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一人ひとりの母国語を理解する
どんなに立派なことを言っていたとしても、相手が理解できないカタチで伝えてしまったのならば、それはただの自己満足で意味がありません。
伝える相手の状態によって、簡潔な言葉、ジェスチャー、文字、写真、絵カード、これらをMIXする、など、一番伝わりやすい表現へカスタマイズしてみましょう。
例えば、支援者と簡単な言葉を話せる利用者であれば、支援者側が分かりやすい単語で話すなどカスタマイズし、聴者と聾者であれば、聴者側が手話を習得して話すなどカスタマイズをする、これが世の中の本当の理想でしょう。
相手の『母国語』『第一言語』『理解しやすい言葉』は何なのか、見極め、歩み寄ってコミュニケーションをとりたいところです。
伝え方をシンプルに
言葉を獲得中の子どもに対して、長い文章で一気に話しかけてしまい、本人が混乱しているという姿はよく見られます。
混乱している要因はもちろん長い文章で話されたことによるものですが、話しかけた側はそれに気付いていないという場面に出くわすことは多いです。
ありがちな日常の場面で考えてみましょう。こんな伝え方をしていませんか。
「テレビの前にご飯だよ。食べ終わったらお風呂入ってね。全部終わったらテレビ見ていいからね。」
言いたいことを言いたいだけ詰め込んだ内容になっていないでしょうか。このような伝え方では理解されにくいと思います。テレビを見ても良いという肯定的な結果にも関わらず、否定的な結果を伝えられていると勘違いされてもおかしくないでしょう。
具体例
上記の例は、こんな風に言い換えることができます。
名前を呼ぶか、肩をトントンするなどして注意を引いてから
例1「ご飯と、お風呂、終わったらテレビ、だよ」
例2「1.ご飯、2.お風呂、3.テレビ」
予定表など視覚的に見えるもので動作を順番に示すのも良いでしょう。
相手を観察し、意思疎通の手段を試してみる
普段から、本人がどのような言語を操っているのか、イントネーションや声の高さ、話し方やテンポなども含めて観察し、どのような伝え方が適切なのか探ってみると良いと思います。本人と同じように話して伝えてみることが有効な場合もあります。
コミュニケーションが驚くほどスムーズになることがあるので、ぜひ試してみてほしいです。
それぞれに得意な意思疎通の手段があります。それは個別に母国語を有している状態と捉えることができるでしょう。我々に合わせて話せるようになってください、というのは何となく違和感を覚えます。
人の数だけ、それぞれに合ったコミュニケーション方法があります。みんなの母国語を覚えることが、スムーズなやり取りの扉を開くきっかけになります。
トライ&エラーしながら、相手が理解しやすい意思疎通の手段を探ってみてください。