職場での人間関係No.10
先日上司が転属した。
皆はよく彼の文句言ってたけど、アタシにとっては数少ない本音をブチまけられる稀有な存在だった。
同僚や後輩の日々の不満を聞いてなだめたり、心ない言葉を平気で吐く上司に憤怒したりと疲弊したときに話を聴いてくれた。必要に応じて行動を起こしてくれていた。
『何でも話を聞くからね』と言ってくれる人は沢山いた。
けれども、ホントに聞いてくれるだけで何かを実行してくれる人は居なかった。
だからいつしか『話しても無駄だ。迷惑をかけてしまうだけ。嫌な気持ちにさせてしまうだけ。自分が呑み込んでいれば事が済む。』と思うことが多くなり、心が壊れた。
心と体が悲鳴をあげたとき、何も言わなくても何とかアタシが仕事を続けられる様に皆に文句を言われながらも調整してくれたのも彼だった。
サヨナラをするのが寂しすぎて転属する最終日は休みをとった。
その前日はわざと殆ど人が残らない遅番にした。大人気ないけど。
ホントは早く帰れるはずなのに、アタシのためだけに最後まで残ってくれていた。
『見送りとか無理~~。何で残ってんの?』って結局大号泣。
『Laboには感謝の気持ちがもちろん大きいけど、損な役回りさせちゃって。もっと何かしてあげられる事があったんじゃないかとずっと胸にしこりの様に残ってたんだ』と言われて握手した手を中々離すことがお互い出来なかった。
帰り支度して出口に向かうまでずっと見守られ、『体には気を付けるんだよ。溜め込まないでたまには弱音も吐けよ。ちゃんと食べるんだよ。財布持った?スマホ持った?』
『うぇ~~ん。もう少しでドリフだよ~』と言い泣き笑いしながら『遅くまでお疲れさまでした』 と深々と頭を下げて見送ってくれた。振り返らずに帰路についた。
寂しい気持ちと感謝の気持ちで涙が止まらなかった。
やっぱりサヨナラは苦手だ。