博士後期課程受験を目指して
無事、修士課程を卒業することが出来ました。
職場の人材不足のため、ひとまず、研究はお休みしますが、長年、業務の中で、不思議に感じていたことが、大学院での専攻につながることがわかり、どうしてもこのテーマを研究しないと、納得できないので、博士後期課程を目指そうと決意しました。
私が、ずっと疑問に感じていたことは
親子、姉妹、兄弟で、かつ、症状も、処方されたお薬も、まったく同じなのに、薬の効果がそれぞれ違ったり、副作用が出たり出なかったり・・・・・
薬が効果を発揮する個人差は、薬物代謝酵素であると思っていましたが、どうもそれだけではないように感じていました。
新潟薬科大学の学長であった故寺田弘先生が執筆された文献の中に、こんな一文がありました。
震災のショックや避難所などでの集合生活でのストレスなどで、今まで効いていた薬が効かなくなったり、その逆に効果がないとして使っていなかった
薬が効いたりするようにもなるという。心理的な要因も薬効発現に大きな影響を与えることを認識したのもその頃のことである。
(中略)
薬の作用に及ぼす環境を心の影響という観点から見ないといけないのではないかと考えるようになった。薬学は薬に関するサイエンスを学ぶ学問領域であるが、薬は生体内で効かなければ意味がない.薬の効果をもっと効果的にするにはどうしたらいいか。 そのためには心の問題をも含んだ生体環境との関連で薬の効果を考えなければならない。プラセボやノセボは薬の効果に影響を与える大きな心理的な要因である。これらは、心理的な力が身体の機能に影響を与えることに起因しており、認識における錯覚が原因なのである。薬剤師が医療現場で取り組んでいる服薬アドヒアランスも心の持ち方と薬効との関係に密接に関連しているし、ストレスで薬の効果が変化するという現象も同様であろう。心理的な力を薬効との関連でとらえる“薬効心理学”は、薬という化学物質を生体がどう認識しているかという生命現象の根幹をなす課題と密接に関連している。この問題に取り組むことによって薬学を未来性のある科学に仕上げることができるのではないだろうか。
お薬の効果には、もともとの薬の効果に、お薬を飲んでいるという心理的効果が働いているのではないだろうか?
これをどう博士後期課程での研究にもっていくか?
なかなか先行研究が見当たらないのですが、ゆっくり英語の勉強もしながら(受験に英語が必要なので)研究計画書を練りたいと思います。
参考文献
寺田弘:薬効心理学 心が身体に及ぼす影響,薬剤学, 79 (1), 36-40 (2019)