被りまくる抹茶の銘と商標
はじめに
前回、「中国で躍進する日本の茶問屋 (2)ブランドストーリー・商品」を書いていて思ったのですが、抹茶の銘って各社で被りまくってない? というわけで、今回は各社の抹茶の銘と商標について調べてみようと思います。
各社の抹茶の銘と商標登録の状況
独断と偏見で京都のお茶屋さんを7社選び、それぞれの抹茶の銘と商標登録の状況をまとめてみました。緑色が商標登録されているもので、紫色は流派の宗匠や寺院の管長による銘です。こうして見ると、会社ごとに商標登録への対応が異なることが分かります。
さらに、この7社の中でも重複・類似している商標が複数確認できます。なお、「瑞鳳」は、北川半兵衛が2015年に商標登録をしていますが、上林春松本店はその前に大徳寺派第11代管長(1955-66)から銘をもらっていたりします。
商標は「先願主義」なので、先に商標登録を行なったものが優先されますが、例外として、商標を「先に使用していた者」を保護する「先使用権」の制度もあるようです。ただし、先使用権が認められる要件のハードルはかなり高いようです。
さらにいうと、北川半兵衛(宇治)と、南山園(西尾)は偶然とは思えないレベルで銘が重複しています。どちらかがどちらかのOEMなんだろうか?
商標制度
そもそも商標権とは何かという話になりますが、商標権は、商品やサービスについて商標を独占的に使用することができる権利で、その効力は、同じ商標や商品・サービスだけでなく、類似する範囲にも及びます。ただし、著作権のように創作時に自然に発生する権利と異なり、商標権は、特許庁へ出願し商標登録が必要です。
商標権侵害
以下が商標権の侵害の事例となります。
商標の調べ方
日本の商標は「特許情報プラットフォームJ-PlatPat」で、世界の商標はWIPOや各国のDBで調べることができます。
特許情報プラットフォームJ-PlatPat
世界知的所有権機関(WIPO)
中国 国家知識産権局商標局 中国商標網
「宇治」や「大谷翔平」などが無断で商標登録されがちな中国の商標も調べることができます。ただし、利用には登録が必要なようです。
今回は抹茶のみを取り上げましたが、煎茶、玉露、ほうじ茶などの銘も入れると、さらに入り乱れてカオスになります… お茶の商標の世界も意外と込み入っているようです。以上、「被りまくる抹茶の銘と商標」でした。
参考情報
・スッキリわかる知的財産権(特許庁)
https://www.jpo.go.jp/system/basic/index.html
・初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~(特許庁)
https://www.jpo.go.jp/system/basic/trademark/index.html