領域と教科、ちがいは!?
小中高の教育課程は、領域と教科から構成されている。ここでは小学校を例に、領域と教科について整理しようと思う。
1.対象
領域…総合的な学習の時間、特別活動、外国語活動のこと。
教科…国語、算数、理科、社会、生活、音楽、図工、体育、家庭科、外国語のこと。
2.免許状
領域…中学校や高等学校において、専門教員免許状が設けられていない。
教科…中学校や高等学校において、専門教員免許状が設けられている。
*ちなみに、教員免許状は、専修、1種、2種の3つに区別されている。例えば、中学校国語科には、専修、1種、2種の3種類の免許状がある。大学等で取得する単位数によって授与される免許状の種類が異なる。一般的に、専修は大学院、1種は4年生大学、2種は短期大学で教職課程を修了すると申請できる。
教員免許状は、各都道府県の教育委員会が発行するため、教育委員会に申請をする必要がある。大学等の卒業、修了時にまとめて申請してくれるところも多い。
3.内容と方法
領域…子どもたちに身近な生活を通して学びを深めていくため、経験や体験が重視される。羅生門的アプローチが用いられる。
教科…内容と方法が体系的で系統化されており、時間数だけでなく、いつどこまで学ぶかが決まっている。工学的アプローチがなされる。
*この部分が、各領域と教科学習で一番大きな違いではないだろうか。分化と統合に基づいてそれぞれのカリキュラムを示すと、領域は、経験主義カリキュラム型、教科は系統主義カリキュラムに分類される。
4.評価
領域…文章表記で質的な評価がされることが多い。
教科…数値や◎○△など数的な評価がされることが多い。
*特別支援学校の教育課程を履修している場合は、教科であっても文章表記で評価することがある。
5.教科用図書
領域…教科用図書はない。
教科…教科用図書がある。
*学校で使用する教科用図書を採択する権限は、公立学校で使用される教科用図書については、その学校を設置する市町村や都道府県の教育委員会にある。また、国・私立学校で使用される教科用図書の採択の権限は校長にある。日本では、1904年(明治37)から47年(昭和22)まで国定であった。現在、日本で使用されている教科用図書は、国が編集作成したものではない。現在、中国、メキシコ、インド、韓国(一部検定)などの教科書は国定である。
6.特別の教科道徳
特別の教科道徳は、専門免許がなく、評価も文章表記である。内容項目が決められており、教科用図書も用意されている。特別の教科道徳は、上述したような分類にあてはまらない教科であり、その点からも特別の教科といわれている。たぶん…。
*2015年3月に小中学校の学習指導要領等が一部改正され「道徳の時間」が「特別の教科 道徳」として実施されることになった。 2015年7月には、「学習指導要領解説 特別の教科 道徳編」も示された。 小学校では2018年、中学校では2019年に全面実施となった。