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有事の際に輝く男
我が夫のことについてまた書こうと思う。
私の記事で出現頻度が高い私の夫は、いつも若干トホホな人物として描かれている。
そうなのだ、基本トホホなやつなのだ。私の夫は。
だけどただのトホホ男ではないのが私の夫。
彼を私の最愛たらしめている要素の一つが、普段は頼りなくとも決めるべきところでビシッと決めきれるという点である。
簡単に言うと、彼というのはここぞの時に強烈に輝ける男だということだ。
「結婚を前提に付き合ってください!」
「断言しますけど、今後俺以上にたいたいさんを大切に出来る男はいませんよ!」
夫のこの言葉が私の背中を大いに押したことは以前の記事にも記した通り。
好きですや、結婚してくださいという覚悟の言葉を恥ずかしがらずきちんと言う。
高嶺の花にこそ意外と効くのだ、これが。
(私はもちろん高嶺の花ではない)
普段はトホホの極みであるというのに、生まれた息子がダウン症であると宣告された時彼は私の前で一度も泣かなかったし、不安や弱音、後悔めいた言葉を一切口にせず、声も出せずに号泣している私のそばに何時間でも寄り添い続けた。
ちなみにそんな彼は、私の妊娠が分かった時は私より早く号泣して私を笑わせた男だ。
節目記念のジュエリーを購入する際に日和る私の背中を力強く後押ししたのも夫だ。
数年前のある夜、私は夫に大層くだらない質問をした。
「ねえ、私のことどのくらい好きなの?その感覚を体で表現してみて」
私を好きなことは前提になっている質問である。
ソファーに寝そべってTVを見ていた夫はそれはそれはめんどくさそうな顔をしながらノソノソと起き上がり、「このくらい好き」と言いながら両腕を左右にめいっぱい伸ばし深呼吸する時のポーズをとって見せた。
もっと独創的な体の動きを期待していた私は興をそがれ、理不尽にも夫に白けた顔を向けた。
「ねえ、ならさぁ私のどこがそんなに好きなの?」
言っておくが、普段からこういうやりとりをしてキャッキャしているわけでは断じてない。
たまたまそんな気分だっただけなのだ。
夫はしばらく真剣な顔をして考え込んだ。
「うーん、どこが好きとかじゃないんだよなぁ。なんか分からんけどとにかく好きなんだよなぁ」
合格だ。
さすがここぞの時に外さない男である。
例えば「いつも笑顔で可愛いところ!」なんて言われたらどうだ。
生きてりゃ笑顔なんて出ない瞬間が山ほどある。
そんな時に「いつでもスマイルしようね♪」なんて隣で歌われちゃったらもうこれは一種の脅迫であろう。
とんでもないことが起きているのに、伴侶にいつでもスマイルを求められるなんて、私にとってはこれはモラハラでありパワハラである。ひー怖い怖い。
それに比べ夫の回答の懐の深さはどうだ。
何かわかんないけど好き。確固たる理由なんてないけど好き。
つまりそれは、私がブリブリ怒ってようが多少老けようが、お尻部分が破けたパジャマを愛用してようが好きの気持ちにかわりがないということなのだ。
懐が深い。海より深い。
そしてつい先日、私は飽きもせず夫に聞いた。
「ねえ、あなた私のこと本当に好きなわけ(怒)!?」
バシンとテーブルをはたく。
別に喧嘩をしていたわけではないし、繰り返すようで恐縮だがいつもこんなあほなカップルみたいなやり取りをしているわけでもない。
数年に一度のお遊びなので目をつむってほしい。
夫は明快に言った。
「たいたいちゃんと一緒にいる時の俺が好き!」
満点である。
「ふん、おめぇもいっぱしの口きくようになったじゃねえか」
(先日も記事にしたが結婚して私は異常に口が悪くなった。ほんとに嫌だ)
上記のセリフからは分かりにくいかもしれないが、私は夫の回答に拍手喝采の思いであった。
夫/妻、もしくは彼氏彼女でも友人でもいい。
その人と一緒にいる時の自分が好きだという観点は、実は非常に大事なものだと思う。
夫婦関係だけではなく総じて人間関係というものは「組み合わせ」だ。
それぞれ単体では真っ当な人間同士でも、組み合わさると自分の嫌な部分ばかりが引き出され、自分の嫌な部分を常に目にすることで、自己嫌悪や自信喪失を招く。そのようなことは往々にして起こり得る。
逆に単体では平凡な人間同士でも、組み合わさると互いのいいところがどんどん引き出され思いもよらない化学反応を起こすこともあるだろう。
そういうものを一般的に「相性」と呼ぶのかもしれない。
自分の好きな自分でいさせてくれる人、そういう人とともに生きることをもしかしたら幸せと呼ぶのかもしれない。
大切な場面でビシッと決める、外さない男である夫は、日常生活ではあまり頼りにならないし、部屋に掃除機はかけないし、薄毛ばっかり気にしてウジウジしている。
でも一度だけ遭遇した大地震の夜、ぐーすか寝ている私に覆いかぶさり体を張って守ろうとしたのを知っている。
有事の際に輝く男。
私の夫は三年寝太郎のように、いつか何かを成し遂げることの出来る男なのかもしれない。
かんばつに苦しんでいた村で3年間寝続けていた寝太郎という男がいた。何も仕事をせずただひたすら寝転がっていた寝太郎に周囲の者は怒っていたが、寝太郎がある日突然起き出して、山に登って巨石を動かし、その巨石が谷に転がってぶつかり続け、ついには川をせき止め、川の水が田畑に流れ込んで村が救われる。
ちなみに私の口が悪くなるのは夫の前だけですので悪しからず…
夫について書いた記事いくつか。
お酒のツマミにでも如何でしょうか?
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