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【毎日読書感想⑧】「学力」の経済学

教育関係の本をいくつか読みましたが、一番最初に購入し読んだのがこの本です。

この本の中で、「非認知能力」など私が今までに知らなかった、子どもを育てる上で大切なキーワードを知ることができました。

この本では、本当に効果的な教育とは何かが、著者の個人的な経験ではなく、データ分析による客観的な視点で紹介されています。

私は、個人的な経験や視点によるものも大変興味深いと感じ、参考にしています。しかし、この本で紹介されているデータ分析による客観的な視点も、冷静にものごとを見る上で忘れたくないなと思い、大変参考にしています。

ちなみに、この本ではまず第1章で、

他人の子育て成功体験を真似しても自分の子どももうまくいく保証はない(P.15)
教育経済学では、たった一人の個人の体験よりも、個人の体験を大量に観察することによって見出される規則性を重視する(P.17)

と、言い切っています。

とくに印象に残ったのは、子どもを勉強させるためにご褒美で釣ってはいけないのかという「目の前のにんじん」作戦の効果の有無について紹介した章です。

経済学には「教育の収益率」という概念があり、「1年間追加で教育を受けたことによって、その子どもの将来の収入がどれくらい高くなるか」を数字で表します。そして教育投資への収益率は、株や債券などの金融資産への投資などと比べても高いことが、多くの研究で示されています。(P.29)

子育てを投資ととらえることが良いことなのか、将来の収入が高くなることが必ずしも子どもの幸せにつながるのか、などいろいろと疑問が出てきますが、子育ての収益率という見方は自分にはなかった新しい視点でした。

ひとまず、勉強することは子どもの収入を上げる大切な要因であることがわかりました。

ちなみに、ここでは、人間は目先の利益が大きく見えてしまう性質があるので、すぐ得られるご褒美を設定することは「今勉強すること」の利益や満足を高める、つまり「目の前のにんじん作戦」は経済学的には間違っていないと説明しています。

ただし、このご褒美のあげかたにも注意が必要です。アウトプット(テストや通知表の結果)ではなくインプット(本を読む、宿題を終えるなど)に対してご褒美を与えるほうが、テスト結果が良くなったそうです。

がんばった成果のほうがわかりやすいのでついつい目が行ってしまいがちですが、何を、どのようにがんばったかということに重点をおくほうが、結果的に子どもの能力を引き出すことができると、心にとどめておきたいと思います。



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