宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」/佐藤友哉「転生!太宰治」/冨樫義博「HUNTER × HUNTER」
7月になりました。今年も半分終わって折り返し。
月が替わったら読書メーターのまとめとともに印象に残った作品について書き記しておきます。
2024年6月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:2500ページ
ナイス数:170ナイス
6月は漫画9冊と小説3冊を読みました。その中から以下の作品について書きます。
6月は風邪をこじらせてしまい、会社休んで寝込んでる日が何日かありまして、、今年の本屋大賞「成瀬は天下を取りにいく」も床に伏しながら読み終えました。
宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」
「島崎、私はこの夏を西武に捧げようと思う」
勉強でもなんでもそつなくこなしてしまう女子中学生、成瀬。しかし思考や行動がちょっと変わってる。
2020年、コロナ禍の夏、舞台は滋賀県大津市。夕方のローカル番組ではこの夏いっぱいで閉店が決まった西武大津店からの中継が差し込まれる。成瀬は閉店のその日まで中継に映り込んで西武大津店に感謝の意を表すつもりだ。
冒頭の台詞にある島崎とは、成瀬の幼なじみで同じマンションに住む同級生。話はその島崎の視点で語られる。
1話目がそうして中2の夏を西武大津店に捧げる話で、2話目は秋になって島崎と一緒にM-1グランプリ出場をめざす話。こちらも島崎視点。
3話目から5話目までは島崎とは別の人物視点で語られ、最後の6話目だけ成瀬自身の視点になる。
1話目で中学2年生だった成瀬たちは、最後の6話目では高校3年生になっている。
読んでいて「あっ」と思ったのは、成瀬とウチの息子が同い年だということ。2020年、中学2年生の時に新型コロナウイルス感染拡大が始まり、様々な行動制限があった。3年ほど経ってようやく日常が戻ってきたかと思ったらもう高校生活も半ば。
基本的にコロナ禍で割を食った彼ら世代に対しては応援したい気持ちが根本にある。読んでいてコロナ禍のことを思い出したりもした。
変わってるけどひねくれてない、まっすぐな成瀬は嫌いじゃない。しかしなんと言っても島崎の存在の尊さよ。成瀬が島崎と出会えていなかったらどうなっていたことかと思う。いつ誰と出会うかが人生を大きく左右する。
ページ数もそんなに多くなく、とても読みやすかったです。
「膳所」という滋賀県の難読地名が読めるようになりました。
続編ももう出ているようだけど、まぁ気が向いたら読んでみようかな。
あと、読みかけだった「転生!太宰治」も床に伏しながら読み終え、その勢いで「転生!太宰治2」も読み終えてしまった。
佐藤友哉「転生!太宰治」「転生!太宰治2」
ジャンルとしてはラノベですかね。
玉川上水に入水して死んだはずの太宰治が、2017年に転生してしまう話。
転生といっても、年齢もそのまま、脳内も身体も当人のままだからタイムリープ同然。
2017年にやってきた太宰は、インターネットしたり、メイド喫茶行ったり、芥川賞の授賞式に乱入したりする。
Twitterで自分の偽物(bot)が勝手に自分の文章をツイートしていることに憤慨する太宰。
メイド喫茶を没落貴族のたまり場と思い込み、嘆かわしくも自分もハマる太宰。
転生モノのラノベを読んで、この時代には自分のように転生を経験している人がけっこういるのだと勇気づけられる太宰。
文体がちゃんと太宰っぽいし、人を見下してるわりに人に面倒見てもらってばかりなところも太宰だ。
太宰ファンとしてはそこそこ楽しく読める。
転生しても芥川賞に執着する太宰は、女性作家のプロデューサーという立場で芥川賞を狙うが、持ち前の心の弱さやケチなプライドが邪魔をする。そして女性に寄り添えば先には破滅しか待っていないのが太宰の宿命……
って2巻で完結かと思ったらまさかの3巻へ続く!自分がまとめ買いした時は2巻までしかなかったから、てっきり2巻完結だと思ってた。
まだ3巻は入手していないが、3巻で完結のようだし、ここまで読んだら完結まで読破したいのでそのうち入手しよ〜。
漫画ではいまさらながら「HUNTER × HUNTER」を読み始めました。
過去、友人知人にオススメ漫画をきくとこの作品を挙げる人が多かった。
「HUNTER × HUNTER」といえば長期休載中でみんなが続きを待ち遠しくしていることでも有名。既刊まで読み切ってしまってお預けを食らうことを考えるとあまり気が進まなかったのですが、ぼちぼちゆっくり読んでいこうと思います。
冨樫義博「HUNTER × HUNTER」
8巻まで読んだところ。
かなりテンポよく意外な展開をぶっこんできてくれるし、序盤のハンター試験から頭脳戦・心理戦の連続は面白い。
主人公ゴンの純真さが周りに影響を与えていくのも読んでいて快い。
秘密めいたキャラが次々登場し、次のクエスト、次のステージにどんどん進んでいくので先を読まずにいられないのもわかる。
だがしかし、多くの漫画ファンがオススメの筆頭に挙げるほどの魅力を、現時点ではまだ掴みきれていない。
個人的に物足りない点もある。ゴンたちが簡単にどんどん強くなってしまうところだ。ポテンシャルがすごいのだと言われればそれまでだが…強くなるのも頷ける要因やプロセスが欲しい。(あとからちゃんとそれが明かされているのだとしたらスミマセン)
強力にオススメされたせいで自分の中でハードルが高くなりすぎているのかもしれない…。現37巻。ここからはあまり期待しすぎずに読み進めていこうと思います。