書評:湊かなえ【母性】
憎しみが子供に向かう恐ろしさ。
私の母親は、旦那に浮気をされたのは、子供が出来たせいだと思ったのだろうか。だから育てる事も、愛する事も出来なかったのだろうか。
「お前なんか産まなければ良かった」という言葉の裏には、本当は違う憎しみが込められていて、「お前なんか愛せないんだよ!」の言葉の裏には、本当は愛されたかったという心の叫びみたいなものが含まれていたのか?
本を読むと、自分の見解がガラリと変わる。自分の人生がこんなにもフラッシュバックして、辛かった本は初めてだった。
毒親育ちだから、自分も毒親になるのではないかといつもヒヤヒヤしている私にとって、この本は初めて泣きじゃくり、苦しくなった本。
4人兄弟の長女として生まれた私は、母親が違う男と子供を作る度に、もう産まないで欲しいと願っていた。何かと妊娠中のトラブルを抱え毎回入院する母親が心配だったし、「そうね、あなたがいるものね、もう産まないよ」なんて諦めてくれたらと思っていた。でも母親はきっと、毎回その男が運命の人、愛し愛される人だと思い、4回も籍を入れたのだろうか。
私は、この経験から、性行為自体について穢らわしく、自分が子供を持つ事に全く良いイメージが持てないまま、愛する人と出会ってしまった。だから、不妊になったのかもしれないと医学的には何の根拠も無いけれど、何となくそれが原因だろうと思っている。ああ、子育てとは何て大変なんだろう。母親の存在は子供にとってどれほどの影響力があるのだろう。
私が胃腸炎で入院している病室に、何年も会っていなかった母親が来た事がある。絶食治療中の私のベッドに座り、大きなお弁当を食べて、看護師さんに怒られ、そそくさと帰った母。何しに来たのか全く理解出来なかったけど、お見舞いに来てくれたんだ、ありがとうね、と15年越しに思えてしまった。
もしかしたら、私の母親は、
たまに母性が泡の様に現れて、すぐ消えるタイプなのかも。
こんな風に思えた、この本、ぜひ読んで見てください。
とっくにみなさん読んでるかもしれないけど笑
読んでくださってありがとうございます。
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