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従業員への傾聴をウェルビーイングのサポートに役立てる

皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。今日は、傾聴と日本でも昨今取り上げられることが増えたウェルビーングについて、大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Amp社の「Using employee listening to support wellbeing」を日本の読者様向けに訳したものです。



正社員の約3分の2が、仕事中に何らかの形で燃え尽き症候群に直面していると言われています。また、季節によっては憂鬱感や疲労感、悲しみが増すこともあり、こうした状況が従業員のメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼす場合も少なくありません。さらに、従業員が自分の心身の状態について話すことをためらったり、そうした悩みを共有できる場がないという現状も、多くの企業で課題となっています。

この記事では、雇用主が「傾聴」の姿勢を活かして従業員の悩みを理解し、そのフィードバックをもとに従業員のウェルビーイング(心身の健康と幸福)を改善するためにどのような取り組みができるかを解説します。

従業員の声を活かしてウェルビーイングの課題を見つける方法

従業員の声を聞く「従業員傾聴」とは、従業員の働く過程全体を通じて、継続的にフィードバックを集める取り組みです。この方法を活用すれば、従業員のウェルビーイングをはじめ、さまざまな重要なテーマについて深く理解することができます。この記事では、組織全体、チーム、そして個人の3つのレベルで効果的にデータを集める方法を解説します。

組織・企業レベルでの取り組み

多くの企業では、従業員がメンタルヘルスの問題や燃え尽き症候群に直面していることを感じ取っていますが、具体的にどのように対応すれば良いか分からないことがよくあります。そこで有効なのが「ウェルビーイング調査」です。この調査は、従業員がどのような影響を受けているのか、どんなサポートが必要なのか、そしてどのような改善策を講じるべきかを明らかにする、効率的かつ拡張性の高い手段です。

企業が従業員のウェルビーイングに本気で取り組むと、多くのメリットが得られます。たとえば、Work on Wellbeingの調査によると、ウェルビーイングの向上は、生産性の向上、病欠の減少、チーム間の連携強化、そして従業員全体のポジティブな姿勢の向上につながることが分かっています。

「どこから手をつければいいのかわからない」と感じている場合には、ぜひCulture Amp社が提供するウェルビーイング調査をご利用ください。この調査では、リーダーシップの影響から組織文化に至るまで、様々な視点で自社の状況を把握することが可能です。その結果、従業員一人ひとりがより働きやすく、成長できる環境を整えるための実践的なヒントを得ることができます。

チームレベルでのウェルビーイング向上策

チームレベルで従業員のウェルビーイングを把握し、改善するために、人事部の責任者の方から、次のような方法を各チームのマネージャーに推奨することもできますので、参考にしてみてください

1.  ウェルビーイング調査データをチーム単位で分析する
ウェルビーイング調査のデータをチームごとに分類して分析することで、チーム特有の課題や必要なアクションが明確になります。特に、調査結果の数値データを深く読み取ることが重要ですが、自由記述の回答にも目を向けましょう。これにより、数値データだけでは見逃してしまう可能性のある重要な課題が浮き彫りになることがあります。

2.  チーム全体での定期的な話し合いを実施する
チーム全員での話し合いの場を設けることで、従業員一人ひとりの声を引き出しやすくなります。例えば、ある社員が個人で仕事量の問題を指摘するのをためらっている場合でも、同じような課題を抱える同僚がいると分かれば、グループとして安心して意見を共有できる環境が作れます。

個人レベルでのウェルビーイング向上策

1 on 1の面談は、マネージャーが部下から個別のフィードバックを得るための貴重な機会と言われています。しかし、残念ながら、多くのマネージャーはこの機会を十分に活用できておらず、ウェルビーイングといった重要なテーマについて、部下の様子をきちんと確認できていないことが多いことも分かっています。実際、最近の調査では、世界的に見ると、従業員の約40%が、「自分自身について、大丈夫か(何か問題がないか)どうかを聞かれたことがない」と答えています。

このような事態を避けるためには、マネージャーが部下に対して感情的な配慮をしっかりと持つことが重要です。たとえば、ウェルビーイングに関する会話を始めやすくするための「気遣いを示す質問リスト」を提供したり、問題解決にすぐに飛びつかず、まずは部下の話をじっくり聞くことの大切さを伝えることが効果的です。また、よりオープンに部下が話しやすい環境を作るために、質問の仕方を工夫することもサポートになります。

