
口達者で言葉での表現が得意でも、言葉での理解は苦手だということがあります。また、目で見た情報を処理することが得意だからといって、それが写真でも絵でも文字でもなんでも良いかというと、そういうわけではありません。
以前、こんなことがありました。細かな予定を口頭で確認してくるのに対し、返答していると、「嫌だ」と拒否されることが続きました。予定は写真で示して、質問にも答えているから伝わっているはずだし、前は好きなことだったのに急に拒否ばかり、どうしたんだろう。試しに、本人が得意な文字を用いて、文字化された予定表を個別で細かく作成してみると、拒否がなくなり、納得して取り組むようになりました。
急に拒否し始めた理由は分かりませんでしたが、情報を文字という理解しやすい形で受け取った結果、上手に処理して内容を精査し、「やってみよう」と考えられたということは確かです。
人々は主に聴覚を頼りとしたやりとりをしています。そして、視覚的に情報を整理するといえば、写真や絵を使用するという方法が定着しています。しかし、それぞれにあった情報整理の仕方がもっと細かくあるはずです。言葉が得意、文字が得意、絵が得意、写真が得意、色は白黒が得意、カラーが得意、動画が得意等々、一人ひとりの個性と同じように、受け止めやすい情報も千差万別です。
一日の流れや約束事等、些細なことでも、本人が最も得意な方法で情報を整理すると、納得できることがあります。その人にあった情報の整理の仕方を一度模索してみると、すんなり取り組めることもあるかもしれません。