌーヴォーは必ずガメイを用いたワインであることが条件となっていますので、その年の葡萄を楽しみつつ、ワイナリーの違いを比べるのにもピッタリかもしれませんね。
丸山:当日の会では、世界的に有名なワイン誌「ワイン・スペクテーター」のボジョレー・ヌーヴォー特集で1位を何度も獲得している「ドメーヌ・ド・ラ・マドンヌ」のヌーヴォーを紹介しました。
フレッシュという特徴からジュースのようと言われてしまうボジョレー・ヌーヴォーですが、”ボジョレーのグランクリュ(特級)”と呼ばれるドメーヌ・ド・ラ・マドンヌのヌーヴォーは、骨格のある味わいが特徴です。毎年どのボジョレー・ヌーヴォーを飲むか迷った際には、ぜひ選んでいただきたいですね。
ヌーヴォーじゃないボジョレー・ワインを味わってみました
ヌーヴォーを楽しんだ後は、いよいよヌーヴォーではないボジョレー・ワインに迫ります。
今回は赤ワイン、白ワインともにドメーヌ・ド・ラ・マドンヌからそれぞれ取り上げました。
まずは赤ワインの「ボジョレー・ヴィラージュ」、今回は2018年ヴィンテージを味わってみました。
一般的なボジョレーよりも力強く、しっかりとした味わいがすることより、ブルゴーニュの赤ワインに近い印象がする一本です。
丸山:香りはボジョレーの特徴であるイチゴなどの赤い果実感が感じられますが、ヌーヴォーよりは重め。ヌーヴォーがラズベリーなら、ヴィラージュはチェリーやブラックベリーという表現がピッタリですね。
続いて、ボジョレーの白ワイン「ボジョレー・ヴィラージュ・ブラン」、2017ヴィンテージを味わいました。
品種はシャルドネということもあり、作り方もブルゴーニュのシャルドネと同じ作り方をしており、まさに味わいもブルゴーニュの白ワインと似ています。
丸山:ボジョレーがブルゴーニュ・ワインであることが非常に強く感じられるのがこのワインの特徴ですね。また、ボジョレーやブルゴーニュのように非常に寒い地域の葡萄は非常に酸が強いため、酸味をまろやかにする「マロラティック発酵(M.L.F)」という生産方法を採用しています。
ワインに含まれるリンゴ酸を乳酸と炭酸ガスに分けることでまろかやかさをもたらすのがM.L.Fになります。
そして、このM.L.Fはブルゴーニュの高級白ワインにも用いられる製法ですので、このボジョレー・ブラン(ブラン=白ワインの意)はコスパのいいブルゴーニュ・ブランだと言ってもいいと思います。
でびゅたんの原点であるボジョレー・ヌーヴォー会は特別
実は、1回目のでびゅたんのテーマがボジョレー・ヌーヴォーだったということで、講師の丸山さんにとって毎年ボジョレー・ヌーヴォー会は特別だと語っています。
丸山:この時期は毎年ボジョレー・ヌーヴォーを取り上げており、実は今回ででびゅたん5周年を迎えることができました。正直、ここまで続けるとは全く思っておらず、特に今年はコロナ禍のなか開催できたことを非常にうれしく感じています。
毎年「ボジョレーってどんなワインなの?」ということをテーマにでびゅたんを開催していますが、その度に参加してくれるみなさんが「ヌーヴォー以外もあるんだ」「白ワインがあるなんて知らなかった」など、ボジョレー・ワインへの発見や驚きを紹介できることを嬉しく感じています。
ボジョレー・ヌーヴォーは毎年開催されるお祭りのようなものですので、今回でびゅたんやこのイベントレポートが来年のボジョレー・ヌーヴォー選びに役立つと幸いです。
12月は泡だらけのスパークリング・ワインだけの会
クリスマスや年末年始と、イベント事の際に飲むことが多いワインと言えば、「スパークリングワイン」ではないでしょうか。
そこで、12月のでびゅたんはスパークリング・ワインだけの会を開催しました!
(すみません、11月のレポート公開前に開催されてしまいました・・・。)
シャンパンはもちろん、国ごとのスパーリング・ワインの特徴や、実際にスパークリング・ワインを買う際に役立つプチ知識もご紹介しましたので、近日公開のイベントレポートもお楽しみに!