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【SNSとの付き合い方】新築分譲マンション業界の中の人
こんにちは、kenjiです。今回は以前投稿しました「新築分譲マンション業界のSNS事情」その2、としまして、SNS運用について考察してみます。
前回記事は下記よりご覧ください。
●そもそも仕組みに合わない
前記事では、メディア利用か?ツール利用か?という問いに対して、メディア利用が合っていると結論付けましたが、今回はその点をもう少し深掘りします。
尚、本記事では主に販売活動におけるSNS利用を前提としますので、ブランディング利用ではありません。
◎長期運用に向かない
新築分譲マンションという商品は、世の中の色々な商品と比べて、なかなか特殊です。
例えば、
・商品は売り切り型
→完売したらその商品はなくなります。
・販売量が少ない
→小さいもので10戸程度、大きいもので500戸など。
・販売期間はおおよそ1年程度
→規模にもよりますが。
・リピートしない、もしくはリピートに時間がかかる
→一回買えば基本住み続けます。
・完成(竣工)の時をピークに劣化する
→再販価格が上がることもありますが、モノとしては劣化していきます。つまり維持に労力がかかる。
・土地に縛られる
→誰もが欲しがる一等地はなかなか出ない。メーカーなどのように品質で差別化しにくい。
などなど。つまり、新築分譲マンションは、販売量が少なく、リピートもしない。そして何より立地優先。
もし今住んでいるマンションが気に入っていて、この場所に住み続けたいけど老朽化で買い替えを検討する場合、次のマンションをどうやって探すでしょうか?
おそらく、「場所 マンション」と検索するでしょう。
たとえ「マンションブランド 場所」で検索してくれたとしても、そのブランドがそのエリアで販売をしていなければ、当然選ばれません。
なるほど、新築分譲マンションの販売というのは非常に刹那的であり、かつ一期一会だと言えます。
その意味で、販売活動においては長期的な視座でのプロモーションプランではなく、短期的な瞬発力のあるプロモーションプランが求められます。
◎では、販売が長期化する大規模マンションは?
とはいえ、500戸もある大規模マンションの販売は数年かかり長期化します。その場合のポイントは竣工(完成)のタイミングです。
新築分譲マンションは竣工してからは劣化の一途を辿ります。消費財のように次々に新しい商品が出てくるわけではありません。
その例として、竣工後一年経過したマンションは「新築」と名乗れません。つまり、販売が長引くことはリスクとなります。
また、販売が長期化する場合、良い住戸は先に売れます。よって長期化しても買える住戸は販売初期に較べて魅力が少ない住戸の可能性が高いです。期分けで良い住戸を残す場合もありますが。
◎SNSの特性
では、SNSの特性はなんでしょうか?
SNSを利用する目的の多くを占めるのが「顧客との継続的なつながりを保ち、リピーターになってもらうこと」だと認識しています。
他にも拡散力が上げられます。
しかし、新築分譲マンションについては、購入時には顧客は住んでいません。よって、体験をシェアすることはできません。
また、先ほど触れましたが、100点満点のマンションはほとんどありません。そのため、人によって良い点と悪い点が異なります。
さらに、実物も見れないことが多い。つまり、想像する部分が多く、シェアに足る材料があまりありません。
たまに販売現場の営業マンについてSNSで文句を見かけますが、商品が売り切り型のため、当然営業マンも一人の顧客に対していききりますので、それが嫌な人もいるでしょう。
さらに、いざ竣工して実物が見れたら見れたで、その頃に残っている住戸の魅力はさほど高くなく、実物よりも完成予想CGの方がきれいなことが多いため、色々とマイナスなことを上げれば結構出てきます。
つまり、悪い印象はいくらでも持ててしまいます。それらが拡散するのは当然避けたいですね。
◎秘匿性
さらに、SNSでは自分のことをあげる人も多いと思います。承認欲求マシーンとも言われますね。
自分の好きなファッションブランドやエンタメなどの趣味などについては、まさにSNSで好きな人同士が繋がれる、という喜びがあります。
しかし、自分の住んでいる場所については、隠したい人が多いのではないでしょうか?
ある新築分譲マンションを購入したとして、それをSNSで投稿する人はいないと思います。なぜなら、住む場所がバレるからです。なんなら、同じマンションに住む人同士でも、何号室に住んでます、というのもためらうのではないでしょうか?
つまり、新築分譲マンションというのは非常に秘匿性の高い商品と言えます。
逆に、実は販売側としたら、そういった投稿こそ、してほしいと思っているんですが。
いかがでしょうか?つまり、SNSの長期的な顧客との関係性構築や、拡散力という仕組みがそもそも新築分譲マンションの販売に合わないと言えます。
そのため、SNSは広告出稿先メディアとして捉えた方がいい、と個人的には思います。