従業員のウェルビーイングをサポートするための実践的な方法

従業員の声を聞くことで得られた知見は、具体的な行動に結びつけるべきですが、さらに今日から人事チームが実践できる一般的なベストプラクティスもあります。以下にその方法を紹介します。

1. 従業員のニーズに合ったサポートを提供する

従業員は、会社からメンタルヘルスのサポートを受けられるのだという理解を促すことも重要です。ウェルビーイング調査の結果を受けて、人事部門が取るべきアクションには、以下の2つがあります。

情報を刷新していく
企業が優れたメンタルヘルス支援を提供していても、従業員がそれに気づいていない場合があります。実際、約46%の従業員が、自分が利用できるサポートについて会社から積極的に伝えられていないと感じています。従業員が利用可能なサポート内容を再確認してもらうために、説明会を開いたり、さまざまなチャンネルで情報を発信したりすることが大切です。

提供するサポートを見直す
従業員のフィードバックから、現在のサポート内容が従業員のニーズに合っていないことがわかった場合、その内容を見直して調整することが必要です。例えば、全拠点で異なる日に会社指定の休暇を取ることが問題である場合、他のオフィスの同僚がまだオンラインで働いていると、休養の効果が十分に得られません。この場合、全社員が同じ日に休暇を取れるよう調整することが効果的です。

2. トップからのサポートを示す

人事チームは、従業員のウェルビーイングを支援するために、経営者から現場のマネージャーまで、会社のリーダーたちと積極的に会話を行うことが重要です。ここでは、どのようなトピックやトレーニングを導入すれば良いか、いくつかの例をご紹介します:

メンタルヘルスに配慮した言葉の使い方を提供する
メンタルヘルスに問題を抱えている社員が疎外されないように、包括的な言葉の使い方について指導します。

仕事量を減らす提案や、追加の休暇を提供するアイデアを考える
従業員の仕事量を減らしたり、休暇を増やしたりすることで、より健康的な働き方を促進します。

「公式な」方針変更を待つのではなく、リーダーが積極的にチームをサポートできるようにする
たとえば、部下がメンタルヘルスに苦しんでいる場合、マネージャーにはその社員に追加の休暇を与えることを勧めます。(*日本の場合、個人の有給取得状況などと鑑みて検討されることが多いです)

効果的な1 on 1の面談を行う方法を指導する
マネージャーがメンバーとの1 on 1の面談を通じて、メンバーとより深い関係を築き、個々のウェルビーイングを確認できるようにします。

従業員のメンタルヘルスをケアすることは重要ですが、同じくらい自分自身や人事チーム、マネージャー自身の健康も気にかける必要があります。自分のニーズに対処しなければ、他の従業員をサポートするエネルギーが不足してしまいます。自分自身のセルフケアに時間を割き、現場のマネージャーたちの燃え尽き症候群の兆候を見逃さないようにしましょう。もし自分やマネージャーが苦しんでいることに気づいた場合、助けを求めたり、負担を軽減する方法を考えたりすることが大切です。可能であれば、休養を取ることも有効です。

レジリエンスの実践

従業員のウェルビーイングを支援する最良の方法のひとつは、ワークショップや研修を通じて、感情的な回復力(レジリエンス)を高める手助けをすることです。これは、従業員がメンタルヘルスの問題に苦しみながらも無理に耐え抜くように放置することではありません。レジリエンスを構築することは、従業員が不確実な状況に慣れ、混乱を乗り越えた後に自分のウェルビーイングを回復するためのスキルを学べるよう支援することです。

しかし、この負担を従業員だけに負わせることはできません。企業もまた、ストレスの多い状況に対して柔軟に対応することで、レジリエンスを高める方法を学ばなければなりません。例えば、組織で大きな製品発表が控えているとしましょう。しかし、そのプロジェクトに取り組んでいる多くの従業員がすでに燃え尽き症候群に陥っていると分かっている場合、経営者は無理に期限を守らせるのではなく、発売日を延期することで、従業員の負担を軽減するといった判断を迫られるのです。

現在、従業員のメンタルヘルスをサポートすることは、かつてないほど重要で、同時に非常に大きな課題となっています。人事リーダーは、従業員のウェルビーイングに何が影響を与えているのかをしっかりと把握し、そのニーズに合った具体的な対応を行うことで、組織全体を支える重要な役割を果たすことができます。

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