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何度も聞いた成人期の悩み
私が以前、障害のある人たちが通う施設で勤務していた時、利用する人たちから聞いた悩みで特に多かったものをご紹介します。
成人期の悩み3選
友だちがいない
圧倒的一位ではないかと思います。落ち込んでいるというよりは、友だちという名称を聞いたことはあるが、いたことがないから分からないという疑問であったり、どうすれば友だちというものを得られるのかという愚痴であったりと、イメージで話す人が多かった印象です。
もちろん、趣味に没頭しているなどの理由で友だちに関する悩みがない人もいました。
休日が暇
これは友だちがいないこととも繋がる話ですが、休日になるたびに憂鬱になる人がいました。仕事が休みだと、好きなことや趣味は特にないし、何もすることがないと嘆いているのです。
成人になる頃には、保護者もそれなりの年齢に達しています。休日に一緒にお出掛けをしたり散歩をしたりすることが、だんだん難しくなってくるようですね。
お金がない
こんなエピソードがありました。仕事終わりに施設から帰る時、缶コーヒーを「本当は飲みたいんだけど」と言いつつ、お金がないから買わないとのことでした。
毎日飲むとなるとある程度の金額にはなりますが、たった100円程度の缶コーヒー、仕事終わりの一服くらい気兼ねなくしたいものです。
ちなみに、障害のある人が働く場の1つである就労継続支援B型事業所では、工賃という呼び方で毎月給料のようなものがもらえます。
工賃は、厚生労働省の調査では、令和2年度の全国平均が月額15,776 円で、時間額にすると 222 円だそうです。
工賃を上げる取り組みは、それぞれの施設が試行錯誤しながら進めており、数年前に比べると少しずつ上がってはいます。
将来の悩みを緩和するために今何を考えるべきか
友だち
学校などの義務教育の他、外で遊んで他者と交流する機会を積極的に作っていくことが大切だと思います。公園や習い事、学童や放課後等デイサービスや療育センター、などなどです。その中で、もし友だちと呼べる存在を見つけられたら、人生が豊かになるでしょう。
余暇
興味がありそうな場所、もしかすると趣味になるかもしれないこと、地域のサークルなど、最初は内容や場所はなんでも良いと思います。
様々な団体が得意分野を活かして余暇活動の支援をしており、創作ワークショップや昼食作りなど、数多くの企画をしています。
また、児童期から移動支援等の福祉サービスをどんどん活用して、ヘルパーや事業所と関係性を作っておくというのも、将来を考えると実りがあると思います。
お金の使い方
お金を節約することを身に付けてもらいたい場合、節約できる使い方を教えることが有効だと考えています。
無駄遣いしないように伝えるだけでは、節約の仕方を学べる機会とは言えません。欲しくなるモノは大抵無駄遣いの範疇になってしまい、我慢するだけでは買う経験ができないからです。
すぐにでもできるお金の上手な使い方としては、例えば、食事を自炊することや買い物はコンビニではなくスーパーで行う、欲しいモノはまず中古で探すなどです。得した差額などを伝えることでお金が残ったことを伝えるようにしてください。
日常生活でやむを得ない支出を減らす方法を、小さな頃から買い物を一緒にするなどで伝えていくことが大切です。
生きていくためにはお金を使うことが必須にも関わらず、使い方の面での経験が少ない傾向にあります。節約できる上手な使い方を伝えるように意識してみてください。
収入
障害のある人の働く場所でも、最低賃金以上が保障される一般就労や障害者雇用、A型事業所を目指したり、B型事業所でも工賃の高いところを希望したりと、考え方は様々です。
視点を変えて、一人でも無料でできるYouTubeやSNS、ブログ等を試してみることもできると思います。
例えば、instagramでスイーツに関するアカウントや飼っている動物のアカウントを作るなど、始めようと思えばすぐにできます。また、絵を描くことが好きであれば、グッズデザインも簡単に始めることができます。
それぞれの取り組みには得手不得手があるため一概には言えませんが、お金のかからない範囲であれば、何でも取り組んでみると良い経験になるのではないでしょうか。
発想は柔軟に
物事を始める際には、取り組む前から障壁を考えてしまうものです。ですが、あまり考えすぎずに試しに取り組んでみると、案外名案が散らばっている可能性もあります。
たまには後先考えずに始めてみると、新たなことに繋がるかもしれません。
小さな頃から先入観なく色々な経験をすることをお勧めします。積極的に動いてみて、知り合いや好きなこと、もしかすると収入に繋がるかもしれない趣味などを増やすきっかけにしてみてはいかがでしょうか。