ブラジルの人聞こえますかー？

幼児って、時々調子に乗った大人を氷点下の目で見ることありませんか？

3歳の息子と一緒に幼児番組を見ていたら、お笑い芸人のサバンナ八木さんんのギャグ「ブラジルの人聞こえますかー？」をやってました。
息子大笑い。

あ、これ好きなの？

確かめるために、私は息子に聞いた。
「息子、「ブラジルの人聞こえますかー？」」
普通のテンションで棒読みしたのに、その瞬間息子は弾かれたように笑い出した。

おお…！
これ好きなんだ！

私は喜んで、さっきよりも大きな声で言った。
「ブラジルの人聞こえますかー？」
「ギャーーっｗｗｗ」
息子は天を仰いで爆笑。

よしよし、ツボに入りよったわ！

それまでぼーっと座っていた私は興奮気味に立ち上がる。
床に片膝をつき、動作を取り入れる。

「ブラジルの人聞こえますかー？」
「キャーーッ！！！ｗｗｗｗ」
息子は床を転げまわり大爆笑。

なんて可愛い息子なのだ。
こんなことで（失礼）笑いすぎて顔真っ赤にしてやがる。

いよいよ私はエンジン全開。
決めてやるぜ、渾身の一発。

私はしばらく出したこともないような大声で顔芸まで加え叫んだ。

「ブラジルの人ぉ！聞こえますかーーーっ！？」

「・・・・・・。」
これまで間髪入れず聞こえてきた絶叫に近い笑い声が聞こえない。

…え？
床に向かって下げていた頭を上げて息子を見ると、息子は超絶冷たい氷点下の目で私を見下ろしていた。

「大人なのに、何してんすか？」
そんな声が聞こえてきそうな表情であった。

幼児の、さんざん大人をその気にさせておいての手のひら返し、何なんですか？

私は静かに、立てていた膝を戻し、息子から目をそらした。
TVでは相変わらずにぎやかに幼児番組が続いていた。