【エッセイ】0を1にする 雪柳あうこ
新たな詩誌を作りたい、と願っていた。
わたしたちは詩誌LaVague(ラ・ヴァーグ)を形作り、その原型を2023年春、Vol.0(準備号)として送り出すことができた。”今”を多様な角度から捉え、描きだす、女性詩人たちによる詩誌。その準備の過程で、わたしたちはさまざまな波やうねりをひとつずつ越え、現在位置と行く先を手探りながら確かめることができたように思う。Vol,0はわたしたちにとって羅針盤のような存在となった。
そして今、0を1にするタイミングがやってきた。
なかったものを「在る」ものに変えていく。詩ということばの営みを通じてつながりあうわたしたちは、詩誌という形をもって、確かにここに「在る」ことを続ける連続体になっていく。その連続こそを「うまれる」というのではないか。そんなことを思う。
Vol.1のゲストには、女性詩人の現在を先導する川口晴美氏を迎えた。また、かつて女性詩人たちに活躍の場を切り開いた「現代詩ラ・メール」(1983~1993)の編集者であった棚沢永子氏にエッセイをご寄稿いただいた。さらに、Vol.0に寄稿いただいた詩人の宮尾節子氏と主宰の雪柳あうこの、女性詩誌をめぐっての対談を掲載した。
そして、Vol.1は「うまれる」そのものを詩誌の一つのテーマとして捉え、詩と写真を寄せた。また、各々の自由詩は一層その表現を深め、自由に羽ばたこうとしている。
声、傷み、想い、願い、考え。そのままでは消えていくだけのことばたちが、この詩誌の中で、居場所を得て、満ちていく。そのことに静かにうなずけるような、この詩誌がそうした器になっていけることを願いながら、わたしたちは0から1へと踏み出す。球体が弾けるように満時を迎え、うねりながら、今、次なる連続体へと変じていく。
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詩誌La Vague Vol.1 10月発売となりました。
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