出会いから不妊治療への道のり
タクさんとの運命的な(?)出会いは、我が家から徒歩3分のところにある近所のジムで起こりました。それが、まさか結婚することになるなんて…
もえこはそもそも全くの運動音痴、ワークアウト後の美味しいハイボールを楽しむことを目的に、ジム通いをスタートしました。
ある日、ジムで緩く筋トレしていると、大きな声でスペイン語を話す異国の風貌の男性が目に飛び込んできました。それが、後に旦那さんとなるタクさんです。
派手な色のスポーツウェアに身を包み、無邪気にスペイン語と英語を使って楽しそうに会話するタクさん。ネイティブの発音で、声の大きな外国人が新しく入ったんだな、と思いました。
それ以降、タクさんをジムで見かけるたびに、何となく気になりながらも、話しかける勇気もないし(言葉の壁もあるしね)、結局はただの通りすがりの出会いかな、とタクさんのことは考えなくなりました。
しかし、ある日のこと。もえこがトレーニングを終えてストレッチをしていると、タクさんが近くに現れ、カタコトの日本語で声をかけてきました。もえこは突然の出来事にビックリし、変な日本語を話すタクさんに苦笑しつつ、会話は徐々に盛り上りました。お互いのことを話しながら、もえこはタクさんの面白さと誠実さに惹かれていくのを感じました。
その後も、ジムでトレーニング仲間として一緒に汗を流す日々が続きました。しかし、連絡先を交換するほどの仲にはなれず、とうとうコロナが襲来し、ジムも一時閉鎖となり月日が流れます。
コロナの影響が少し落ち着いてきた冬。ジム仲間たちの中で、スキー旅行の計画が持ち上がりました。もえこは人恋しさから二つ返事で参加を決意しました。そして、スキーリゾートでまさかの再会が待っていました。そう、タクさんが再び現れたのです。
ゴンドラで山頂へ向かう途中、何気なく隣り合わせになりました。久々の再会に会話が弾み、楽しい時間が流れました。タクさんのスノーボードの経験談や彼の人柄に惹かれているうちに楽しい時間はあっという間に過ぎさり、二人の距離はぐっと縮まったように感じました。
その帰路、まさかの展開が待っていました。タクさんを家に送り届け、タクさんが車を後にすると、スキー旅行を企画したYさんが突然不適切な言葉を口にし、迫ってきたのです。もえこは驚きと恐怖で車を飛び出し、タクさんに助けを求めました。
この件を通じて、もえこの中に芽生えていた感情が、本格的な恋心へと変わっていきました。その後、二人はカタコトの日本語と英語を駆使し、デートを重ね、夏前には交際をスタート。
お互いにアラフォーなこともあり、必然的に未来の話になりました。二人とも子供が欲しいという価値観は一致し、早々に不妊治療(I V F)が浮上。日本人らしいプロセスをスキップして、家族を築く道を模索することになりました。南米に住んでいるタクさん家族への挨拶や結婚式の計画よりも先に、子を授かることを目指す新たな冒険が始まったのですが…。
もちろん平坦な道のりではなく、試行錯誤が続きます。