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『僕は君たちに武器を配りたい』(瀧本哲史)を読んで
第一線で活躍する人の本はたくさんある。そのなかでも親と子、教師と生徒、師匠と弟子といった誰かのために書かれた本。目線は下げる。ただ、いっさいの手加減をゆるさない想いあふれる本は、読者の心に響きます。
たとえばヤニス・バルファキス『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』。ギリシャの元財務大臣の父が娘のために経済の話をするって、そりゃおもしろいっすよ。
あと、森岡毅 『苦しかったときの話をしようか』もはずせません。
著者・瀧本哲史氏のことは最近知りました。『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』をきっかけに『武器としての決断思考』とこれで3冊目。といっても時系列でいえば本書が一発目。
伝える対象は、一貫して日本の若者。著者は若者に対してロジカルに熱く、これからを生き抜くための「考え方」という武器を配ります。武器を託したからあとは君たちが日本をよりよくしてくれ!と。
本書の前半は、これまでの方法が通用しないというコモディティが中心の話。そこから資本主義という構造への言及。で、そのうえで生き残れる人の要素・特徴が4章から始まります。
儲かる漁師と、儲からない漁師
トレーダー
商品を遠くに運んで売ることができる人
例)とれた魚をほかの場所に運んで売ることできる漁師
エキスパート
自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をする人
例)一人でたくさんの魚をとるスキルを持っている漁師
マーケター
商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができる人
例)高く売れる魚を作り出すことができた漁師
イノベーター
まったく新しい仕組みをイノベーションできる人
例)魚をとる新たな仕組みを作り出す漁師
リーダー
自分が起業家となり、みんなをマネージしてリーダーとして行動する人
多くの漁師を配下に持つ、漁師集団のリーダー
イノベスター=投資家
投資家として市場に参加している人
魚を売るビジネスのあらゆる側面について熟知している投資家的な漁師
今後「トレーダー」と「エキスパート」はコモディティ化しやすいとしたうえで、主体的に稼ぐには上記6タイプになることが近道といいます。
会社員になれると現在の職種・業種にどうしてもしばられがち。視野がせまいと、投資家タイプが選択肢にあることなど見逃してしまいます。「職能」基準とまたちがうので、この分類はおもしろい。
この6タイプはあくまで著者の出した一例。設楽悠介さん的にいえば、イノベーターやリーダーを支える「畳み人」という選択肢もあるはずです。アップデートしつつ、俯瞰してみてもいいかもしれません。
瀧本哲史さんに興味があれば下記も目を通しましょう。
というわけで以上です!
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