きっかけからその先の話。
きっかけを得た僕が明確に海外で働いてみたいと思ったのは、Yohji Yamamoto社で働いていたときの後輩からの誘いがあったからです。
それがニューヨーク出張からおよそ4年後のこと。
その後輩はやはりとても苦労して、しかし強い意志を失わずにフリーランスからようやくビザサポート(海外で働くとなるとビザという許可証が必要なんです。これをサポートしてもらえるかどうかが大きなカギになるように思います)を含めて正規雇用の契約を勝ち取った1人で、その頃には既にalexander wangという会社で働いていました。
その会社がパターンナーを探しているからという事でその後輩が僕に声を掛けてくれたんです。
それが、2014年の10月か11月頃だったかな。
とても有り難い話です。
とりあえず、後輩からはアメリカの会社はすぐには事が進まないから大丈夫。ということを伝えられてはいたんですが、
「いつ何時必要に駆り立てられるか分からない!」
と僕の心配性な性分がザワザワと騒いでしまって、できないくせに急ピッチで事を進めようと焦るもんだから、もう毎日てんやわんや。普段仲良くさせてもらっている英語が堪能な方に事の事情をはなして、忙しい合間を縫っては仕事終わりなどにもお手伝いしてもらうこともしばしばでした。
(その節は本当にありがとうございました!!)
その方に手伝ってもらっている時はいいけれど、家に帰っていざ独りでやり始めると、つくったこともない英語の履歴書(ちなみにこっちではresumeと呼びます)を書くこと、その中で自分がしてきた事を慣れ親しんでいない言葉で表現すること、それの確認作業に相当量の時間を割いて、それはもう相当のストレスでした。
それに、海外の会社の人事担当と英語で面接なんて当然したこともなければ、英語でのそういうやりとりを聞いたこともない僕からすると未知の領域すぎて笑っちゃうくらいあたま真っ白でした。コレクション準備で忙しくて寝れないことに慣れてはいましたが、服つくりのそれとは全く別次元の話でした。
それでもなんとか手伝ってもらいながら、準備期間からおよそ半年後の2015年の6月末に僕は僕の履歴書とポートフォリオ、それに今までYohji Yamamoto社で創ってきた服数点を厳選して、それらを抱えて面接に臨むために1週間ニューヨークへと向かったんです。
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面接の日までは到着から3日間猶予があったのですが、宿泊先がクイーンズの7 TrainのJunction Blvdという駅の最寄だったために、Manhattan のSohoにあるその場所までどうやっていけばいいかもわからないし、どのくらい時間がかかるかもわからない、恥ずかしながら4年前に来たとき以来だったので、電車の乗り方すらも忘れてわからなくて事前に予習もかねて宿泊先からそこまで何度か足を運ぶこともしました。(心配性なもんで)
3日後、実際面接の時間を迎える少し前に先出の後輩が時間をつくってくれて、勤め先の近くのカフェで一緒にコーヒーを飲んでリラックスさせてくれたんですけど、後輩の優しさに反して僕はというと話をしていても内心ソワソワとリラックスできていなくて上の空状態でした。。。
実際面接でも当然緊張していて、否、あまりにも緊張しすぎて鼓動が面接官に聞こえるんじゃないかってくらいドキドキで、しかも某教材である程度勉強してきたつもりの英語があまりにも聞き取れないわ、質問にもまともに応えられないわでボロ雑巾のごとくズタボロになったのを憶えています。。。
そんな状態でよく面接を受けにニューヨークまで行ったもんだ、と思うくらいある意味怖いモノ知らずで挑んでいました。
あの日以外にほかの面接などの予定がなかった僕は、残りの日はすでにニューヨークに来て長い学生時代の同級生やYohji社はY's for menの同僚、語学留学でたまたま同じ時期に来ていた先出の後輩とは別の後輩やその友人たちと時間を共にさせてもらって、ニューヨークの仕事事情とかお給料事情たくさんの情報や話を聞かせてもらいました。
帰国の日は近いというのに、面接も終わった僕は近しい友人たちと時間を共にできたことであの緊張感は何処へやら、しかし結構くたびれていたはずだったにも関わらずもうすこし滞在していたいな、と思う始末。
こういうときってそうなりがちですよね。
そんな僕も帰国後、あんなにボロ雑巾のようにズタボロな経験ではあったものの海外で生活することや働いてみることにとても興味を惹かれ、無論日本以上、自分が属していた会社以上に数倍稼げるお給料も魅力的で、それに自分がどれだけ海外で通用するのかも知りたくなって、これを機にニューヨークで働いてみたいと強く心に思うようになりました。
ここからニューヨークのリクルーターを通じておよそ3年半くらいの期間たくさんのブランドとやり取りをするようになっていきます。
それでは、また次回に。
ご清聴ありがとうございました。
今日も素敵な日をお過ごしください。
タカハシ カズキ