怒ると叱る|虎の巻
怒ると叱る、同じようで同じじゃない
子ども達に関わる仕事をしていると、いろんな関わりがあるのを知る。
寄り添ってあげながら相手の気持ちを尊重するやり方。
厳しくも正しい道を指し示すやり方。
友達のような距離感で信頼関係を紡ぐやり方。
他にもたくさんあるが、どのやり方も正解だと僕は思う。
園長先生との会話
僕は昔働いていた保育園の園長先生からある問いを受けたことがある。
『「怒る」と「叱る」の違いってなんだと思う?』
社会人1年目、阿呆だった僕は
「え、漢字の違いですかね?」
と真剣に答えてしまい、園長は爆笑。
恥ずかしくて耳まで真っ赤になりつつも、話を聞く。
「虎之助君は、子ども達が何か間違いをしてしまった時に、なんて言ってる?」
「えっと、『だめー!』とか『やめなさい!』ですかね。まずは止めようとします」
「そうね、それも大事。ただ、子ども達は『何がダメなのか』『なにをやめないといけないのか』がわからないからさ。訳のわからないまま止まっちゃうのよね。
そして、それは本質をわかってないから何度も繰り返すし、何度も怒られる」
その時僕はお昼の園庭遊びを思い出していた。
滑り台を逆走する男の子。注意しても止まらないから一度大きな声で怒鳴った。
「昼間、虎之助先生はあの時何を考えてた?間違えてていいから、あの時の感情よく思い出してみて」
何か思い出した僕の顔を見て、園長先生は優しく問いかけてくれた。
あぁ、これは教育だ。
感情を見せない
「僕は…。イラついてました。何度言っても聞いてくれなくて」
「そうね。私が思う怒ると叱るの違いっていうのは、感情を見せてるか、周りが見えているかどうかだと思うの」
「感情を見せてるかどうか…?」
「そう。たとえば、注意している時に他の児童が
『せんせーあそんでー』
ってきたとする。
その時に『怒る』をしている人は
『今〇〇ちゃんに怒ってるでしょ!!!!あっち行きなさい!!!!』
って言うのね。でも、『叱る』をしている人は感情を見せないから
『遊びたいのね、わかった。先生今〇〇ちゃんとお話したいから、あそこでおもちゃ用意して待っててくれるかな?』
って伝えると思う。
感情を見せるっていうのは、自分が感情にのまれていないかという事。
自分の感情を相手に押し付けてないか、って言う事。
『怒る』はね、子ども達には届かないのよ。
『今、私は叱れているのか?』
その言葉、忘れないでね」
ニコニコしながら僕の肩をポンポンと叩くと、園長先生は事務所に戻っていかれました。
その時から僕は子ども達に何か伝えるとき「そこに感情はのせていないか」を考えるようになりました。
まとめ
子ども達は常に何かを学んでいくことになるでしょう。
失敗もする。ただ、その失敗を怒るのではなく、叱り諭し、導いてあげられたらと今でも僕は思います。
虎之助
怒ると叱る|虎の巻
BGM:ジブリオーケストラ メドレ
TOP画像:FineGraphics様